テラーノベル
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桃 姫@フォロバ
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第7話:血の契約と、死闘の果ての誓い
ドンッ――!! ズズズンッ……!!
荒れ狂う砲撃音が大海原に響き渡り、両船の砲煙が空を黒く染め上げていた。
『黒狼号』の巨体が一際大きく揺れ、甲板の上に火花が飛び散る。
聖帝国の軍艦は、最新鋭の魔導砲を惜しみなく撃ち込んできていた。数では『黒狼号』が優勢であるものの、敵は最初からシオンの身柄を奪うことだけに集中し、接舷(せつげん)用の鉤縄(かぎなわ)を次々と打ち込んできたのだ。
敵海兵:「突撃ぃーっ! 人魚のガキを確保しろ! 抵抗する海賊どもは皆殺しだ!」
ドッと『黒狼号』の甲板へ雪崩れ込んでくる甲冑姿の敵兵たち。
ガルド:「ハンッ! 雑魚どもがゾロゾロと……俺たちの船に土足で上がってんじゃねぇよ!」
ガルドが巨大な斧を一閃させると、一瞬で数人の敵兵が吹っ飛んだ。圧倒的な腕力と威圧感で前線を食い止めるガルド。
フェニ:「ふふ、手荒な客人は嫌いじゃありませんが……僕たちの可愛いシオンくんを怯えさせるのは罪ですねぇ」
フェニは優雅に細剣を振るい、狐のような笑みを浮かべながら急所だけを正確に貫いていく。
そして、その中心で圧倒的な存在感を放つ船長レヴィ。
レヴィ:「俺の物に手を出そうとした愚かさを、死をもって知るがいい」
閃光のような一撃で敵の隊長格を斬り捨て、レヴィの金色の瞳が冷たく光る。
シオンは甲板の物陰から、自分を守るために戦う男たちの姿を必死に見つめていた。
シオン(心声):(みんな、すごい……! すごいけど……敵の数が多すぎるよ……っ!)
敵の執拗な攻勢は衰えない。その時だった。
敵の精鋭兵の一人が、混戦の隙を突いてシオンの隠れている物陰へと回り込んできたのだ。
敵精鋭兵:「ハハハ! 見つけたぞ、人魚のガキ! 大人しく我ら帝国へ来るんだ!」
シオン:「ひっ……! 嫌です! 僕はどこにも行きません!」
敵兵がシオンの華奢な腕を力任せに掴み上げ、強引に連れ去ろうとする。
ガルド:「――シオンっ!!」
遠くで敵を散らしていたガルドが悲鳴のような声を上げた。
ガルドはシオンのピンチを見るや否や、背後からの敵の攻撃を一切無視してシオンの元へ一直線に走り出した。
ガルド:「その汚ねぇ手で……シオンに触ってんじゃねぇ!!」
ドスッ……!
ガルドの斧が敵兵を叩き切ったが、同時にガルドの背中へ、別の敵兵の長槍が深く刺さった。
ガルド:「ぐあっ……!!」
シオン:「ガルドさんっ!!」
真っ赤な血がガルドの背中から吹き出し、巨躯がドサリと膝をつく。
敵精鋭兵:「やったぞ! 用心棒を倒した! ガキを回収――」
シオン:「ガルドさんに……触るなあああっ!!」
普段のおっとりしたシオンからは想像もつかない、裂けるような悲鳴。
シオンは足元に落ちていた砕けた木のウロコを拾うと、夢中で敵兵の顔面に突き立てた。
敵精鋭兵:「ぐあぁっ!? こ、このガキ……っ!」
怯んだ敵兵を蹴飛ばし、シオンは倒れ込んだガルドの元へ駆け寄った。
シオン:「ガルドさん! ガルドさんっ! しっかりしてください! 血が……血がいっぱい……っ!」
ガルド:「ぐ……くそっ……油断した……。ガキ……下がれ……お前は俺が……」
背中の激痛と出血で、ガルドの意識が遠のきかけている。
周囲には、さらに数人の敵兵が不敵な笑みを浮かべて近づいてきていた。
レヴィとフェニも敵の重囲を破ろうと必死に刃を振るっているが、あと数秒、距離が足りない。
(このままじゃ……ガルドさんが死んじゃう! みんなが連れていかれちゃう……!)
シオンの頭の中で、何かが弾けた。
恐怖も、躊躇も、すべてが吹き飛んだ。
シオン(心声):(僕の血は……不老不死の薬……! 傷を治して、力を与える血……! 僕の血で……大切なガルドさんを助けるんだ!!)
シオンは自らの手首に指をかけると、白い歯でガブリと力任せに皮膚を噛みちぎった。
鮮血がどっと溢れ出す。
昼間の比ではない、濃厚で甘く、官能的で恐ろしいほどの命の香気が、甲板全体に爆発的に広がった。
敵兵たち:「な、なんだこの匂いは……!? 息が……頭がクラクラする……っ!」
あまりの香気の強さに、周囲の敵兵たちが目を見開き、その場に崩れ落ちていく。
シオンは血の滴る手首を、瀕死のガルドの唇に強く押し当てた。
シオン:「ガルドさん! 吸ってください! 僕の血を……僕の全部を吸って、立ってください!!」
ガルド:「シオン……お前……っ」
ガルドの口内に、熱く甘いシオンの血が流れ込む。
その瞬間――。
ズキンっ!!!
