テラーノベル
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「 北斗、俺の知らねぇとこでくたばんなよ? 」
「 当たり前だろ?
樹こそ、俺いなくなって体調崩すんじゃねぇの。笑 」
「 馬鹿言うな。笑
お前は俺の親かよ。 」
「 …親だったら、無条件にずっと一緒にいれるだろ。笑 」
北斗はぎこちない笑みを浮かべた。
口角は上がっているのに、目の奥には光が宿っておらず、孤独だという北斗の考えだけが透けて見える。
「 …お前は、独りじゃないから。 」
「 …..うん。 」
少し言葉を詰まらせる。
ロサンゼルスの大学から指定校推薦を貰い、進学する
というのは、名誉なことであるのと同時に、孤独に苛まれることでもある。
北斗は、人間関係を作るのが昔から得意じゃない。
相手の一言を必要以上に気にするし、嫌われていないかを何度も確認する。
そんな北斗が、知り合いなんて一人もいない場所で暮らす。
俺には、それがどうしても心配だった。
東京大学も、受験すれば余裕で受かる
そんな北斗が、なぜ1人で未知の土地に降り立つ方を選択したか。
それは 父からの期待に応えるためだった。
彼の父はとても優秀で、様々な偉業を成し遂げた人間。
それが当たり前である彼の父は、息子である北斗に幼少期から完璧を求め続けた。
北斗は父からの期待に応えるため、必死に努力していた。
それは幼なじみである、俺が1番知っている。
だからこそ、今回の指定校推薦は父に認めてもらえる絶好の機会であり、逃すわけにはいかなかったのだ。
俺は、昔から北斗は災難だと思って見ていた。
父親からの期待に押しつぶされそうになりながら、努力をして、期待に応える。
認められずとも、褒めの言葉を貰えなくとも、父親を信じてついて行く。
こんなの、到底できることじゃない。
でも、それを北斗はやり続けてきた。
化け物以外の何物でもない。
そして、今回も俺は北斗を哀れんだ。
日本にいれば、言葉も伝わる、勉強も余裕でついていける、エリートになる道は目に見えている、高校時代からの交友関係も継続できる。
北斗にとって、良い条件でしかない。
けれど、父からはロサンゼルスへ行くことを求められている。
哀れむ以外にあるだろうか。
ただ、俺がグチグチ言ったところで、何かが変わるわけじゃない。
今は、不安に駆られている北斗を鼓舞することしかできないのだ。
「 …北斗、っ… 」
力いっぱい抱きしめた。
北斗は少し苦しそうな声を漏らしたが、すぐに俺の腰へと手が回る。
その手は、微かに震えていた。
「 お前は絶対あっちでもやっていける。
ずっと隣で見てきた俺が言うんだからな! 」
バシバシと背中を叩く。
「 …….帰ってきたら、俺んとこ会いに来いよ。 」
「 …もちろん。
土産たくさん持って、1番に会いにいくから待っとけ。 」
君の記憶になりたい。
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コメント
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読了しました。幼なじみの別れのシーン、胸にくるものがありますね。特に「口角は上がっているのに、目の奥には光が宿っておらず」という一文が、北斗の抱える孤独と父親へのプレッシャーを一瞬で伝えてきて、すごく印象に残りました。樹くんの「哀れんだ」という率直な内省も、友人としてのリアルな感情で共感しました。このふたりの関係がどうなっていくのか、続きが気になります。