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この世界の「破滅を表す塔」とは、どのような存在なのか。イグルェイス文字の破滅の予言が途中で消されているのと同様に、その「塔」もまた、世界の終わりと深く結びついているのだろう。
その塔は、もしかしたら、かつて人々が傲慢にも天に届こうとしたバベルの塔のように、神々への挑戦の象徴であったのかもしれない。あるいは、人間が積み上げてきた文明の粋でありながら、その内部に破滅の種を抱え込んでいた、矛盾の塊のような存在なのか。
しかし、この物語において「破滅を表す塔」が真に意味することは、単なる物理的な崩壊ではないだろう。タロットカードの「塔」が示すように、それは築き上げてきた価値観、信じてきた世界の秩序、あるいは安息の場所が、突如として崩れ去ることを暗示している。それは、予期せぬ雷光のように、すべてを打ち砕き、真実を露わにする。
そして、その塔が「破滅を表す」のであれば、その崩壊は避けられない運命として、既に定められているのかもしれない。ナハターン族が辿った結末のように、抗うことのできない必然として。
しかし、もしその塔が崩壊することで、新たな世界が生まれるのだとしたら?すべてが闇に終わるという予言は、一度すべてが破壊され、そこから新たな「何か」が芽生える可能性を秘めている、と解釈することもできる。破滅は再生の始まりであり、塔の崩壊は、古い世界の終わりと新しい世界の到来を告げる合図なのかもしれない。
全世界を旅する者は、その塔の存在を知り、その崩壊の兆しを肌で感じているのだろう。彼が語る「闇に終わる」という言葉は、単なる絶望ではなく、来るべき変革への、あるいは避けられない真実への、静かな覚悟の表明なのかもしれない。
その塔は、過去の過ちを象徴する碑なのか。未来を警告する道標なのか。それとも、この物語の真のクライマックスを導く、最後の舞台装置なのか。
「破滅を表す塔」…その存在こそが、この物語の真の「闇」であり、同時に、かすかな「光」を灯す鍵となるのかもしれない。