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コメント
4件
続き楽しみにしてます!
えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!ぷりちゃん?!直球すぎない?! これを書ける主様も天才すぎます!
『思い出を話さない理由』
tg視点
夜、布団の中。
天井を見上げて、ただ静かに息を吐く。
tg 言えるわけ、ないよ……
俺が、先輩と付き合ってたなんてこと。
事故のせいで、それが先輩の中から全部消えてるなんてこと。
俺だけが覚えてる恋なんて、
独りよがりにしか見えない。
──あの日、病院の前で先生に言われた。
「部分的に記憶が抜けてるようです。人の名前や出来事が、すっぽりと。」
tg ……それって、もしかして“人との関係”も、ですか?
「はい。特に直近の数ヶ月が曖昧で…本人も混乱しているはずです。」
“直近の数ヶ月”。
それが、俺たちが付き合ってた期間だった。
ショックで何も言えなかった俺に、先生は優しく言った。
「焦らないでください。周囲の人は、“普通に”接してあげるのがいちばんです。」
普通に。
“ただの後輩”として、何もなかったフリをして。
……そんなの、無理に決まってるのに。
でも、
俺のせいで先輩が混乱するくらいなら、
俺だけが覚えてるままでいい、って……思った。
tg …それが、俺が話さない理由
スマホを見たら、先輩からメッセージが届いていた。
pr『今日また喋れてよかったわ。また話そな〜。おやすみ。』
その文字だけで、
胸の奥が、じんわり熱くなる。
好きだよ。
ずっと好きなんだよ、先輩。
でも、それを言う資格なんて……今の俺には、ない。
次の日の放課後、生徒会室。
pr おっ、ちぐ、またおった!
tg せ、先輩……
pr ほら、プリント手伝ったるし、一緒に帰ろ?
tg え、あ、えと…!
心臓がばくばくして、言葉が追いつかない。
けど先輩はにこっと笑って、俺の手からプリントをひょいっと取った。
pr なんか、ちぐの顔見たら落ち着くねん…やっぱ、お前ええやつやな〜
その笑顔。
それ、俺が好きだった笑顔。
そして、今もずっと好きな、笑顔。
tg …先輩
pr ん?
tg …なんでもないです、帰りましょ
言いたいことは山ほどあるのに、
全部、飲み込んで笑うしかできない自分が、情けなかった。
──でも、その帰り道。
信号待ちで隣に立った先輩が、ふいに俺の方を見て言った。
pr なぁ、ちぐ
tg …はい?
pr …お前ってさ、俺のこと、好きやったことある?
……え?
今の、なんて?
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