テラーノベル
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※tn×emです。
※私がにやにやするための文章をAIに手伝ってもらいながらつくっています。
※某ゲーム実況者様のお名前をお借りしております。
ご本人様にご迷惑のかかりませんようご配慮お願いいたします。
第一章 強引な救済と命の鍵
ある日の撮影中、ヘッドセット越しに響くのは、トントンの呆れたような、けれどどこか心配を孕んだ声だった。
tn「…エミさん? おい、聞いてるか。そこ、左から回り込め言うてるやろ」
しかし、返ってきたのは、ひどく熱を帯びた、けれど感情の抜け落ちた声だった。
em「……ええ、分かっています。左、ですね。今すぐに向かいます……」
tn「…おい、なんか声おかしないか?」
その指摘に、エーミールの心臓がドクンと跳ねる。
だが、彼自身には『自分が今、どれほど深刻な状態か』という自覚がまったくない。
むしろ、沸騰するような脳の熱を、冴え渡る知性の瞬きとさえ錯覚していた。
彼にとって身体の不調とは、自覚するものではなく、限界を超えて突然訪れる『断絶』でしかなかった。
em「いえ、大丈夫…大丈夫です。少し、知識の火花が散っているだけでして……。さあ、続けましょう、トントンさん。私は、まだ……」
しかし、呪文のように繰り返した「大丈夫」は、肉体の限界を繋ぎ止める鎖にはならなかった。
ut「……エミさん?」
_ドサッ
エーミールのマイクが鈍い衝撃音を拾った。
syo「……エミさん? 冗談やめーや」
シャオロンの乾いた笑い声が、不自然な静寂に溶けて消える。
エーミールの回線からは、遠くで小さく、虚しく鳴り続けるPCのファン音だけが返ってきた。
tn「……アカン、これマジなやつや」
トントンは椅子を蹴り飛ばし、部屋を飛び出した。
エーミールの家に向かいながら脳裏を過るのは、いつも皆と笑っているエーミールが時折見せる、薄氷のような脆い横顔だった。
アパートに着くなり、トントンは近所迷惑など構わずドアを叩いた。
tn「エミさん! 開けろ! おるんやろ!」
沈黙…
呼び鈴を何度鳴らしても、内側からは死のような静寂が返ってくる。
tn「……待ってられん」
トントンは短く言い放つと、駆けつけたメンバー数人と共に、鉄の扉に肩をぶつけた。
_ガゴンッ
金属音と共に、抉じ開けられた扉。
その先で彼らが目にしたのは、ゲーミングチェアから崩れ落ち、冷たい床に転がったままピクリとも動かないエーミールの姿だった。
tn「……お前、こんなんなるまで……。何が『大丈夫』や、ボケナスが!」
抱き起こした身体は、驚くほど熱い。
トントンはその細い肩を壊れ物を扱うように抱きしめ、自分の手が怒りと恐怖で激しく震えていることに、初めて気づいた。
数日後…
病院の白いベッドで意識を取り戻したエーミールの手首を、トントンは逃がさないように強く掴んだ。
tn「説明せえ。お前、自分の体温も分からんほどアホなんか」
エーミールは力なく視線を彷徨わせる。
自分は『わざと隠した』わけではない。
本当に、自分が倒れる瞬間まで不調に気づけなかったのだ。
完璧であることだけが生きる条件だった幼き日。
その過酷な環境は、身体の悲鳴を『救いの合図』ではなく、排除すべき『ノイズ』として処理するよう彼の脳を書き換えてしまっていた。
けれども、そんな言い訳は通用しない。
己の限界すら把握できない欠陥を認めることは、彼にとって死よりも恐ろしい『無能の証明』に他ならなかった。
だからこそエーミールは、咄嗟に喉の奥から絞り出したような嘘を吐いた。
em「……すみません。驚かせてしまいましたね。実は、昔からの『持病』なんです」
tn「持病?」
em「ええ……! 時々こうして急に意識を失うことがありまして。この薬を飲んでいれば発作は抑えられるのですが、今回は少し不注意でした」
差し出されたのは、ありふれた市販のビタミン剤。
トントンはそのパッケージを一目見ただけで、それが付け焼き刃の嘘であることを察した。
tn「……ふーん。持病な。その薬飲んどれば、もう倒れへんのやな?」
em「……はい。ご心配をおかけしました。もう大丈夫ですから…」
それとなく自分を突き放そうとする、孤独な瞳。
トントンには、エーミールが何を抱えているのかまでは分からない。
ただ、この男が何か得体の知れない『壁』を必死に守り、その裏側で自分を削りながら独りで立とうとしていることだけは、肌で感じ取っていた。
しかしそれが無性に、猛烈に腹立たしかった。
tn「……嘘つけ。お前、一人で死ぬつもりか」
em「へ……?」
tn「その『持病』、俺が管理したる。お前がいつ倒れるか分からんのやったら、俺がいつでも入れるようにしとけ!」
トントンは、エーミールの枕元にあった鍵の束から、一本のスペアキーを指差した。
tn「嫌だと言っても無駄や。お前が『助けて』を言えんのやったら、俺が勝手に見つけにいく。……ええな?」
エーミールは呆然とした。
完璧な姿しか求められなかった。
感覚を麻痺させてでも完璧でなければ、愛されないと思っていた。
それなのに、倒れてしまった自分に対し、
この男は「無様」だと見捨てるどころか、その無様さの責任を半分背負おうと怒っている。
em「…トントンさんは、本当にお節介ですね」
エーミールは自ら鍵を外し、トントンの掌に落とした。
em「……万が一の時だけ、ですよ。私の醜態の回収、お願いしますね」
それは、エーミールが無意識に築いてきた「拒絶の城」の門を、トントンという男が、世界で初めて抉じ開けた瞬間だった。
次の撮影の日…
エーミールは沈痛な面持ちでマイクを入れた。
em「皆さん、先日は……その、私の不甲斐ない『持病』のせいで、多大なご迷惑をおかけしました。深くお詫び申し上げます」
ut「ええよエミさん、マジで焦ったけどな。生存確認できてよかったわ」
と笑うメンバーたちに対し、エーミールは覚悟を決めたように続けた。
em「それで……今後のために、一つご報告があります。私の『持病』を管理していただくため、トントンさんに……私の自宅の合鍵を預けることにいたしました」
回線が一瞬、静まり返る。
zm「……はぁ!? 合鍵!?」
ut「え、トン氏、エミさんのプライベートの鍵握ったん!? マジかよ!!」
驚きと茶化しが混じる中、トントンが冷静な、けれどどこか独占欲を含んだ声で割って入った。
tn「……まぁ、そういうことや。こいつの『大丈夫』はもう一生信用できんからな。俺が直接踏み込んで、強制的に寝かせることにしたわ」
メンバーの「おかん誕生やん!」「飼育係やな!」という野次を受けながら、エーミールは、トントンが淹れてくれたまだほんのり温かい飲み物を口にした。
→ 第二章 重なる足音と、溶けていく嘘
※補足です。
今回の過去設定
エーミールの「無感症」とも言える自己犠牲の根底には、幼少期の家庭環境が色濃く影を落としている。
エーミール 父にとって、子供は「家名の誇りを守るための装置」でしかなかった。
「痛みや苦しみを口にすることは、敗北と同義である」
そう刷り込まれた幼いエーミールの脳は、生き残るために一つの機能を切り捨てた。それが「不調を検知するスイッチ」だった。
今もなお、エーミールはその過去の檻に囚われ続けている。 しかし、その閉ざされた扉を強引に抉じ開けたのは、他でもないトントンという熱を帯びた「お節介」だった。
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