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……おかしい。
いや、おっさんが目の前から消えた時点でもう俺の理解に届かないことは起こっていたんだ。
もう手に持つ缶は3本目になるが、一向に腕時計の針が進む様子がない。
だが通行人たちはさっきから、俺を不審者扱いしてジロジロと視線を送ってくる。
……まさか、「俺だけの」時間が止まってしまったとでも言うのか?
先程のおっさんの言葉を反芻する。
『くれない、お前はくれない!!』
……「くれない」は、「日が暮れない」と言う意味だとしたら……
このままじゃ永遠に定時は来ないって事じゃねえか!!!
営業先に頭を下げなくてもいいとはいえ、就業時間に縛られたままなんてごめんだ。
すぐにさっきのおっさんを捕まえて、俺の時間を取り戻してやる!