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???「ない……ないなぁ……これも違う……これも……これも……これも何もかも違う……!!!!」
「クソっっっっ!!!!」
パッッッッリーン!!!!
「ちょっとあなたまた壊したの!?窓ガラス!!雫さんにまた迷惑を……」
???「先生。こんにちは」
先生に言葉を返したのは「雨花」だった。
手と頬から出血した血を舐めながら、先生にニコッと笑いながら、閉じていた「何も映っていない目」をゆっくり開ける。
「何がこんにちはよ!あなたの内申点下げますからね!」
雨花「よし……もっと……蔵の方にあるのかな」
先生の言葉なんて入っていないのか、考え事をして床に散らかした本を踏み抜きながら、教室を出た雨花。
「全くもう……こんな学校に赴任するんじゃなかった……どこもかしこも問題児だけ……」
これは、「雨花」の一年生最後の授業の日に起きたある出来事の話である。
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???「雨花。授業出ないのか?」
雨花に話しかけているのは、「兎白」だ。
雨花「出ないよ。そんなことより探さなきゃいけないものがあるから」
兎白「その探し物って何なんだ?」
雨花「教えたら兎白くん一緒に探そうとするでしょ?絶対にこれだけはわたしだけで探し出さないといけないの」
兎白「そう……なのか?というかまた怪我したのか?」
雨花には手と頬にガーゼが貼られている、
兎白「また物を壊したのか?弁償代は雫さんが出してくれてるからってずっと払われてたら雫さんにも迷惑が……」
雨花「寧ろ喜んでるよ。あの人は」
兎白「え?」
雨花「じゃあわたしは行くから」
兎白「あ、あぁ……」
雨花「…………違う。『レブルキー』の詳細がどこにあるのか……やっぱり西洋に行かないといけないのかな。でも、蔵にもないとなると……」
「「クソ野郎ども!!!!!!」」
雨花「ん?」
蔵から出ると、校舎の方から騒ぎが聴こえた。
「生徒が人質にされた!!」「警察に連絡を!!」「しかし、この学園は妖怪の保護用の結界を張っているから警察が来てもただの廃校にしかみれない」「雫さんを呼べ!大至急!」
雨花「あぁ〜……なるほどね」
これはチャンスかも……
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「てめぇらは良いよな!受験なんてしなくても選ばれれば入学できるなんてよ!!さぞ頭が良いのかと思ったが全然じゃねぇか!!この黒板に書かれてる問題全部どこにでもある高校の問題だ!!ふざけんなよなぁぁ!!」
立てこもり犯は、顔をかきながら血管が浮き出るほど興奮しながらナイフを振り回している。
「まずはこいつを殺してやる。生徒を順番に殺してやるからなぁ!生徒を脅して一緒に校内に入ったからか全然寂れてねぇし……変な学校だぜ。よぉしまずは……」
「きゃあ!!離して!!」
「うるせぇ!!お前らがいけないんだ!!俺がどんだけ苦労したと想ってる!?どれだけ頑張ったと想ってる!?それなのに俺は第一志望校入れなかったんだ!!お前らみたいに簡単に選ばれられてのうのうと学校生活してる奴には分かんねぇんだよ!!!!」
そして、生徒が刺される時、
ガッッッッシャーーーーン!!!!
???「ごめんねぇ〜ちょっとイラッときちゃった」
「!、何だ?!」
教室の窓ガラスを蹴り壊して、教室に突破した者がいた。それは……
「「黒い彼岸花」だ!」
雨花「いやそこは「雨花」って言ってよ」
雨花はガラスの破片で顔も体も血だらけである。
「な、なん……だ!?」
雨花は、逆立ちになって犯人の顎を下から蹴り込んだ。
「ごっふ!」
雨花「よいしょっと!みんなはもう逃げな!」
そして、犯人の頸動脈を締め上げた。
「は、はい!」
「く、くる、くるひぃ」
雨花「あなた、選ばれた者が羨ましいって言うけど、自分の努力が報われなかったのが嫌だっただけでしょ?」
「だ、だけ、だと?お、お前に何が分かるっ!選ばれてぬくぬく楽しく学校生活送ってるやつに何が……!あがっ!」
雨花「あっごめんねぇ、ついイラッときて力強くしちゃった。てへっ」
雨花は淡々と言葉を放つ。あまりにも淡々としすぎてとても恐いのか犯人も逃げ出そうにも逃げ出せない。まぁ例え怯んでいなくても犯人が雨花から逃げれるわけないのだが。
「な、何が言いたいんだ……っ!」
雨花「簡単な話だよ。選ばれるという行為は素晴らしいものだと誰もが言うけれど、こっちの都合もあるのに考えず、勝手に選ばれるのは、迷惑でしかない。選ばれるという行為はそれほど素晴らしくなんてない。中には選ばれることでさらに重圧を感じて素行に走る者もいる。選ばれた者全員が幸せ者とは思わないが良いよ。それは偏見だから。ね?」
