テラーノベル
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僕、花瀬累は平凡だった。
成績もそこそこ、見た目も普通。
親も普通で、性格も普通。
趣味も嗜好もなにもかもが――平凡。
そんな僕にも、ひとつだけ、正真正銘ひとつだけ非凡な点がある。
――友人が全員もれなく、とんでもなく変。
たとえば不運体質。例えば雨男。例えば絶食家。
僕自身は平凡そのものだというのに、変なやつを引き寄せてしまうのだ。
例。水際襲。
黒髪に程々に着崩した制服。中性的で男女ともに人気がある。
まあまずなんでそんなやつと僕が友達になったんだって感じだが、まあそれは僕の体質ということで。
問題は性格だった。
思想、と言うべきか。
一言で表すならば――彼は狂信者だった。
何の?――僕の。
馬鹿馬鹿しいにも程がある。
――「ひと目見たときから運命だと思ってた」「君のためなら何してもいい」――と、まあそんな調子だった。
「花ちゃん、おはよー。あれ、今日は機嫌が悪いね。寝不足?」
噂をすれば影、である。
昨日ちょっと宿題やってて、と返すと、襲はニッコリと微笑んだ。
「そっか。言ってくれればおれが代わりにやってあげたのに」
いや、いい。筆跡が違うだろ。
「それもそうだね。さすが花ちゃん。僕のブレザーを貸すから寝なよ」
ぬぎぬぎとブレザーをブレザーを脱ぎだす献身的な友人を手で制しながら、僕は深いため息を吐いた。
「いいって、襲。教室で脱ぎだすなよ、目立つから」
周囲を見渡せば、案の定、クラスの女子たちが「またやってる」と言いたげな視線をこちらに送っている。
中性的な美形(男)が、平凡な男(僕)相手に朝からブレザーを捧げようとしているのだ。
どんな状況だよ。
絵面的に色々と誤解を生みかねない。そんな誤解はドラゴンの子供ぐらい生まれてほしくない。
「目立つ? どうして? おれが花ちゃんに尽くすのは自然の摂理だよ。太陽が東から昇るのと同じくらい、当たり前のことだからね」
そうか、太陽が西から昇るのを強く望むよ。
僕の平穏な高校生活が太陽の運行並みの天変地異に脅かされていることは、もはや火を見るより明らかだった。または日を見るよりも。
コメント
1件
あー、これガチで面白いわ…! まず「平凡な主人公に振り回す変人枠」って設定だけで既に刺さる。で、襲くんの狂信者ムーブが最高すぎる。「太陽が東から昇るのと同じくらい当たり前」とか言っちゃうキャラ、絶対後半で爆発するやつじゃん。主人公のツッコミもキレッキレで、会話のノリが心地良すぎる。平凡な日常に潜む異常を描くのが上手いね、はるさん! 続き読みたくて仕方ない🔥
緑山 紫苑
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