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幻影の秘密

3 - 第3話:愁花の過去

2022年07月29日

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憂に慰めてもらって嬉しかったのか,私はポロッと本音を出してしまった。

憂にまだ言っていなかった本音を。

「私ね,死にたかったの。」

「…は?」

あ,しまった。気づいた時にはもう遅くて,私の前には怒ったような顔をした憂の姿があった。でも,怒っているようでその顔は悲しそうにも見えた。

「なんで死にたいの?」

「…そんなききたい?」

「勝手に言えば?」

そんな辛辣な言葉に不安と一塁の希望を抱いて私は自分の過去というか本音みたいな,自分でも訳わかんない話をはじめた。


私は普通の人だった。どちらかと言うと優等生。そんな感じだった。私がなにかやり遂げるとみんな褒めてくれて,私が誰かを慰めたら優しいねって言われた。小さい頃は嬉しかった。私は優しい子なんだ。じゃあみんなに優しくしたら,もっと褒められる!そう思ってた。

だけど歳を重ねる度に,「優しい子」がどんどん重くなっていった。その言葉に押しつぶされそうだった。誰かに”優しいね”と言われる度に苦しかった。違う。違う。私は優しくなんてないのに。みんなの方が優しい。辛い子に声をかけてあげられる。励ましてあげられる。でも私にはそれができないの。怖いの。わからないから。自分の一言でその子が傷ついちゃうかもしれないから。私のみんなの中でのイメージは”優しい子”なのかな。でもそれは私じゃないよ。仮面かぶっていい子のフリしてるただの偽善者なんだよ?もう,キツいよ…辛いよ…

そんな風に毎日考える度に何故か無意味に死にたいって考えるようになった。私一人死んだところで何も変わらないけど。誰かが悲しむわけでもないけど。ただの自虐かもしれないけど,息をするように死にたいと思ってしまう自分に嫌気がさす。そんなこと本当は思ってもないくせに。どうせ実行なんかできないでしょ,てか本当に死にたい人の気持ちの理解,ましてや友達の気持ちも理解できない自分には「死にたい」とか「苦しい」とか言う資格ないよ。みたいな声を感じて。じゃあ我慢して生きようって思う自分がいるけれどでも消えたいって思う自分もいて。

全部わかんなくなっちゃって,家出したらなんか解るのかなって思ったの

「あのさ,」

「なに?」

「ぶっちゃけお前の話きいてて思ったけど,それがどうしたよ。そんなもんだよ人生なんて。どうしようもねーの。」

「え…?」

「何?本当の自分を見つけて欲しいの?知って欲しいの?まずホントのお前ってなに?言えんの?口で」

憂の言葉に対抗できなかった。ホントの私…?私は何がしたかったの?何がしたいの?

「私は…」

わからない。言えない。苦しい。もどかしい。

「私は…ホントの自分を知りたい…」

「…じゃあホントのお前を探しに行こうぜ」

「え…?」

「ここは東京。何でもあるんだぜ?ホントのお前だってあるんじゃねぇの?」

なんだそれ。キザすぎる。でもなんだか笑えるや。

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