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((放課後。教室。人気のなくなった時間。🐶と🐰が向かい合って立っている))
🐶「さっきの、見た」
🐰「……」
🐶「あんな顔、初めて見た。ヒョン、あいつには……そんな顔、してたんだね」
🐰「違う。あれは――」
🐶「“違う”って言葉、もう聞き飽きたよ」
🐰「スンミン……」
🐶「俺さ、ずっと信じてた。ヒョンの“好き”を」
🐰「本当だ。好きだって気持ちは、嘘じゃない」
🐶「じゃあ、どうして俺には見せない顔、ハンには見せてたの?」
🐰「……怖かったんだよ。おまえに嫌われるのが」
🐶「俺は、そんなことで離れるようなやつじゃないよ」
🐰「でも、ハンには全部見せてた。だから今、楽だったんだ。懐かしさに甘えた」
🐶「……」
🐰「でも、おまえといると、ちゃんとしなきゃって思う。強く見せようとしちまう」
🐶「そんなの、いらないのに……」
🐰「わかってる。……わかってるのに、上手くいかねぇんだよ」
🐶「……ヒョンさ、俺のことほんとに“好き”って言ったよね?」
🐰「言った。何回だって言うよ」
🐶「じゃあ、俺とハン、どっちが本当なの?」
🐰「それは……答えられねぇ」
🐶「……最低だな」
🐰「わかってる」
((沈黙。重い空気が流れる))
🐶「……距離、置こう」
🐰「えっ……」
🐶「ヒョンが、自分の気持ちはっきりするまで。俺、待つから」
🐰「……」
🐶「ちゃんと“俺だけ”を見れるようになったら、また……教えて」
((🐶は微笑む。でもその表情は、泣きそうなくらい寂しかった))
🐰「……スンミン」
🐶「好きだよ。……今でも」
((教室を出ていく🐶。残された🐰は、一歩も動けなかった))