55日目
明日が奏の退院パーティーだけど…
……奏、楽しんでくれるかな。
私は料理を作ってセカイに持っていく予定だけど、、美味しいって言ってくれたら嬉しいかもしれない。
…奏に喜んで欲しいな。
苦しみなんて二度と感じさせたくないから
まふゆ
『奏、ただいま。』
「………あっ、!?…あ、お、おかえりまふゆ…」
『……何してたの?』
「え、…何も、してない……よ?」
『…噓吐かないで。また曲作ってたんでしょ』
「う……で、でも…私が入院してた分ニーゴの皆に迷惑掛けちゃってるから、、、」
『それでまた倒れられる方が迷惑。』
「………そうだね、、ごめん、、、もう今日は休むよ、、、、」
『…昨日、良い物買ってきたよ』
「良い物?」
『うん。』
私は袋からカッターを取り出した。
「え…。……か、カッター…?何で、そんな…もの……」
『何でって…奏なら分かるよね。』
『……私とお揃いにするんだよ』
「っ…!」
「…………や、やめて…ごめん、ごめんなさい…謝るから、、、、」
『?怒ってる訳じゃないよ。ただ…』
『私とお揃いにしたら、奏はもう無理はしないんじゃないかと思って。』
「ひっ……やめて…!嫌だ…嫌だ嫌……だ、、!やめて!!!!!来ないで!!!」
奏は甲高く声を荒らげた。
そして、カッターを持つ私から逃れようと必死に抵抗した。でも奏の力は私には到底及ばない。だから……奏を壁に押さえつけた。
『何で暴れるの?私は奏のためにやってるのに』
「っ…まふゆ、この前から様子が可笑しいよ……?どうしたの、、、」
『…別に、おかしく何か無いでしょ。』
『ただ奏が心配でやってる事なんだから』
「違う……!…これは、私の為なんかじゃ無いと思う…よ……、」
「だって、私が*嫌がってる*んだから……」
『………でも、奏にまた倒れられたら困る。迷惑。怖い。不安。苦しみ。怒り。悲しみ。恐怖。…眠れないぐらい心配。』
「それは本当にごめん……もう二度と無理はしないし、作業の合間にしっかり休憩するから…だから、こんな事はもう…やめて……!!」
『っ…!』
一瞬、奏の腕を押さえ付ける力が緩んだ。
その瞬間に奏は私の腕の隙間からスルリと逃げ出してしまった。
……油断した
『ダメ。奏はずっと私の傍に居なきゃ…そうじゃなきゃ、また倒れる……そうでしょ』
「そんな事ない……と思う…よ…?絵名と瑞希もあれから私に休むように声を掛けてくれるし」
『でも__「大丈夫だよ、まふゆ」』
私の声を遮るように奏が声を発した。
「心配してくれるのは嬉しいけど…そんなに心配しなくても大丈夫。偶には……私を信じて欲しいな、、」
『…』
『……どうだろうね、』
『奏の事は信じられない。だって、前も入院したのに…?』
「う……それは……………で、でも…!それはお互い様じゃない?私もまふゆが入院した時は凄く心配したし、、まふゆと同じ気持ちになったよ」
『…そう、なの……?』
「うん、心配したよ」
『…………………そう』
私はカッターを机の上に置き、その場を後にした。
まだ複雑な心境だけど、少しだけ落ち着いたのかもしれない。
(……どうだろう、私には、よく…分からない。)
コメント
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ニョォォ
拗れてるなああ… 手が震えてるのです…