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番外編36『主様誘拐事件』後編
『悪魔執事を制御しろ!中には入らせるな!』
外で剣の飛び交う音や怒号の声がする。
『リリちゃん、ハルア君、みんな着いてきてる?』
『う、うん。』
私は子供達を抱えあげて走る。
『はぁ、はぁ…っ。』
(何この屋敷真っ暗で気味が悪い……。まるで迷路みたいな屋敷ね。そろそろ体力的にも限界ね…。)
ガチャッ。
『ここは…?』
『主様、これ僕の武器です!』
『奪ったものをここに隠してたのね。私の仮面と剣もある。これさえ持てばこっちのものよ。リリちゃん達この中に取られたものある?』
『くまちゃんのぬいぐるみ……。』
『僕の車のおもちゃ…。よかった、壊されてない。』
『金目になりそうなものは全て押収してたみたいね。どこまでも屑な奴らなんだから。』
ガチャ!
『!!』
『そこで何してる!牢屋からどうやって逃げた!』
『っ…もう嗅ぎつけたのね…。』
『もうお前らに用はない。ここで死ね!』
剣を抜きラムリに子供達を任せる。
『く…っ!』
『主様!!』
『麻里衣お姉ちゃん!』
『ラムリ、その窓から出なさい。』
『え……?窓って…ここから……っ?』
その部屋は3階の窓。下まではかなりの高さだ。
『麻里衣お姉ちゃん、怖いよ…っ。』
『大丈夫。ラムリお兄ちゃんは凄く運動神経がいいの。ラムリお兄ちゃんを信じて。』
『だけど……っ。』
『ラムリ。この子達をよろしくね。』
『っ、主様…っ!』
カキンッ!
『くっ、行きなさい!外にはみんながいるわ。必ずみんなの元に帰るわ。約束よ、ラムリ。』
『っ……。』
僕は子供達を抱えて3階の屋根を飛び降りた。
『ラムリ君!無事でしたか…っ。』
屋敷の裏にベリアンさん達が回り込む。
『主様は…っ。それにこの子供達は…。』
『一緒に捕らえられてたんです。主様はこの子達を助ける為に…っ。』
『3階から飛び降りたのかい?無茶をするんだから…。』
『ラムリ、お兄ちゃん、まだリリお姉ちゃんが…っ。 』
『え…っ?』
僕は上を見上げる。
『怖い…っ。もし落ちたら……っ。』
『ふん、ここで終わりだ、悪魔執事の主。お前の目をくり抜いて売りに出してやる!』
『っ、リリちゃん…っ。』
(ダメ、もう上手く足も動かない…っ。)
『リリちゃん!大丈夫!僕が必ず受け止める!だから降りてきて!』
『…リリちゃん。私に掴まってて。』
私はリリちゃんを抱っこする。
『麻里衣お姉ちゃん……?』
私はボスの男に椅子を投げてリリちゃんを抱いて窓を飛び降りる。
『っ、させるか!』
ガシッ!
『お姉ちゃん…っ!!』
『百合、菜…っ。』
髪を掴まれる。
『へへっ。これで終わりだ!!』
『……。』
私は片手でリリちゃんを抱き締め、もう片方の手で剣を握る。
『っ、何を……!』
ジャキンッ!
長くたなびく髪を躊躇なく切る。
『髪なんていくらでもくれてやるわ…っ!』
私はそのまま地面へと落下する…その前に抱きとめられる。
ガシッ!
『る、ルカス…っ。』
『主様……っ。無茶を…っ。』
ルカスは私を抱き締めた。
『大丈夫、私なら無事…。は…っ。』
私は目を閉じる。
『主様?主様!!』
『っ、無理もないです、ルカス様…っ。主様は僕たちやこの子供たちを守るために…。ろくに食べ物も睡眠もとってないんです。』
『貴方という方は……っ。極度の栄養失調…睡眠不足だ。今すぐ屋敷に帰ろう。』
『お姉ちゃん……っ。』
こうして、人身売買の貴族たちは逮捕され、グロバナー家へ引き渡された。
子供達はしばらく屋敷で預かることになり、中央の大地の教会に預けることになった。
数日後――。
『そう…。無事に逮捕されたのね。』
数日後目を覚ました私はアモンに髪を整えてもらう。
『はいっす。でも、無事じゃないのは主様っすよ。髪…。』
『髪はまた伸ばせばいいのよ。』
俺は主様の髪を切る。
『ボブな私も似合うかしら。』
『…どんな髪型でも好きっすから俺はいいんすけど…今回は心配させすぎっす。それに、無理も無茶もし過ぎっすよ。俺ちょっと怒ってるんすから。』
『え……。』
『俺だけじゃないっす。主様の担当執事が特に怒ってるっす。』
『そうね…無茶しすぎたものね…何かみんなにお礼を…。』
『お礼じゃなくていいっす。』
『え……?』
アモンはハサミを置き、私の顎をクイッとする。
『お仕置きっすよ。俺の事心配させたこと…その身で分からせるっす。』
『ま、待ちなさ、アモン――っ。』
ガチャ!
2階の執事部屋にみんな入ってくる。
『!!』
『おやおや、アモン君。抜けがけは宜しくないなね。私も入れてよ。』
『み、みんな、あの、怒らせたことは謝るから……。』
『いいえ。主様は無茶をしないでと言っても聞かない方ですから。ちゃんと言い聞かせます。』
『ちゃんと反省するまで俺主様のご飯作りませんから!』
『俺も主様に叱りたいこと沢山ありますからね…!』
『しばらくは絶対安静ですからね、主様。私の部屋で…ね。』
『もちろん私も一緒だよ。主様。』
『仕事もしばらくお休みだな。』
『えぇ。いくら主様でも許せません。』
『我の主であるという自覚を一から叩き込む。』
『甘んじて受け入れるわ……。』
こうして、担当執事からお説教…もとい、あまいお仕置きを受けた主様なのでした……。
次回
番外編37 『夜寝てる主様に……♡♡』前編