テラーノベル
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今日は年に1度の大規模な夏祭りが行われる日。
鈴華発案で、クジ引きで決められたグループで、開催されている4日間に分かれて夏祭りを楽しむ事になったドール達。
1日目に行くことになった第1グループは、愛華、鈴華、典華、和華、湾華、蘭華の6人だ。
ここのグループは、愛華に全員着付けしてもらい、浴衣姿だ。
「うっひょー!姉さんの浴衣姿最高ー!!」
鈴華は早速奇声を上げながら自身の姉である愛華を激写している。最近買ったらしい、なかなかにお値段の張る専用のカメラで。
「ほぼ毎年、私の浴衣姿を見てるだろ」
そんなシスコンっぷり全開の鈴華に愛華はひどく呆れているようだ。
「でも、鈴姉さんの言ってる事、和華も分かる気がします!愛姉さん、すっごく綺麗だし、凛としててかっこいいです!」
和華は一番慕っている愛華の浴衣姿を見て、目をキラキラさせている。そんな和華の浴衣姿は、なかなかに可愛らしいものだ。
「そうか?ありがとうな」
愛華は和華に褒められて少し嬉しそうに微笑み、そう言った。
「なんで?なんでうちが言った時と反応が真逆なの!でも、それも良い!」
鈴華はまた叫んでいる。限界突破したオタクと言ってもいいような様子だ。
「なぁ、腹減ったし、早く屋台の方に行こうぜ」
先ほどから鳴き止まない腹の虫の音を響かせながら、典華はそう言う。
「確かに〜。僕もお腹空いてきた〜」
典華に賛同するように湾華もそう言う。
「あ!その前に全員で写真を撮ろう!」
ニッコニコの笑顔で蘭華は自前のカメラを取り出す。
「良いね!僕の大親友が可愛く映るようにしてね」
蘭華の意見に珍しく湾華が賛同する。親友の和華の事は、彼女にとって大切だからそうなるのだろう。
「蘭ちゃん、姉さんと和華が最高級に可愛くって美しくなるように撮ってね。この尊いと尊いの組み合わせが最高なんだから」
超真剣な表情で、鈴華は蘭華にそう迫りながら言う。矢張り、鈴華は限界突破オタクなのかもしれない。
因みに蘭と言うのは、蘭華の愛称だ。
「任せろ!その為の10万もするカメラなんだからさ!」
蘭華は胸をドンと叩いてそう宣言した。
蘭華は一時期、ギリギリまで節約していたのだが、それはこの値段のたっかいカメラを買う為だったようだ。因みに、鈴華のカメラは5万円程だ。
「じゃあ、湾華と鈴の要望に応えて!愛!和華!真ん中に寄った、寄った!」
蘭華は超乗り気だ。
愛華は呆れたような表情をしているが、嫌なわけではないようで、しっかりと指示に従っている。和華も戸惑いつつも蘭華の言う通りにしている。
「姉さんの隣確保!」
高速で鈴華は愛華の隣へ陣取る。
「和華の隣確保!」
鈴華のノリに乗って、湾華も高速で和華の隣を陣取った。
2人とも高速で移動したため、鈴華と湾華の着物は少し着崩れたようだ。
「2人とも…。整えてやるからこっちに寄れ」
愛華は呆れつつもなんだかんだ言って世話を焼いてくれている。
「ほら、出来たぞ」
素早い手つきで2人の着物を整えると愛華はそう言った。
「腹減った〜」
またもや豪快に腹の虫を鳴かせながら典華はそう言う。
「典華さんのためにも、早く写真とって、屋台に行きましょう!」
凄くワクワクしているようで、和華は目を輝かせながら蘭華を急かす。
「オッケー。じゃあ、撮るよ〜。ハイチーズ!」
パシャッという音とともに、愛華たち6人の集合写真が撮れた。
「お〜。珍しく蘭の写りがいいじゃん」
撮れた写真を見ながら湾華がそんな事を呟く。
