C.E.70。地球連合軍ナチュラルとザフトのコーディネーターとの確執は本格的な戦争へと発展した。中立国ヘリオポリスの工場区に暗雲立ち込める。学生キラ・ヤマトは親友との破れた誓いを馳せていた。小鳥のロボット・トリィが青空の下、帰って来る。工業カレッジの補習授業は続く。
「キラ君。CDにコピーを」
「はい。分かりました」
クラスメイトの級友達が見守っている。ミリアリアが席を立ち上がった。
「先生。ここも戦争になっちゃうんですか?」
「ヘリオポリスは平和な都市です。ライフ・ラインが完備していて何も心配有りません」
トールがパソコンに文章を打つ手を止めて言う。
「地球軍は何を隠しているんです?コーディネーターは進化人の強過ぎる力をもっと有効に使うべきでは?」
フレイがキラに紙ヒコーキを送った。彼の前髪に触れる。
「クス、キラったら」
僕らの日常は平和だった。宇宙コロニーのザフト軍基地ではガンダム奪取作戦が極秘に開始された。アスラン・ザラは戦友達と共に死線を掻い潜る。
「ディアッカ。俺が先に行く」
「間抜けなもんだ。弱いにも程がある。生意気なんだよ、ナチュラルの分際でMSの開発など」
「ガンダム……か」
イザークの隣に居たエビナがパイロットスーツに着替えヘルメットを被る。三……二……一!
「カウント・ダウン省略。後は自己の判断で行動する」
「行くぞ。Gの奪取だ!」
エビナがアスランの横顔を覗き込む。
「どうした。遺伝子操作に不備でも?」
「……何でも無い」
迫り来る危機。キラはレンタカーの助手席に乗り女子トークに耳を傾ける。
「今度皆でカラオケ行かない?暗いニュースばかりで飽きちゃった」
トールがハンドルを切る。街は何時もの様に退屈だ。
「ねェ……キラは何を歌うの?」
「僕は普通に、皆のリクエストの曲を……」
「フレイ、平和ボケしすぎよ。軍の極秘資料がXで拡散されてるの」
車内は学生のノリで盛り上がる。トールはキラの様子を伺う。
「キラ!もっと大学生らしくハジけろ、大切な思い出作りだぞ」
「そ、そうかな」
ミリアリアとフレイがドライブを楽しんでいた。商業施設のラウンジにて卓球で遊ぶ。
「受けてみろ!俺の必殺サーブ!」
「痛いよトール」
「止めなさいよあんた達〜」
「……」
地震!?揺れる場内!キラ達は倒れ込む……まさか。
「MSだ!逃げろ!!」
「警察と軍隊に連絡を!女子供が先だ!」
「避難シェルターへ急げ!ザフト軍の攻撃だ!!」
キラ達は誘導に従い激走する!途中で躓くフレイの手を取ってキラは皆の先頭に立つ!
「大丈夫。助かるよ、泣かないで」
「キラ……怖い」
「僕が側にいる」
ヘリオポリスの基地ではマリュー大尉がGの起動を示唆していた。
「何をしている!学生ごときが戦場に出てくるな!」
「避難シェルターは!?」
「西区へ行け!ここはもう限界が近い!」
夕焼け空にはザフト軍の奪取したガンダムの姿があった。どうする……?マリューがキラの手を取り友達と別れ基地の中へと入り込む。
「死にたくなかったら走れ!振り返るな!」
「で、でも……」
アスランの殺意が二人を死に分かつ!
「くそ!!」
「キラ……?」
「ア、アスラン……」
ストライクが見つめる中、爆風と硝煙の匂いが二人を包む。マリューはアスランに銃を向けて息を切らしながら呟く。
「コーディネーターが何の用だ、ここは中立国だ!」
「お前、なのか?」
「君……軍人になったの?」
キラの問い掛けに彼は感情を殺しイージスガンダムに乗った。戦場に咲いた友情の花は儚く散った。マリューは辺りを見渡す。凄惨とした現場が炎を猛りMSの戦いへと火花を散らす!
「ここはストライクのコックピット……」
「乗れ。軍の機密を知った以上タダでは帰さん、戦争だ」
アスラン……本当に君なのか?
「知っているのか?ザフトは敵だ」
「再会を夢見ていた知人です!!彼を撃ちたくない!!」
「黙れ。殺らなきゃお前が死ぬぞ」
「僕は……」
二人きりの狭い座席でマリューはレバーのスイッチを入れる。モニターにはシェルターと地球軍基地の戦旗が追風で靡いている。
「闘え。キラ・ヤマト」
「はい」
かつての友は怒り狂う、生か死か……C.E.が哭いている!!
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!