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    〜あらすじ〜

手術前夜、恐怖と不安に押し潰されそうになりながらも、翔との冗談で心を保つかもめ。

翌朝、手術室の扉を前に「大丈夫」と強がりつつも、胸には希望と覚悟が燃えていた。



第五話 本編 「暁の炎」


 病室の明かりはもう消えていた。

 消灯後の静寂は、昨日とは違う圧迫感を帯びている。

 明日、手術台に乗る──それだけで、全身がぎゅっと縮こまるようだった。


 隣のベッドには翔ちゃんが座っていた。眠れていないのか、目が真っ赤で少し腫れている。

 「……大丈夫…?眠れないの、?翔ちゃん」

 俺は声をかけたつもりだったけど、声が震えて思わず笑いそうになる。


「いや、かもめんが隣におるから寝れ……んへっ、寝れるわけないやろ!」

 翔ちゃん、咳と笑いが混ざったような声で、まるで漫画のリアクションみたい。

 つい俺も吹き出してしまった。笑いながら、変に胸が熱くなる。



 俺はベッドの上で足をぶらぶら揺らす。

 手術前の緊張が全身に回り、呼吸が浅くなる。

 それでも、少しでも翔ちゃんを安心させたくて、無理やり明るく振る舞う。


「明日の朝、俺の頭、宇宙人にさらわれてるかもしれないけど……」

 冗談を言うと、翔ちゃんが「絶対、俺のせいやん!」と返す。

 くだらないやり取りだけど、笑いながらも心臓がバクバクしているのを抑えられない。


 ふと窓の外を見ると、夜明け前の空が淡く色づき始めていた。

 青とオレンジの混ざった空が、何だか希望のようにも見える。

 ──こんな色の空を見るために、生き残らなきゃ、って思った。



 その夜は長かった。

 点滴のチクチクする感覚も、痛いほどの頭痛も、全てがリアルな恐怖として迫ってくる。

 でも、翔ちゃんが隣に座っているだけで、少しだけ勇気が湧いた。


 「かもめん……約束な」

 翔ちゃんが小さく手を握ってくる。

 「手術、終わったら一緒にカレー食いに行こ」


 そんなふざけた約束に、思わず笑いが漏れる。

 「え、胃袋で生き返るんかい……」

 緊張の中で笑える自分が、ちょっと誇らしくもあった。



 そして朝。

 看護師さんに付き添われ、手術室の前に立つ。

 白い壁、消毒液の匂い、機械の音。全てが非日常で、心臓の音が大きく響く。


 「かもめん、怖ないか?」

 手術室の入り口で翔ちゃんが小さく聞く。

 俺は深呼吸をひとつ。


「……うん。でも、終わったらカレー、な?」

 冗談めかして言ったけど、翔ちゃんは真剣な目で頷いた。

 その目に、自分の全ての覚悟を映してもらった気がした。


 手術室の扉が開く。

 白衣の医師や看護師が迎え、俺の足は自然と前に進む。

 ベッドに横たわりながら、最後に心の中でつぶやいた。


「大丈夫、俺……負けないから。」


 手術が始まる。意識はまだはっきりしている。

 けれど、翔ちゃんと交わした約束の光が、胸の奥で確かに燃えていた。



今回はここまで!

次回、宇宙人にさらわれるかもめんです!嘘です!さらわれません!いつもみたいに閲覧数のいいねお願いしまんもす!

1/五億回の動きの向こうに。吐血しても笑う俺と翔

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