『ごめっ、、、なさい』
ああ、またこの夢か…
やめてくれ、
もうあの言葉は聞きたくないんだッ
『君はスターになんてなれない』
ッッ!
「ッは、っはッはっ…」
また同じ夢。最近毎日見る。しかも決まってここのシーンだけ。
忘れたいのに忘れられなくて、ずっと心に残り、重くのし掛かっている。
みんなとはもう仲直りして、今では観客を笑顔にするために日々奮闘する仲間だ。オレはみんなを信用しているし、信頼もしているつもりだ。なのになぜあの言葉を思い出してしまうのだろうか。あの時はまだ結成してばかりだったから仲間として見れていなかったのかもしれない。だが、今はもう仲間だ。今さらそんなことは誰ももう気にしてないだろう。でも、わかっていても気にしてしまう。
もしみんなが自分から離れていったら、
もしまだあのときのことで自分のことが嫌いだったら、
そんなことが頭を過り、また心に傷を増やしていく。そんな自分が嫌だった。自分を傷つける自分が。仲間を信頼しきれていない自分が。
心配をかけたくなくて誰にも話さず、ずっとこんな日々を最近は過ごしているため、もう心身ともに疲れきっていた。
そんなとき、事件は起こった。
ワンダーステージでいつものように練習をしているとき、類に言われた。
R「司くん、疲れてるのかい?」
確かに、最近はあの夢のせいで寝不足で、いつものようにキレのある動きができていなかったのかもしれない。
T「そう見えてしまったならすまない、平気だ。」
R「そうかい?何かあったらすぐに言ってね。」
N「何かあってからじゃ遅いんだから、ちゃんと言ってよね」
E「司くんがチクチクーだとあたしたちも、もぎゅぎゅーってしちゃうから!」
T「ああ!もちろんだっ!」
N「声でかっ、心配して損した」
T「なにぃ!?」
E「司くんピカピカっばびゅーん!に戻ったね!」
R「ああ、安心したよ。元気がないような気がしたからね。」
類にそう言われてから、オレはなるべくキレのある動きをするように意識した。
でも、ダメだった。
R「司くん、君、やる気あるのかい?」
T「っえ、」
R「あんなに元気なのに、動きにキレがないし、失敗もいつもよりもしてるじゃないか。」
R「もう本番まであと少ししかないから、気を引きしめてほしい。」
N「類!ちょっと、言い過ぎじゃない…?」
R「でも、寧々もそう思うだろう?」
N「それ…は、」
E「でも、もしかしたら司くん、疲れちゃってたのかもっ」
R「今日はもう練習は終わりにしよう。このままやってもお互い集中できないだろう。」
T「すま…ん」
着替えたあと、いつもなら類と帰るのだが今日は先に帰ってしまった。
一人、静かな更衣室の中。
その時、あの言葉が頭を過った。
『君はスターになんてなれない』
「ッッ!」
その瞬間、オレはパニックになった。
「ヒュッはっ、ふハッはっハヒュッ、」
どうしよう。やってしまった。またみんな離れていくの?そんなの嫌だ。せっかくできた仲間なのに、もう失いたくない。
「いッ、やっ、おいてッ、、、かなっ、でッ」
あれ、、、呼吸って、どうやてするんだっけ、、、?
「ごめっ、なさっ、ゲホッハヒュッい、」
「ハッはっ、ゲホッヒュゲホッ、ハッハヒュッハッハッ、ゲホッゴホッ、」
苦しい
「ぅ、、い…たすッ、ゲホッゲホッけっ、」
「くるッッしっ、」
わからない、、、わからないよッ
誰もいない更衣室のなかで、自分の狂った呼吸を聞きながら意識を手放した。
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