「じゃあ……な、んだ?お、俺が間違って……るって言いたい……のか」
雨花「あはは。じゃああなたはわたしが間違いだって言いたいのかな?」
「お、俺、は沢山努力……してき……た。俺は、頑張っ……たんだ!それを……間違いだなんてっ!」
「「認めない!!」」
雨花「…………ふーん。単純な人だね」
「ぐはっげっほげほ」
雨花は締め上げていた腕を解いた。
雨花「じゃああなたの正しさ、ここで証明してみせてよ。わたしを殺せたらあなたは正しいってことになるんでしょ?さぁ、やってみせて」
「は、はぁ?……よし、やってやる」
雨花「うん。殺意に満ちた目。わたし嫌いじゃないよ。ただ一つ言っておく。」
「何だよ?」
雨花「殺さない人と殺す人との差は、感情で殺意を握るか、本能で殺意を握るか、たったこれだけだよ。」
「さてと」
「「あなたはどっちかな?」」
雨花は、ニコッと笑う。その瞬間、空気がとても重くなり、暖かくも冷たくもない。何とも言えない感触になった。それが堪らなく恐さを募らせる。
「ひ、ひぃ……」
犯人はナイフを落とした。
雨花「うん。あなたは前者だったんだね。」
「その方が良いよ」
「え?」
雨花は、今度は本当に優しく微笑む。
雨花「殺さないという選択を取ることが正しいとは言わない。でも、殺さないのも殺すのもどちらも同じ強さなら、人生をやり直せる殺さないを選択した方が後にあなたの人生が終わる時、「頑張ったね」って言って貰える一生になりやすいと想うから。あなたはよく頑張ってるんだよ。あなたの努力はかっこいいよ」
この人は
やり直せるという考えを持ててる
それは誰しもが持てるものじゃない
一番最初に
まだ後悔する前に
こういう言葉をかけた方が
ほんの少し自分を許しても良いのかなって
想えるんじゃないかな
想えると良いな
わたしは
例えそうだったとしても
無理だな
「あ、あぁぁぁあ!!!!」
犯人は崩れ落ちて、泣き続けた。
その涙を雨花はじっとみつめていた。
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雨花「おんなかほんなかぽっぽっぽっー」
兎白「何なんだ?その歌」
桃時「よく歌ってるわよね」
ここは、屋上。紅蓮先生の「良いよー」という屋上に入る許可は一応取ったため、兎白も安心して食べている。「桃時」は「それよりも!」と話を続ける。
桃時「あんたが犯人討ち取ったって本当?」
雨花「いやそんな大袈裟なものじゃないよ」
兎白「確か雫さんの話では、現場に行った時にはもう既に犯人は泣き崩れていたと言っていたとか……」
桃時「何したのよ」
雨花「だから何にもしてないって〜」
桃時「あんたがこういう人が沢山いる場所で善行をするのは何かおかしい。何か狙いがあるんでしょ?」
雨花「うーん」
雨花は、雫との会話を想い出す。
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雨花「さぁ雫さん!ここまで学校に貢献したんですからもっと「レブルキー」のヒント下さい。ヒント!」
雫「「レブルキー」とはもう分かっているんだね。確かに君には大きな借りができたね。あの男の子を素手で倒して、嬉しさで泣かせた……君は本当に……」
雨花「そういうの良いので、早く教えて下さい」
雫「ふふっ分かった。ではその借りの一部を今回君に返そう。「レブルキー」は……」
「「この学校にある」」
雨花「え」
雫「学校のどこにあるかは、教えても良いけど、それだと今、ここで、君への借りを全て返すことになるけど、それでも良いのかい?」
雨花「……自分で探します。では」
雨花は去っていった。
雫「あの「レブルキー」の場所……気づけるかな?」
「「雨花」」
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雨花「ずぅー」
桃時「ちょっと!飲み物飲んでないで教えなさいよ!」
兎白「まぁ桃時落ち着け」
桃時「絶対何かあるわ……ブツブツ」
雨花「女は秘密を飾って美しくなるって某小学生名探偵アニメに出てくる女の人が言ってたじゃん!」
桃時「あんたとあの人を同列に扱うなんてその人におこがましいにも程があるわよ!」
兎白「てことは桃時は秘密を飾ってないんだな」
桃時「それ……どういう意味……?」
兎白「桃時は美しいんじゃなくて可愛いからな」
桃時「なっ////そ、そうかしら?」
兎白「あぁそうだ」
雨花「わたしサボり場所まで帰って良い?」
こうして、雨花に起きたある出来事は幕を下ろした。