蘭華は、いつも写真の写りが悪い。何故か目の前を鳥が横切ったり、思いっきりズッコケたり、雨が降ったり……。彼女はなかなかに写真を撮られるときだけ運が悪いのだ。
そんなふうに湾華が感心していると、何処からとも無く、グゥ〜〜〜ッ!と大きな腹の虫の鳴き声が聞こえてきた。
その途端、その場にいた皆がその音源を探るように1人にそっと目を向ける。
「腹、減ったんだよ。もう、お腹と背中がくっついちゃう!」
ちょっとだけ、ほんの少しだけ恥ずかしそうに典華はそう叫んだ。
「早々に屋台の方へ向かうか」
愛華は至って冷静に目を閉じて、腕を組んでそう言った。少しだけ、震えている気がするのは、笑いをこらえているからなのだろうか。まぁ、ツッコミを入れれば怒られるだろうから何も言わないが…。
典華たちは1、2分歩いて、夏祭りの会場である屋台のある場所に着いた。
「お!愛!あっち見ろ!焼きそばだ!」
典華は興奮気味に愛華に焼きそばの屋台を指さしながら訴える。
「おー、そうか。いってらっしゃい」
屋台を背景に専用カメラで激写している鈴華のカメラを取り上げながら、典華の方を一切見ずに愛華はそう言った。
「え?愛、奢ってくれないのか?」
何を馬鹿な事を……!とでも言いたげな表情で、典華は愛華に尋ねた。
「お前は大人だろう。というか、なんで私が奢る前提なんだ。自分で払え」
眉間にシワを寄せ、呆れたように愛華は典華にそう告げる。
「え〜。愛のケチンボ〜!」
捨て台詞を吐いて、典華は嬉々とした目で焼きそばの屋台へ向かった。
「あっ!綿あめ!和華、食べに行こう!」
「えぇ、でも、典華さんが……」
湾華の誘いに、和華は少し戸惑っているようだ。
「和華、行きたいか?」
膝を屈め、愛華は和華の目線に合わせてそう尋ねた。
「行きたい、ですけど…、典華さんが……」
典華の事を気にかけている和華に向けて愛華はとびきり優しい笑顔を向けた。
「典華は大人だから大丈夫……なはずだ。だから、和華の行きたい方へ行けばいいさ。私もそちらに行くから。な?」
愛華の発言から考えるに、典華を1人きりにするのは愛華も若干不安らしい。
「じゃあ、行きます!」
最&高のエンジェルスマイルを愛華に向けながら和華はそう答えた。
「蘭!典華の事任せたぞ。私は和華たちと共に行く」
清々しいほどの笑顔を蘭華に向けながら、愛華は蘭華の肩に手を添えてそう宣言して、和華たちの方へ行った。
「は?」
ワンテンポ遅れて、愛華が目の前から居なくなってから、蘭華は思わず声を漏らした。
数秒経ってやっとこの状況を受け入れられたのか、典華の方へそっと視線を向けた。
「みんにゃはどうひらんは?」
両手いっぱいに焼きそばやたこ焼き、イカ焼き、その他諸々を抱えた典華が食べながら蘭華に話しかける。
「私がお前の子守を?………、マジか…」
何を言っているか分からなかったのか、蘭華は受け流すように、独り言を呟いた。
和華と湾華、ついでに鈴華も綿あめを愛華に買ってもらったようだ。
「ん〜!美味しいです!」
和華は青色の綿あめを食べて、幸せそうに頬に手を当てて、声を上げている。
「ていうかさ、なんで、鈴は自分で払わないわけ?」
雲のようなフワフワした赤色の綿あめを食べる手を止め、湾華は鈴華にそう問うた。
「あ〜、うちの財布は姉さんが持ってるからね」
いつの間にか鈴華は綿あめを食べ終わったらしく、手にはベトベトになった割り箸だけが残っていた。
「鈴は、すぐに要らない物を買うからな」
呆れたように愛華はそう語った。
そんな事を聞いておきながら、湾華は興味なさそうに「へ〜」と答えた。
「ゴミはこの袋に入れろよ」
そう言って愛華はビニール袋の口を開いた。
「う〜す」
