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まるで夢の中から出てきたかのように、いきなりそこに現れた。
――本当に、突然のことだった。
僕こと佐藤春樹と彼との出会いを語るには、まず僕の生い立ちから語る必要があるだろう。
僕は生まれた時から体が弱く、小学校に入学する前に入院生活を始めていた。学校に通った記憶はほとんど無く、毎日病院の中で過ごしていた。退院しても病弱な体質は変わらず、高校入学と同時に一人暮らしを始めた今でも月に一度は体調を崩して入退院を繰り返していた。
しかし幸いなことに両親は優しく、生活費を稼ぐためにバイトに明け暮れていたにも関わらず不自由なく生活できたし、むしろ好きなことをして良いよと言ってくれたから勉強も部活も頑張った。
おかげで成績は優秀だし、人望もある方だと自負している。
ただ一つだけ問題があるとすれば――
「あぁ、やっぱり可愛いなぁ! お人形さんみたい!」
「えっと、ありがとうございます?」
「ふわふわだー! すごいサラッサラだよぉ!」
「ははは、くすぐったいですよ」
「こっち向いて笑ってみて! はぅ~! 素敵ぃ!」
「……先輩、ちょっと落ち着いてくださいね?」
「ねぇねぇ、名前教えて? わたしは美嘉っていうんだけどさー」
「はい、知っていますよ。一年生の有名なお嬢様ですから」
「じゃあさ、ウチの生徒会に入ろ? 絶対楽しいよ?」
「いえ、遠慮させていただきます。そもそも生徒会長でもないのに勧誘しないでくれませんかね?」
「まあまあいいじやん! 一緒に楽しもーよ!」