テラーノベル
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翌日の江古田高校。快晴の青空とは裏腹に、2年B組の教室にはどんよりとした暗雲が立ち込めていた。
「………………」
新一は自分の席で、頬杖をついたまま完全に魂が抜けたような顔をしていた。目の下にうっすらとクマがあるのは、昨夜、一睡もできなかった証拠だ。頭の中では、あの白い泥棒からの熱烈なラブレターの一言一言が、大音量でリフレインし続けている。
(『世界中の誰よりも、お前を愛しているよ、俺の可愛い名探偵』……って、あいつマジで何言ってんだよクソがッ……!!)
思い出すだけで、顔から火が出そうになる。新一が一人で悶絶していると、
「おはよー、工藤!」
背後から、昨日と全く変わらないトーンの、能天気な声が降ってきた。
「っひゃい!?」
新一は情けない声を上げて飛び上がった。振り返ると、鞄を肩にかけた快斗が、いつも通りのひょうきんな笑みを浮かべて立っている。
「うわ、なんだよその反応。お前、マジでどっか悪いんじゃねぇの? 目の下のクマ、やべーぞ」
快斗はそう言いながら、前の席の椅子をクルリと回転させて座り、新一の顔を覗き込んできた。
(く、黒羽……っ!)
昨日、キッドへの執着を熱弁してしまった相手の登場に、新一はさらにパニックに陥る。
「な、なんでもねーよ! ちょっと夕べ、厄介な事件があって寝不足なだけだ!」
「へーえ、事件ね。……あ、そういやニュースで見たぜ? 夕べ、またあの怪盗キッドが現れたんだろ? お前、またあいつに逃げられたんだって?」
快斗はわざとらしく小首を傾げ、ポケットから取り出したコインを指先で転がしながら、意地悪く目を細めた。
「どうだった? 夕べの知恵比べは。なんか面白いことあった?」
「うっ……!」
新一の顔が、一瞬で耳の根元まで真っ赤に染まる。
「な、何もねぇよ! 普通に、いつも通り煙に巻かれて逃げられただけだ!」
「えー、本当に~? お前、キッドの話題出した瞬間、顔が夕日より赤くなってるけど?」
快斗はニヤニヤと笑いながら、机に身を乗り出して新一に顔を近づけた。
「もしかしてさ、あいつにお前、なんか恥ずかしいことでも言われちゃったわけ?」
「ぶ、無礼なこと言うな! あいつが、あいつが勝手に……ッ!」
新一はあまりの動揺に、机の上の筆箱を落としそうになりながら怒鳴った。
「あいつ、盗聴器仕掛けてやがったんだよ!」
「は? 盗聴器?」
快斗は内心で(ぶっ、ははは!)と大爆笑しながら、必死に素っ頓狂な声を装う。
「そうだ! こないだ、俺がこの教室でお前に話したこと……あいつ、一言一句違わず全部知ってやがったんだ! 『最高の相棒』だの『隣に繋ぎ止めておきたい』だの……それを、わざわざ手紙に書いて置いていきやがって……っ!」
新一は両手で顔を覆い、ガタガタと震えながら机に突っ伏した。
ユイ
47
#改方学園
千導 渉
7
#名探偵コナン
サンフラワー
461
「あいつ……全部聞いてやがったんだ、黒羽……。俺、あいつの前で一生分の恥をかいた……。もうあいつの顔を真っ正面から見られる気がしねぇ……」
完全にノックアウトされている探偵の姿を特等席で眺めながら、快斗は喉の奥で笑い声を噛み殺すのに必死だった。
(やべぇ、可愛すぎる……! 盗聴器って、どんな斜め上の推理だよ、名探偵!)
快斗は突っ伏している新一の頭に、昨日と同じようにそっと手を置いた。そして、優しく髪を撫で回しながら、耳元で意地悪く囁く。
「へぇ……キッドも粋なことするじゃん。お前のその熱烈な片思い、あいつに通じて良かったな、工藤?」
「片思いじゃねぇ!! 違う、あれは探偵としての、執着で……っ!」
新一が勢いよく顔を跳ね上げる。その潤んだ瞳と真っ赤な顔を見つめながら、快斗は心の中で、怪盗としての完全勝利の美酒に酔いしれていた。
「ま、そんなに意識しちゃって、次の事件の時どうすんの? 顔真っ赤にしてあいつのこと見つめるわけ?」
「うるせぇ! 次こそは絶対に、あいつを現行犯で引っ捕らえて、あのニヤけたツラをひっぱたいてやる……ッ!」
恥ずかしさを怒りに変えて拳を握りしめる新一を、快斗は「がんばれ、がんばれー」と生温かい目で見守るのだった。
コメント
1件
ああああもう新一かわいすぎる!!😭💕 ラブレターの内容を思い出して真っ赤になるところとか、完全に恋する乙女じゃん…!「片思いじゃねぇ!!」って必死に否定するところも、逆に認めてるみたいでエモいよ〜🔥 快斗のSっぷりも最高で、盗聴の話で新一が自爆していく流れ、何度でも読みたい!次回の追いかけっこ、どうなるんだろう…ドキドキが止まらないよ!✨