TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

「……コンビニの帰りに、偶然鈴を見かけたんだ。最初は見ないフリするつもりだったけど、何だか泣いてるように見えたから、放っておけなくて声を掛けた」


そして、律は鈴さんと会った経緯を話してくれる。


彼女は私との話を終えて公園を後にした時、一旦はそのまま帰ろうと思ったらしいのだけど、やっぱりどうしても律に会いたかったみたいでアパートの方へ向かっていたという。


そしてその途中で律に会い、場所を変えて話をすることになり、そこからは私が見た光景に繋がるようだ。


あの時、彼女は私の言い分を聞いて納得したんだと思った。


だけど、実際は違った。


律じゃなくてお兄さんを選んだくせに、想ってくれてた律を傷付けたくせに、自分の都合で会いに来て、私や律の仲を壊そうとしてる。


そんな彼女が、私はたまらなく嫌いだ。


「……ねぇ律、鈴さんは……どうして律に会いに来るの? ずっと会ってなかったのに、どうして今になって来るの?」

「……鈴と兄貴は、ここ半年くらい前から色々揉めてるらしい。まあ、兄貴の女遊びが原因らしいけどな」


それで鈴さんは、律にどうして欲しいのだろうか。


私にはそれだけが理由で会いに来てるんじゃない気がする。


もっと、別の理由がある気がする。


そしてその理由に、律は気付いてる。


「……ねぇ律、私、泣いたり怒ったりしないから、ちゃんと本当の事を言って欲しいの」

「本当の事?」

「鈴さんは、律とやり直したいから会いに来たんじゃないの? お兄さんと別れて、律と一緒になりたいから……」

「な、んだよ……それ。そんなわけ……」

「誤魔化さなくていいよ。お願い、本当の事を、教えて?」


そう言いながら私は、律が否定してくれるのを密かに期待してた。


違う、そんなわけ無いだろって言ってくれると思った。


だけど、状況は最悪だった。


「――そうだ、琴里の言う通り……アイツは、兄貴と別れて、俺とやり直したいと言った。そんな事、出来るわけねぇのにな」


だって、私の考えていた通りの展開だったんだから。


「やっぱり、そうなんだね……」


律は、『そんな事出来るわけない』って言うけど、決して不可能なんかじゃない。


鈴さんたちが離婚すれば、私と律が別れれば、二人が一緒になれない事なんてないんだから。


でも律は優しいから、きっと私を選んでくれる。


私が嫌いにならない限り、私と律が別れる事はないと思う。


だけど、本当にそれでいいのだろうか。


心の底から私を好きでいてくれるのなら嬉しいけど、情で一緒に居られても、嬉しくない。


それに、私は思うんだ。


律は……本当は鈴さんとやり直したいって思ってるんじゃないかって。


私に『好き』って言ってくれないのは、心の中に、彼女がいるからなんじゃないかって。


「――ねぇ、律。」

「ん?」

「律は、私の事、好き?」

「何だよ、急に」

「答えて? 好き?」

「ああ、そんなの当たり前だろ?」

「……うん、そうだよね」


こんな時ですら、『好き』とは言ってくれない律。


言葉に拘りすぎても仕方ないけど、今この時だけは、『好き』だと言って欲しかったのに。


「琴里、不安にさせて悪いと思ってる。鈴と兄貴の事は、近いうちに片付くと思うから……少しだけ待ってて欲しい。正直関わりたくはねぇけど一応家族の事だから、状況を知っちまった今、見て見ぬふりは出来ねぇんだ。本当にごめんな」

「ううん、私の方こそごめんね。大丈夫、私は、律を信じてるから……」

「ああ、ありがとな」


そう言って私を抱き締めてくれる律。


納得したように振舞ったけど、本当は嘘。


私は密かに決意していたの。


律から離れようって。

キスだけで誤魔化さないで。好きってちゃんと、言ってよね。【完】

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

19

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