鈴華は愛華の持っている袋に手に持っている割り箸をスッと入れた。
「分かりました!」
「了解〜」
そう口々に言うと、和華も湾華も愛華の手にあるビニール袋に割り箸を入れた。
その頃蘭華と典華は……。
「蘭〜。かき氷食う?」
「あ〜、じゃあ食べようかな」
かき氷を買っていた。
「蘭はシロップ何味派?因みに俺は、ハワイアンブルー」
屋台のおっちゃんに氷を削ってもらいながら典華は蘭華に話しかける。
「ん〜、私はみぞれだな〜」
どんどん募ってゆくかき氷の山を眺めながら蘭華は蘭華の問いに答えた。
「まぁ、かき氷のシロップって全部同じ味らしいけどね」
何食わぬ顔で蘭華がそういうものだから、典華は軽く流しそうになった。
「マジで?何か、あんまり知りたくなかったかも」
典華はちょっと残念そうにそう呟いた。
「あ、ありがとうございます〜」
そう言って蘭華は唖然としている典華の代わりにかき氷2人分を受け取った。
「こんな所で突っ立ってたら迷惑になるから移動するぞ〜」
蘭華はそう言って、典華を連れて少し人集りの少ない場所まで移動した。
「ここだったらゆっくり食べれるよな」
蘭華はそう言って、近くにあったベンチに座った。つられるように典華もベンチに腰掛けた。
「ん〜!冷たいっ!でも、美味い!」
幸せそうな顔をして典華はかき氷をバクバク食べ始めた。
一方蘭華はゆっくり食べている。
突然典華が「あっ!」と声を上げ、頭を抱えた。
「どうした?!」
慌てて蘭華が声を掛ける。
「頭、キーンってする」
か細い声で典華はそう告げた。
その途端、蘭華はいつも通りの表情に戻り、また、ゆっくりかき氷を食べ始めた。何も言わずに。
蘭華は、「あ、心配する必要は無いのか」と思ったに違いない。
それから無言の続いた数分後、典華は勿論の事、蘭華もかき氷を食べ終わったようだ。
そうして、やっと蘭華は口を開いた。
「この後どうする?」
典華に蘭華はそう尋ねた。
「たこ焼き食いに行くぞ!」
典華は、元気な笑顔を蘭華に向けながらそう宣言した。
蘭華は、「また?」と呆れたように呟く。だが、さっきは写真を撮り損ねたので、なんだかんだ言いつつもその提案に乗ってもう一度2人で人混みに戻って行った。
蘭華たちが人混みに戻って行った時、愛華たちは…。
「姉さん!あっちにフルーツ飴が!」
鈴華が愛華の浴衣の裾を引っ張って大興奮中だった。
「和華、湾華。申し訳ないが、鈴の我儘に付き合ってもらえるか?」
困ったような表情をしつつも、愛華はなんがかんだちょっとだけ妹に甘いところがあるようで、和華と湾華に申し訳なさそうにしながらそう尋ねた。
「ぜんっぜん大丈夫です!和華もフルーツ飴食べたいです!」
和華はキラキラと目を輝かせながらそう答えた。
「ん〜、僕はイチゴ飴が食べたいかな」
湾華は既に食べる事を決定付けているようだ。
と言ったように、なんだかんだして、和華、湾華、鈴華の3人は、愛華にフルーツ飴を買ってもらったようだ。
「リンゴ飴、初めて食べます!」
初めてのリンゴ飴に和華は目をキラキラと輝かせている。
「うん。やっはりいちごがいちらんおいひい」
湾華はイチゴ飴を食べながら何か話しているが…、その場にいた誰も、なんて言ってるのかわからなかった。
「姉さん!あ〜ん」
その場にいた誰よりも目を輝かせて鈴華は愛華にぶどう飴を食べさせようとしていた。
「自分で食え」
愛華はそう言って、鈴華からぶどう飴を取り上げると、逆にあ〜んをしてあげていた。
「うち、もう、ひあわひぇ〜」
鈴華はぶどう飴を口に入れたまま何か話しているが、内容はよく分からない。ただ、幸せなのだろう。
「時間的に、回れる屋台は…後、1つぐらいだな」
