ー追憶 僕が生まれた日ー
その日、僕は一人の父さんから産まれた。僕の親は、母親がいない代わりに、父親が3人いる。
産声を上げ、僕は目を開ける。僕の前には、人が居た。その内の二人は僕のもう二人の父親らしい。
「兄さん、大変だったでしょ…?」「あぁ、でも…この子を産めれたのはとても嬉しく思っている。」
「あ、兄ちゃん!名前決めようぜ名前!この日のためにたっくさん考えたんだぜ!」「あぁポセイドン…その気持ちはありがたいが…もう我の中でこの子の名前は決めてしまったんだ…」
「え〜…でも兄ちゃんがつける名前、楽しみだな〜」「じゃあ、兄さん、この子の名前教えてよ〜」
「そうだな…この子の名前は…─」
「…ん。またフラッシュバック…したか…」
こうやって、僕は父さんの事を考えると、産まれた頃の事を思い出す。いつでも、どこでも、何度でも。いつだってそうさ。
僕は……何だろう。何で…神から生まれたのか。今でも僕には理解できない。
いつでもあの悲劇がなければ、あの事件さえなければ。何度もそう思い、僕は街を歩く。
……この痣を持ってしてでも、僕は…僕は…あの時…何で父さんを止めようと…
「…?あぁ、父さん。うん、分かってるよ。」
僕には、僕の力がどれほど強すぎるのかが、未だに分からない。
たまに僕は、力や怒りが増して、暴走してしまう事がある。その時は…いや、なんでもない。
あぁ、誰かこんな僕を愛してくれるのかな。
ー追憶、あの時の僕ー
僕はゼウス。神々の王であり、冥界神ハデス、海神ポセイドンの弟、そしてクロノスの子、ウラヌスの孫だ。それと…僕と兄さん達の間には、子供がいる。そうだね…だいたい…あの子が生まれた日…かな。その日から数カ月後…仕事が丁度終わった時…かな。僕の元に…血塗れになった兄さんが、あの子を抱きかかえて来たんだ。
「今の俺には、この子を見る事は出来ない。」
その言葉で、僕は頭がぐちゃぐちゃに、めちゃくちゃになった。誰のせいなんだ。僕の兄さんを傷つけるなんて。許し難いことだ。
……………………………………
翌日、僕は兄さんのいる冥界に来た。そうして、僕は兄さんと逢い、昨日の事を話してもらった。
その時、僕の中から、怒りや憎しみ…そんなもの達が込み上げて来たんだ。
「兄さん、大丈夫だよ…僕がいるからね。」
そう言って…僕は兄さんを優しく抱きしめた。
「ゼウ……ス?」
…そのまま、沈黙が続いた。そのままそっと、僕は微笑み、兄さんを抱きしめたまま離さなかった。
「兄さんの事は僕が守るから。だから、兄さんは心配しなくてもいいよ。」
「ゼウス…」
ただ、困惑している兄さんの顔が、なんだか僕には愛おしく見えてしまった。
僕にとっての大切な兄弟。今は兄さんは僕だけの物になった。ただ、僕は…
「僕が魔法少女を全員○してやる。」
そのまま、僕は兄さんを抱きしめていた腕を離し、「じゃあ、また。」と言ってから、僕は向き直って走り出した。その時、僕は知らなかったんだ。
僕らが、いつしか世界を救うハメになるって。
ーProlog① Finー
〜Prolog②に続く〜
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