テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

    〜あらすじ〜

 検査を受けたkamomeは体調の悪化を実感しつつも、冗談を交わして翔を安心させようとする。

だが結果は厳しく──脳腫瘍の進行により手術が必要と告げられる。

「大丈夫」と強がるかもめの笑顔は、翔には痛いほど嘘だと分かっていた。




第四話 本編「黒の幕開け」


 病院の朝は、やたら早い。

 カーテン越しの光に目を細めると、隣のベッドから翔ちゃんの寝息が聞こえてきた。

 「ぐーすか」って言葉が似合う、やけに堂々とした寝顔。

 思わず笑ってしまいそうになったけど──すぐに、胸の奥がずきりと痛んだ。


 (……やっぱり、まだ頭痛が残ってる)


 昨日は「怖い」なんて本音を翔ちゃんにこぼしたのに。

 朝になったらまた「大丈夫」って言わなきゃ、って思ってる自分がいる。



 朝食のトレーが運ばれてきた。

 温かいスープの湯気が鼻に届いた瞬間、胃がきゅっと縮む。

 「……おぇ……」危うく声が出そうになり、慌てて咳払いした。


「どしたん? かもめん。スープと睨めっこしてるで」

 寝起きでぼさぼさの頭のまま、翔ちゃんがニヤニヤしている。


「いや……あの、スープが俺を見てきて……」

「は? スープと目ぇ合うやつおる? 新しい才能やん」


 思わず吹き出してしまい、つられて吐き気も引っ込んだ。

 ──こんなやりとりができるのも、翔ちゃんが隣にいるからだ。



 けど検査に呼ばれて、機械の台に横たわると、笑いなんか一瞬で消えた。

 冷たい台に体を預けてじっとするうち、頭の奥が痺れるように痛んで、視界が揺れる。

 終わって立ち上がろうとしたとき、足に全然力が入らず、そのまま車椅子に乗せられた。


 病室に戻ると、翔ちゃんがすぐに身を乗り出してきた。

「かもめん、顔真っ青やん! ゾンビ役で映画出られるで」

「……役者デビューするならもうちょいマシな役がいい」


 そう返したけど、息をするたび胸が重く、笑いが途中で途切れた。



 昼過ぎ、医師と母さんが病室に入ってきた。

 その空気で、嫌な予感はしていた。


「kamomeさん。検査の結果、脳腫瘍の進行が早いことが分かりました。早急に手術が必要です」


 母さんが短く息を呑む音。

 翔ちゃんが信じられないって顔で僕を見ている。


 胸の奥にあったざわめきが、一瞬で現実になった。

 昨日までの頭痛も吐き気も、全部「兆し」だったんだ。


 でも──泣いたら母さんが崩れる。翔ちゃんも不安になる。

 だから俺は、いつもの笑顔を無理やり作った。


「……分かりました。お願いします」


 自分でも驚くくらい冷静な声が出た。

 翔ちゃんは歯を食いしばりながら「大丈夫ちゃうやろ!」って言ったけど、俺は首を振る。


「翔ちゃんまで不安になったら、余計しんどいから」


 そう口にした瞬間、翔ちゃんの顔が苦しそうに歪んだ。

 俺の「大丈夫」は、やっぱりすぐバレる。



 夜。

 消灯した病室で、天井を見つめながら深呼吸した。

 手術が決まったというのに、頭の中に浮かぶのは翔ちゃんの寝癖とか、変な冗談とか。


 怖い。

 でも、隣にいる彼に「大丈夫」と言い張ることで、ほんの少しだけ勇気を保っていた。


「……大丈夫、大丈夫」


 そうつぶやいた声は、自分自身を励ます呪文みたいに、暗闇の中に溶けていった。



今回はここまで!

次回はkamomeさんが出演するゾンビの映画が公開されます!

嘘です!そんなもんないです!

最近閲覧数がなぜか消え去ってしまったので読んでくれた方は閲覧数の代わりにいいねをお願いします!


1/五億回の動きの向こうに。吐血しても笑う俺と翔

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

50

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