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ふと、カーテンの隙間からこぼれる陽の光で目が覚めた。
……よく寝た。
こんなにぐっすり眠ったのは、いつぶりだろう。
いつもなら、その眩しさに眉をひそめて二度寝するのがルーティンなのに、今日は不思議と、何も考えずに眠れた気がする。
すっきりとした目覚めだ。
「……はっ!」
脳が一気に現実を思い出す。
昨夜のこと。阿部のこと。
この心地よい疲労感も、ふかふかのベッドも、俺が望んだものじゃない。しかしそれによってこんなにも清々しい朝を迎えてしまったことが、何となく悔しい。
サイドテーブルの上に無造作に置かれた現金の束が、嫌でも現実を突きつけてくる。
ピロン
とスマホが通知する。
『おはよう、ふっか。ぐっすり眠れた?』
うざいくらいの爽やかなメッセージに、だる。と本音が漏れたのはここだけの秘密。
『阿部ちゃん、おはよう。よく眠れたよ!』
当たり障りのない文章を返す。
友達とは名ばかりだ。
少なくともこの金額に見合う仕事をするまでは俺は阿部の言う事を聞くしかない。
最初の頃はそうやってずっと意識していた。
「50万の価値を返さなきゃ」って。
食事の間の会話、ちょっとした仕草、笑うタイミング——全部、気を抜かないようにしていた。
けれど、阿部ちゃんは想像よりずっと“普通”だった。普通で平穏で、なんなら多分俺たちは相性がいい。
お互いにボケとツッコミがころころ変わって、気兼ねなく話せる、本当の友達みたいな関係になっていった。
阿部ちゃんとの日々は概ね順調で、普通の男友達がするようなことは一通り遊んだ。
カラオケ、シーシャ、ダーツ、ボウリング、シュミレーションゴルフ、釣り、バッティングセンター、映画etc…
唯一、繋がる日だけは上下関係がはっきりとした。
初めのうちは普通に正常位
そのうち騎乗位やバック
体位もプレイも普通だったはず。なのに、
いつからだろう阿部ちゃんからの要求がエスカレートしていったのは……
「あがっ!……はぁ、はぁ、も、む」
「んー?」
「あ、違う違う!も、もっと、もっと♡」
「(ニコッ)よく出来ました。」
その時の阿部ちゃんは、
顔は笑ってても 目の奥はちっとも笑ってない。