テラーノベル
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37
羽海汐遠
15,350
#いじめ
#虐待
ruruha
148
“神様なんていない”ガキの頃よくそう思っていた。我ながら夢のない子供だったと思う。中学生の頃神社に行くのが嫌いだった。神社に行くと言い訳をしてるみたいで。丸でこの世界が思う通りに行かないことを神様のせいにしてるみたいで。
「なんでゆうまは初詣に行かないの?」
小学生の頃から腐れ縁のようたによく聞かれていた。
「嫌いなんだよな、神社」
「へー、なんで嫌いなの?」
「なんでって、、バカらしいだろ?神様なんているはずないのに」
「…なんで人間は神様を作ろうと思ったんだろうな」
「え?」
ようたは小学生の頃から変わったやつだった。みんなとは違う視点を持ち、よくわからない行動ばかりをしていてクラスで浮いていた。俺もみんなと同じようにようたを嫌っていた
それから20年後、俺はニートになった。元からニートだったわけじゃない。むしろこれまではいい人生の方だったと思う。そこそこいい大学に入り、そこそこいい仕事につき、25歳で結婚、子供が1人。順調な人生を送っていた。それがなんで底辺まで落ちたって?それは全部、ようたのせいだった
「なぁゆうま、YouTube始めようぜ!!」
その一言から俺の人生は終わりに近づいていった
「なぁ、ゆうま」
「なんだ?」
「ごめんなぁ笑」
ようたは大人になっても子供のままだった。わがままで人の人生を動かすようなやつだった。だけどこれまでようたは一度も謝ったことがない頑固なやつだった
「お前が謝るなんて珍しいじゃん」
「………」
返事はなかった。なぜならようたはいないから。俺の心の中にいるようただけが俺に謝り続けている
「私、お父さん嫌い」
最近娘によく言われる言葉だ。反抗期ではなかった。なにを血迷ったのか俺はあの時ようたの提案に乗った
“なぁゆうま、YouTube始めようぜ!!”
なんで乗ったのか自分でもわからない。だけど、始めたかった。自分の人生を神様のせいなんかにしたくなかったから。俺は職を辞めた。ようたが真剣だったから。ようたがおれを変えてくれる気がした
だけど現実はそう甘くなかった
“そりゃそうだよな” “だからいったじゃん” と周りに言わせてしまう結果になった。妻にも迷惑をかけた。離婚の危機にまでなった。だから俺は”明日からちゃんとしよう”そう思いながらYouTubeをやめようと何度も思った。だけどようたは諦めていなかった。周りになにを言われようとようたには関係ないように見えた。俺はそんなようたのことをみんなと一緒に内心では冷笑していた。だけどようたは諦めなかった。目に光があった。俺はその光を目の前にして、光を捨てることはできなかった。ようたは本当に変わったやつだった
「なんで泣いてるの?」
「ほんとにこれで良かったのかなって思って」
「ふーん…てか、明日で年明けだね」
「そうだね」
「初詣でもいく?」
「……いくか」
「はは笑神社が嫌いなゆうまが同意してくれるなんて笑」
「それはガキの頃の話だろ」
「…なんで、あんなに嫌ってた神社を嫌わなくなったの?」
「……別に、理由なんてねーよ」
「…ふーん」
その日、俺はようたと初詣にいった。雪が積もっていて指が動かせなくなるほど寒い気温の中で、俺は何を願ったんだっけ……
まぁ、それも全部記憶に残らないくらいどうでもいい昔話だ
今日はそんなようたの葬式の日。ようたがしんで泣いてる人はいなかった。家族からも縁を切られ、嫁も作らず周りにも飽きられるような男だったからだ。そんな男に俺は人生を邪魔された。
「俺、これからどうしよう」
あんだけ頑張っていたYouTubeもやめた。仕事を見つけようにも見つからずただ家でゴロゴロしながら時間が過ぎていった。
「ねぇ、離婚しましょ」
知っていた結末だった。俺はここで土下座ができるほど、非常識な人間ではなかった。
「お父さんは私のことなんて好きじゃないでしょポロポロ」
これが娘が俺に言った最後の言葉だった。
その言葉で夢から覚めた。事の重要さにやっと気づいた
…いつから間違えたんだ。いつから間違っていたんだ。これまで、つい最近まで、順調な人生だったじゃないか。。。なぁ、俺は、いつから間違っていたんだ、、!!
考えなくてもすぐに答えはでていた
“なぁゆうま、YouTube始めようぜ!!”
あの時からだ。あの時から確実に狂い始めた。
「なぁ、ようた、謝れよ。。」
「俺に謝れよ!!!ポロポロ」
俺は1人で叫んでいた。どうしようもないとわかっていながら。俺はようたをせめた。せめつづけた。そうしないと、保たれなかった。理由を作りたかった。なんで俺がこうなったのか。こうなってしまったのか。なんで、俺は今、こうなっているのか
「なぁ、ゆうま」
「なんだ?」
「ごめんなぁ笑」
ポツンと切れた糸の先にようたがいた。ようたは笑いながら謝っていた。幻だと知っていた。だから俺はまだようたを責め続けた
「…なんで人間は神様を作ろうと思ったんだろうな」
「え?」
「きっと、全部が抽象的だから神様を作ったんだろうな」
「どゆこと?」
「…人は理不尽に弱いってこと笑」
俺の親父はちっさい頃ガンでしんだ。
お母さんはうつ病で家でよく泣いていた。それは俺が悪いと思った。だから、頑張ろうと思った。俺は神社が嫌いだった。なぜなら神様なんているはずないから。この理不尽な世界を神のせいにしてる人間を見下した。俺は頑張っている。頑張って幸せを掴みにいっている。だけどお母さんのうつ病は日に日に酷くなっていった。そしてある日突然お母さんは首を吊った。
その日俺は神様を憎んだ。神様なんていないのにね
“なぁゆうま、YouTube始めようぜ!!”
ようたのせいだ。全部。俺はそう思った。その時俺は思い出した。まだガキだったあの頃の会話。
「…なんで人間は神様を作ろうと思ったんだろうな」
その時のあいつの言葉を妙に頻繁に思い出す。
なぁ、ようた、お前が神様なのか?俺の神様だったのか?
あの日、あの時、あの瞬間、俺の人生がぶっ壊れたあの瞬間を毎日、毎秒のように思い出す。
「お前が神様だったら、全部説明がつくのにな」
そして気づいた。
あぁ、そうか、俺はずっと、神様が欲しかったんだな
あぁ、そうだ、俺はずっと、神様に見て欲しかったんだ
頑張ってるから、諦めてないから、叶えて欲しかったんだ。神様に
俺はホームレスになった。この世界に居場所はもうなかった。
ロクでもない人生になったと思う。ダメな人間で終わったと思う。走馬灯の最後らへんでそう思った。俺はなぜあの時、ようたのあの無謀な願いを受け入れたんだろう。なぜあの時、職を辞めたのだろう。なぜあの時、、俺はその疑問を最後に人生を終えた
コメント
1件
**はる。だわ〜** え、これ第1話??重すぎて一気に持ってかれたわ。最初は「ようたのせいで人生めちゃくちゃになった不幸なやつ」かと思いきや、最後の「ずっと神様が欲しかったんだ」で全部ひっくり返された……。ようたが神様だったのか、それとも神様に見てほしかっただけなのか。どっちにしても、ようたが死んでもなお「ごめんな」って言い続けてる幻覚が切なくてやばい。これは続きが気になりすぎる🔥