スマホの時計を見ながら愛華はそう3人に告げた。
蘭華との連絡により、あと数分後には花火を見に穴場スポットへ向かわないといけない。そのあたりを計算して考えたものだろう。
「にしても、この1週間毎日花火を上げるなんて、凄いよね〜、この祭り」
いつの間にかイチゴ飴を食べ終わった湾華が感心したようにそう言った。
「じゃあ、和華、ヨーヨー釣りやってみたいです」
終始目をキラキラと輝かせている和華がヨーヨー釣りと大きく描かれた屋台に目を向けた。
「では、行こうか」
そっと優しく微笑み、愛華は和華と湾華の手を取り、鈴華に視線を送ってから、屋台の方へ歩き出した。
「店主、釣り針を1人分頼む」
愛華は、屋台の人にお金を払い、和華に釣り針のついたこよりを渡す。
和華にとってヨーヨー釣りは意外と難しいらしく、悪戦苦闘している。
そんな和華を3人は優しく見守っている。
それから数分後。
「つ、釣れました!」
和華が満面の笑みを浮かべて声を上げた。
「よかったな」
そんな和華を愛華は愛おしそうに見つめ、優しく頭を撫でた。
「うちも撫でて?」
そんな愛華の手の下に鈴華が潜り込み、上目遣いで要求した。
「……。さて、そろそろ集合場所へ向かうか」
鈴華から目を逸らし、ちゃっかりスルーして愛華は話を進める。
それから数分後、無事に愛華たちは集合場所へたどり着いた。
ただ道中、鈴華が先ほど見事にスルーした事へ文句を言っていたが。愛華はそれもスルーしていた。「今度撫でてやろう」なんて考えながら。
集合場所には既に蘭華も典華も到着していたようだ。
「お!鈴たち!こっちこっち!」
典華が大きく手を振り、鈴華たちを呼んでいる。
「両手いっぱいに食べ物が……」
食欲旺盛な方である鈴華でさえも、典華の手元にある大量の食べ物には少々引いたようだ。
「そこの岩にでも座って見るか」
唖然としている鈴華の手を引きながら愛華は和華たちと共に、蘭華たちが座っているベンチの近くにある岩の方へと向かった。
全員が座った時、ドーンッという大きな音が聞こえた。
一斉に顔を見あげると、そこには大きな大きな炎の華が夜空に咲いていた。
「ふむ。矢張りいつ見ても綺麗なものは綺麗だな」
少し口角を上げて愛華は呟いた。
「さいこ〜」
鈴華は花火を見つめている愛華を激写している。花火も姉も綺麗で美しい。確かに、鈴華にとってはダブルで最高だろう。
愛華も今回ばかりは写真撮影を許しているようだ。いや、諦めているだけだった。
「うわぁ〜。きれぇ〜」
和華は花火に魅了されているようだ。
「結構良いじゃん」
湾華も花火は嫌いではないようだ。
「うん。上手く撮れた」
蘭華は花火の写真を何枚も撮って、やっと納得のいくものが撮れたらしくニコッと笑っている。
「美味い」
典華は花火なんてお構い無しに焼きそばを食べている。
こうして6人の夏祭りは終了した。
コメント
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みぅです、読ませてもらいました🤍 夏祭りの浴衣姿、みんな可愛くて尊い……!特に鈴華の姉への激写っぷり、限界突破オタクすぎて笑っちゃいました(でも分かる)。愛華さんが呆れつつもしっかり甘やかしてるところ、和華ちゃんのキラキラした反応、全部がほっこりしました。典華の食欲モンスターっぷりと蘭華のツッコミも好き。花火のシーン、静かに綺麗で、読んでるこっちまで温かい気持ちになりました。日奈さんの描く女の子たちの関係性、すごく好きです🥀
ただのあまとう
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