第一章:フウクの朝
朝の光が窓から差し込むと、フウクはふわりと羽を伸ばした。
小さな木の止まり木にちょこんと座り、ゆっくりと周りを見回す。
「今日も、いい天気だな…」
フウクは心の中でそうつぶやいた。もちろん、フクロウは口を利かないけれど、フウクは特別だった。人間の言葉がわかり、ちょっとした独り言も理解できるのだ。
窓の外では、学校に向かう子どもたちの声が聞こえてくる。
フウクは少し首を傾げて考えた。
「僕も外に出てみようかな…」
翼を広げ、慎重に部屋の端から端へと滑るように飛ぶ。
まだ朝の空気はひんやりとしていて、羽根に触れるたびに小さな震えが伝わった。
外に出ると、街はすでに活動を始めている。自転車のベル、犬の散歩、パン屋の香り。
フウクは小さな体を風に乗せ、そっと街の通りを飛んだ。
角を曲がると、茶色い毛並みの猫が道路脇に座っていた。
「にゃー」
フウクは止まり木にとまったまま、猫を見つめる。猫もフウクをじっと見返す。
「おはよう、君も朝の散歩かい?」
猫の鳴き声は返事のようで、二匹はしばらく静かに見つめ合った。
その日、フウクは街を少し散歩して、人間の家や公園、そして小さな川のほとりまで足を伸ばした。
帰り道、フウクはふと思った。
「誰か、僕と一緒に遊んでくれる友達がいたらな…」
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