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私はここ、デビルズパレスの主だ。
ここには16人の個性豊かな悪魔執事達が居る。
悪魔執事達は過去に死にたくなるような、
そんな絶望を味わった者しかなれない。
私も詳しくは知らないが、今はみんな優しく
笑顔に過ごしているように見える、
ラムリ「主様じゃないですかぁ〜♪」
私「ラムリ、どうしかしたの?何か用?」
ラムリ「用なんてありませんよ!僕は主様と居れればそれで幸せなんですから」
私「フフッ ありがと笑」
ラムリ「あ!主様が笑った!嬉しいなぁ〜」
こう見えても過去に絶望を味わっている
なんて、私には到底そう見えない
ラムリ「あ!僕ナックに追いかけられてるんでした!主様!さようなら!」
私「うん笑」
突然だが、
ここには”天使”と呼ばれる生物がいる。
いきなり空から降りてきて人々に手をかざし
消し去っていくこの世界の恐怖の対象だ。
だが、天使が現れない時間はとても平和で
執事達と楽しく笑い合う
私はこの一時の安らぎの時間が大好きだ。
でも、私にも自分の生活がある…
言うのが遅れたがここは別の世界である。
この指輪を通してこちらに来ている状態だ
この指輪を外すといつも居る私の世界に
戻ってくる事が出来る、出来てしまうのだ…
私は自分の世界とこちらの世界を
行き来している状態になる。
そして今…もう帰らなくては行けない時間だ
私「嫌だな…」
そう言葉を零すとムーが、
ムー「どうしたんですか?主様」
私「ううん、何も無いよ」
ムー「そうですか!ならよかったです」
私「うん、そろそろ帰らなきゃ行けないんだけど、外の空気を吸ってから帰るね、」
ムー「分かりました!ベリアンさんに伝えておきますね!あ、でも…1人で大丈夫ですか?」
私「大丈夫、庭に出るだけだから」
ムー「分かりました!気を付けて行ってきてくださいね!」
私「ありがとう、ムー」
お礼を言うと私は庭へと向かった。
外は少し肌寒く一番星が出ているのが見えた
近くにあった石に三角座りをし、
膝に顔を埋めた。
私「はぁ…」
誰も居ないと安心し私は溜息をこぼした
私「帰りたくない…」
でも帰らなくてはいけない
その葛藤を抱えながら悶々としていた時に
声を掛けられた。
テディ「あれ?主様じゃないですか、こんな時間に庭でどうしたんですか?」
私「テディ…それに、ユーハンにハナマル…」
見ると別邸組がそこに居た
ハナマル「どうしたんだ?こんなとこで…もしかして家に帰りたくないのか?笑」
と、ニヤニヤしながら言うハナマル
私「帰る前に外の空気を吸ってから帰りたかっただけだよ」
心は痛むが嘘をつく
ユーハン「本当ですか?寒くありませんか?」
私「大丈夫だよ笑」
テディ「ならいいんですが…」
見つかってしまったので帰るしか選択肢が
なくなり仕方なく目の前で指輪を外した。
次に目を開けると見慣れた部屋だった。
少しして私は帰ってきてしまったのだと
実感した。
いや、してしまったのだ…
私「………」
無言のまま明日の学校への準備を進める。
御守りのようにいつも持っている指輪を
カバンに入れそのまま眠りについた
私「んぅ…」
朝が来てしまった。私は身支度を整え、
学校へと歩みを進めた。そして、
ついに校門の目の前まで来た。
私「……ふぅ…」
気持ちを落ち着ける為に深呼吸をし、
教室へと向かう
机に座り、数分が経ち
ガララッ
そう音を立てて扉が開かれた。
そこには担任の先生が居た
私はこの先生が苦手だ。良くない噂もそうだが
なんというか、図々しい感じがする。
私がそう思っていると先生が口を開いた
担任「今から、抜き打ち持ち物チェックをします!」
クラスメイト「げっ…」
クラスメイト「マジかよ…」
クラスメイト「どうしよう…リップ持ってきちゃった…」
クラスメイトの焦る声がする。
でも私は焦る必要が無い、なぜなら
ダメなものなんて持ってきていないからだ。
1人、1人とカバンの中身を見せていく
ついに、私の番が回ってきた
担任「それでは、見せてもらいますね」
私「…どうぞ」
*ガサゴソ*と物をあさる音がする。
ニヤリと笑いこちらを見た
担任「これは、どういう事かしら?○○さん」
おかしい、何もいけないものは
持ってきていないはずだ、そう思い
先生の持っているものを見る
私「あ…そ、それは…」
先生が持っていた物…それは、
担任「どういう事かしら?勉学には指輪は必要ないはずだけど?」
言葉が詰まる、良い返しをしないと
没収になってしまう、そしたら、そしたら、あちらに行けなくなる…みんなを、みんなを救えなくなる…
私「勉学に関係ないものを持ってきてしまってすみません、でもそれは私の御守りです。学校で付けるわけでも無いですし、ただ”御守りとして”カバンの中に入っているだけです。」
担任「でも、勉学に関係ないものなのは確かなのよね?」
私「ッッ…は、はい…」
担任「なら、」
ニヤリと笑みを作り、先生は私の一番聞きたくない答えを導き出し言った。
私「………」
私「…放課後には返してくれるんですよね?」
担任「ん〜、貴方の態度次第ね♡」
と、薄気味悪い表情でこちらをニヤニヤと見る、
そこからは、不安で何も感じなくなった、
考えられなくなった。さっきも言ったが、
あの先生には良くない噂がある、それは、
っという噂だ、そして取られた時点から
私は薄々気が付いていた、何度も何度も
頭の中を「指輪は帰ってこないかもしれない」
その思考がぐるぐると回り、気分が悪い
気が付くと、もう放課後になっていた。
チャイムの音を聞き居ても立ってもいられず
先生の所へと早足で向かう
*コンコン*と職員室の扉を叩く、
自分の名前を言い先生の名前を呼び
先生の目の前に立った。
私「先生、指輪を返してください」
無理ね、と吐き捨てる先生
私「どうしてですか…?」
担任「貴方の態度が悪いから、それ以外にないでしょ?…そうねぇ、返すとしても卒業の時かしらね〜」
卒業、その言葉を聞いて一瞬戸惑った。
なぜなら今の季節は春。進級したばかりだ
それなのに卒業までとなると少なくとも1年は
必ずかかるだろう、
私「どうしても返してくれませんか?」
担任「無理だと言っているのが聞こえないのかしら?」
私「………」
言い返せる言葉が脳裏に浮かばない
私はただそこに突っ立っていることしか
出来ない。自分はなんて無力なのかを
嫌なほど思い知らされる。
担任「さ、早く家に帰りなさい。私は仕事があるのでね」
頭は真っ白だった。何も言い返せず、
そのまま帰路へと向かった。
家へ着いても屋敷へ帰る手段を
失ってしまった、こうしている間にも
「天使が襲ってきているかもしれない、」
「誰かが怪我をしているかもしれない、」
「貴族達にまた無理難題を
押し付けられているかもしれない、」
数々の不安が脳裏にこびりついて離れない。
どうやって、どうやって指輪を取り返そう、
正直、私はどうなったって構わない、
でも…私に唯一生きる目的をくれた”彼ら”の
役に私は立ちたい。たとえ、私がどうなろうと