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短編小説「青と海の狭間で」名前は男の子の名前ランキング1位と2位です。
碧(あおい)は、東京の喧騒から少し離れた海辺の町で静かに暮らしていた。古びたカフェ「青潮」の店員として過ごす日々は、どこか単調で、だが心地良かった。そんなある日、見知らぬ青年が店に現れた。
「ここ、入ってもいいですか?」 海風の香りをまとったその青年は、どこか懐かしいような透明感を持っていた。
「どうぞ。窓際が空いていますよ。」 碧はにこやかに案内したが、心のどこかでざわつきを感じていた。
彼の名前は湊(みなと)。転勤でこの町にやってきたばかりだという。 湊は店に通ううちに、次第に碧に心を開き始めた。昼下がりの窓際でコーヒーを飲みながら、二人は他愛ない会話を重ねていった。
「碧さんは、どうしてこの町に?」 ある日、湊がぽつりと尋ねた。
「昔住んでた東京で、少し疲れたからね。でも、ここだと不思議と落ち着くんだ。」 碧はおだやかに笑った。湊には、その笑顔が少しだけ寂しそうに見えた。
***
ある雨の降る夜、湊はカフェの閉店ぎりぎりに駆け込んだ。 ずぶ濡れのまま、息を切らし、真っ直ぐに碧を見つめた。
「ごめん、どうしても……話したいことがあって。」
碧は戸惑いながらも、湊を奥の席に案内した。 濡れた体をタオルで拭きながら、湊が口を開く。
「俺、ずっと……誰かに頼るのが怖かった。でも、碧さんといると、もう一度信じてみてもいいのかもって思えるんだ。」
その言葉に、碧の胸の奥が熱くなった。いつからだろう。湊の優しさに、自分も癒されていたのは。
「ありがとう、湊くん。俺も、もう一度誰かと向き合ってみたいって思ったんだ。」
静かに時が流れる。外の雨音が、二人の心の距離を埋めていく。
***
それから季節が巡り、春の柔らかな陽射しの中、二人は変わらず「青潮」の窓際にいた。 かつて心に抱えていた孤独も、今はぬくもりに変わっていた。
湊がそっと碧の手に触れる。 「俺は、これからもここにいたい。碧さんと一緒に。」
碧は少しはにかみながら、それでもはっきりとうなずいた。 「……いつまでも、ここで待ってるよ。」
海の青と空の碧。 二つの色が、重なってひとつになった。
急展開でごめんなさい!これから頑張ります
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