テラーノベル
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それは、9人で泊まり込みのロケがあった、とある夜のことだった。
明日の朝が早いこともあり、リビングでそれぞれが思い思いの時間を過ごした後、そろそろ寝ようか、という空気が流れ始めた、午後11時。
「よーし、寝る前にアレ食べちゃおっかな〜!」
深澤辰哉が、ウキウキとした足取りでリビングに備え付けられた大きな冷蔵庫へと向かった。彼のお目当ては、今日のロケの帰りに自分へのご褒美として買った、テレビでも紹介されたことのある一個800円もする高級プリンだ。
とろけるような舌触りと、濃厚なカラメルソースが織りなすハーモニー…。それを楽しみに、今日の過酷なロケを乗り切ったと言っても過言ではない。
冷蔵庫のドアを開け、一番目立つようにと置いておいたはずの、金の箱を探す。
…ない。
あれ?
おかしいな。隅っこに置いたんだっけ?
野菜室に間違えて入れた?
深澤が冷蔵庫の中をくまなく探すが、金の箱に入ったプリンはどこにも見当たらない。
代わりに、空になった金の箱と、小さなプラスチックのスプーンが、ゴミ箱の隅に無造作に捨てられているのを、彼の目は捉えてしまった。
「ああああああああああああああ!!!」
静かだったはずの夜の宿泊施設に、最年長の悲痛な叫び声が響き渡った。
コメント
2件
話の入り方が天才すぎます! 続き気長に待ってます!!