テラーノベル
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#切ない
※この作品ではBL要素があります。
苦手な方は閲覧をお控えください。
チャイムが鳴った瞬間、教室の空気が一気に緩む。
「やっと終わった〜…」
机に伏せたままそう呟くと、すぐ横から軽い声が飛んできた。
「それ毎日言ってるよな笑」
顔をあげると、当たり前みたいにそこにいる。
「だって疲れるじゃん。お前は元気すぎな」
「お前が弱すぎなだけ」
そう言って笑う顔が、無駄に整ってて腹が立つ。
でも、その顔を見る度に思う。
ああ、やっぱ好きだな。って。
「今日どうする?帰る?」
「んー…」
本当は”一緒に帰りたい”なんて言えるほど素直じゃない。
少し考えるふりをしていると、先に言われた。
「じゃあさ、ちょっと付き合えよ」
「コンビニ。喉乾いた」
「1人で行けよ」
「つまんねーじゃん」
当たり前に言われて、断る理由もなくなる。
「…はいはい、行きますよ」
軽く頭を小突かれ、思わず顔をしかめる。
こういう距離感が、ずるい。
友達としては近いのに、それ以上には絶対ならない距離。
外に出ると、夕方の空気が少し冷たかった。
並んで歩く帰り道も、コンビニまでの数分も全部いつも通り。
「なあ」
「ん?」
「お前さ、彼女とか作んねーの?」
心臓が、少しだけ跳ねた。
「急に何」
「いや、なんとなく」
なんとなくでそんなこと聞くなよ。
「お前は?」
「俺?まぁ別に」
肩をすくめて笑う。
その”別に”の中に、何人いるんだろうなって考えてしまう。
「興味ないって訳じゃないけどさ笑」
「ふーん」
それ以上は聞けなかった。
聞いたところで、自分が傷つくだけなのはわかってるから。
コンビニで適当に飲み物を選んで、外で開ける。
炭酸の音がやけに大きく聞こえた。
「てかさ、言いたいことあったんだけど」
しばらく無言で空を見上げる。
オレンジ色に染まった空が、やけに綺麗だった。
「今度さ、家来る?」
一瞬、意味を理解するのに時間がかかった。
「…は?」
「いや、普通に。暇だし」
“普通に”ってなんだよ。
今まで家には女の子しかあげなかった癖に。
「なんで急に…」
「なんとなく」
「嫌ならいいけど」
そう言って、こっちを見る。
その目が少しだけ真面目に見えて、
逃げ場がなくなる。
「…行く」
気づいたら、そう答えていた。
「お、即答じゃん。ナイス」
「別に笑」
平然を演じるのに必死だった。
嬉しいのか、不安なのか、自分でもわからない。
ただ一つわかるのは、
この日から何かが変わる気がしたってこと。
それが良い方向なのか、悪い方向なのかは
この時の自分にはまだわからなかった。
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