ガルドの瞳が、獣のようにカッと見開かれた。
背中の傷口が、激しい音を立てるかのような勢いで一瞬で塞がっていく。それどころか、シオンの「守りたい」という強い意志がこもった純度百パーセントの血は、ガルドの全身の細胞を激しく覚醒させた。
ガルドの全身から、凄まじい威圧感と熱気が噴き出す。
ガルド:「ウオオオオオオオオッ!!!!」
野獣の咆哮とともに、ガルドが跳ね起きるように立ち上がった。
背中の傷は完全に消え去り、その眼光は地獄の鬼神そのものだった。
ガルド:「俺の……俺のシオンに血を流させやがったな……ゴミ屑どもがぁぁぁっ!!」
暴走したガルドの凄まじい一撃が破砕音を響かせ、近づいてきた敵兵たちを一瞬で肉塊へと変えた。
その惨状とシオンの血の香気に触発され、レヴィとフェニの理性の糸も完全に切れた。
レヴィ:「……シオンに血を吐かせただと……?」
レヴィの金色の瞳が、殺意で黒く濁る。レヴィの刃が目にも留まらぬ速さで閃き、周囲の敵兵を瞬く間に薙ぎ払っていく。
フェニ:「あぁ……僕たちのシオンくんの綺麗な肌に傷をつけさせるなんて……許せませんねぇ」
フェニの細剣が旋風のように舞い、敵の将校たちを正確に血祭りにあげていく。
シオンの血によって覚醒した三人の男たちの前には、帝国の精鋭部隊など赤子同然だった。
わずか数分後――『黒狼号』の甲板の上に立っている敵兵は、一人もいなくなっていた。
残された軍艦は炎を上げて沈み始め、完全な勝利が『黒狼号』にもたらされたのだった。
◇
戦いが終わり、静けさを取り戻した甲板。
海賊たちが勝ち鬨をあげる中、シオンは血の滲む手首を抱え、ペタリと甲板に座り込んでいた。
シオン:「はぁ……はぁ……。よかった……ガルドさん、無事で……」
緊張が切れ、シオンの体にどっと脱力感が押し寄せる。
そこへ、ドカドカと激しい足音が近づいてきた。
ガルド:「シオンっ!!」
ガルドがシオンの前に膝をつくと、シオンの傷ついた手首を両手で包み込んだ。
驚異的な治癒力で傷は塞がり始めていたが、シオンが自ら手首を噛み切った痕は生々しく残っていた。
ガルド:「お前……なんでこんな無茶な真似したんだ……! 俺のために自分を傷つけるなんて……!」
ガルドの声は震えていた。怒りと、申し訳なさと、そして愛おしさが混ざり合った瞳でシオンを見つめている。
シオン:「えへへ……だって、ガルドさんが怪我しちゃったから……。僕、ガルドさんに死んでほしくなかったんです。僕の大切な人だから……」
シオンが涙ぐみながら微笑むと、ガルドはたまらずシオンを胸の中に強く抱きしめた。
ガルド:「バカ野郎……! 本当にバカ野郎だお前は……! ありがとな……シオン……っ」
ガルドの太い腕が、シオンを潰れそうなほど強く抱きしめる。
そこへ、レヴィとフェニも歩み寄ってきた。
レヴィ:「……無茶をしすぎるぞ、シオン」
レヴィの顔は怒っていたが、その手は優しくシオンの蒼い髪を撫でていた。
フェニ:「本当ですよ。君が手首を噛み切った時、僕、心臓が止まるかと思いました。……でも、格好良かったですよ、シオンくん」
フェニはシオンの前で屈むと、シオンの傷痕が残る手首にそっと唇を寄せ、残った血を舐めとるように優しくキスをした。
シオン:「フェニさん……っ」
レヴィはガルドの腕からシオンを引き上げると、横抱きに抱きかかえた。
シオン:「ふぁ……っ!? 船長さん?」
レヴィ:「仕事は終わった。……これから、お前にお仕置きとご褒美を与えなければならん」
シオン:「え……? お仕置き……? ご褒美……?」
首を傾げるシオンに、レヴィは凶暴なまでに甘い笑みを向けた。
レヴィ:「自分を傷つけたお仕置きと、俺たちを救ってくれたご褒美だ。……今夜も、たっぷり俺たちの愛を受け取ってもらうぞ」
ガルド:「あぁ……今夜は俺も容赦しねぇからな、シオン」
フェニ:「ふふ、僕も今回は最後までじっくり愛でさせてもらいますね」
男三人のギラギラとした熱い視線が、シオンに注がれる。
シオン(心声):(あ、あれ……? お仕置きとご褒美って……また昨日みたいに、みんなにいっぱい気持ちよくされちゃうのかな……?)
シオンは顔を真っ赤にしながらも、男たちの首にぎゅっと腕を回した。
シオン:「はい……! 船長さん、ガルドさん、フェニさん……僕、みんなのお仕置きもご褒美も、全部受け止めます!」
どこまでも無自覚で、どこまでも愛らしい少年の返事に、男たちは愛おしさに胸を打ち震わせた。
夕空の下、逃げ場のない洋上の船で。
少年と男たちの「愛の囚われ」は、もう誰にも引き裂くことのできない絆となって、永遠に続いていくのだった。
コメント
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ガルドがシオンを守るために傷ついたところ、もう涙出た……😭💕 そこからのシオンが自分の血を差し出す覚悟!!! 普段あんなにおっとりしてたのに「触るなあああ!!」って叫んで敵に立ち向かう姿、マジで尊すぎる!! ガルドが覚醒して暴走するところも、他の二人の殺意が切れる瞬間もエモすぎてやばかった🥺💦 最後の「お仕置きとご褒美」展開には思わずニヤけたけどね…!? 次回も待ってます🔥