テラーノベル
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篠原愛紀
#独占欲
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ランチタイム後の、静かな裏通りの公園。たった一言を言えばいいだけなのに、頭の中では言葉が生まれては砕け、形を成さないまま消えていった。
「王子谷? 顔色が悪いみたいだけど、パスタ、口に合わなかったかしら」
「……っ、すげえうまかったっす」
情けないほど上ずった声が出た。視界の端には、公園の出口を告げる白いアーチが迫っている。あそこを抜けて大通りに出れば、そこはもう「会社」という現実の世界だ。一歩、また一歩と、二人の時間が削り取られていく。
「あの、雨宮主任」
勇気を振り絞って出した声が、震えた。主任が足を止め、俺も止まる。木漏れ日が彼女の肩で揺れ、一瞬、時間が止まったような気がした。
「……俺、主任のこと――」