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俺、桐野誠は小学生の頃、ダイヤモンドを見つけた
それはすごく輝いていて、美しく綺麗だった
形容しきれない、ただただ神々しかった
だが、その輝きは誰にも理解されなかった。
少女漫画のような大きな瞳
ぱっちりと溝のような二重
そんな目に長すぎるまつ毛
高すぎる鼻
手入れの必要がないような眉毛
赤ん坊のような肌
顔が整っていた、いや整い過ぎていた。
そんなまるで人形かのような男
まだ幼い子供たちにはどのように映ったのだろうか
それは恐怖、
フランス人形が動き出したら誰だって怖がる
それと同じだ。
その恐怖は人を寄せ付けなくした。
なにかと理由をつけて離れた。
女子には疎まれていた。
自分より可愛いから。顔が整っているから。
男の癖に…
だけどダイヤモンドは中身には太陽が入っていた。明らかに離れていってる男子にも、
女子からの分かりやすい皮肉にも、
何も言わずただ、笑いかけるだけ。
だけどある日俺は見た。
ダイヤモンドが体育館裏で、涙を流していた。
ただ楽しく学校で過ごしたいだけなのに…と
その人間らしい顔と身体と涙と雰囲気
あのダイヤモンドが、太陽が、人形が、
人間だった。
その瞬間始めてダイヤモンドを見たときと
同じ気持ちが体を巡り、血管という血管を通り、
脳内に流れ込む
【好きだ】
一目惚れだったのかもしれない。
だけどその気持ちに気づいたのは浜野悠が人間であると知ったとき。
浜野悠に惚れ直したときだった。
朝霧中学校。
浜野悠とは同じ地域に住んでいたため同じ中学に進むこととなった。
中学に上がると悠の周りには女が集まり始めた。
それはそうだ。あんなに顔が整っていて、性格もいい。モテるに決まっている。
それを見た瞬間に思った
どうせ離れるのなら極限まで近づいてからがいい
そう思ったら体は動いていた。
周りに群がるハエを押しのけて声をかけた。
それがきっかけで仲良くなった。
勉強を手伝ったり、普通に雑談したり。
それが楽しかった。嬉しかった。幸せだった。
でも絶望した。
悠は顔がいい。そりゃあ告白だって何回もされる。
その瞬間を初めて見たとき、悠は、悠は…こう言った
「好きな人がいるから。」
誰だ?なんで?いつから?俺に黙ってたのか?
本当は悠にレベルを合わせた高校に進むつもりだった。
刹那の幸せは後の後悔が大きくなる。
だから悠には到底無理な
夜見高校を選んだ。
そしたら。そこには悠がいた。
悠は無理をしてでもこの高校を選んだ
そこにたまたま俺がいたのか?
それとも俺がいるからか?
なんでだ?離れるって決めたのに…
だから・・・
でも…
刹那でもしあわせが長くなるのなら。
中学高校合わせて6年
それだけの年月なら…時間があるなら…
希望があるなら…少しでも「好き」が残っているなら…
諦めない。
例え罵られても、どんな汚い手段を使っても、
苦汁を飲んだとしても…
地に堕ちたとしても…
俺は悠を俺のものにする。
俺は悠のものになる。
実らない恋なんてない
栄養とそれを与える時間があれば絶対に実る。
だからまずは…周りの虫を剥がす。
誠「ねえ!花咲さんだよね?俺さぁ浜野と小学校の頃からの幼馴染でさぁ!」
花咲「先に名前教えてもらえますか!自己紹介聞いてなくって!」
誠「あぁ…俺は誠、桐野誠だよ」
花咲「桐野誠…なんかどっかで聞いたような…?」
誠「俺のこと知ってた?」
花咲「いや…初対面だし、知ってないと思うん
だけど」
誠「まぁ、そんなことは置いといて、花咲さん浜野のこと好きでしょ?」
花咲「へっ!?あっいや〜?そんなことないよ?」
誠「まぁ確かにあいつ顔いいしなぁ〜
話しててもおもしろいよなぁ」
花咲「浜野君って…彼女いるんですか?」
誠「うん?あぁいるよ、しかもラブラブ」
花咲「え、?あっえ、……へ〜…」
誠「あいつさぁあんな顔だから女相手への扱いが上手くてさ…そのくせ彼女いるから結構女子関係のトラブル多かったんだよなぁ」
花咲「はっ…はぁ… 」
誠「まぁ花咲さんもあの男はさっさと諦めた方がいいってこと!てかよかった〜」
花咲「な、なにが?」
誠「花咲さんみたいな人たくさんいてさぁ、あいつ鈍感だから気づいてないけど結構悲しんでる子いてさ、その1人になる前に言っておきたかったんだよねぇ〜」
花咲「そうですね…ちょっと…顔洗ってきます…ひぐっ」
よし…次だ
誠「中島さん!ちょっといい?」
中島「桐野君だよね?どうしたの?」
誠「いや〜ちょっとさ、花咲さんと仲いいって聞いて」
中島「まぁ仲は良いけど」
誠「非常階段でちょっと泣いててさ…慰めてきてほしいんだよね…。」
中島「えっ…?でもどうすれば…?」
誠「なんか恋愛関係っぽかったから、次の恋に誘導する…みたいな?」
中島「なるほど…ありがとう桐野君!」
翌日から花咲ちひろが浜野悠に近づくことはなくなった。
それから悠に近づく女を片っ端から剥がしていった
そして、前ほど悠に近づく女は少なくなっていった。
これで第一段階終了。
次は距離をもっと近づける。
気持ち悪いだとか、卑怯だとか、言われてもいい
どんだけ地に堕ちようが、
絶っ対に諦めない