テラーノベル
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🦍視点
🦍「でもこの檻が世界で一番安全だと
気づいた時ここから
出たいとは思えなくなる。」
部屋の空気が重く静まり返る。
🦍「外はおんりーを愛さなかった。
…だが僕達は違う…そうでしょ?」
4人の楽しそうな
笑い声が部屋の中に響いた。
🍌視点
薄暗い天井。
湿った空気と
遠くで誰かが笑っているようなそんな気配。
『……ここは…。』
ゆっくりと体を起こす。
鈍い痛みと
心の奥に沈殿した違和感。
『…逃げられなかったんだ。』
かすれた声。
喉が渇いている。
それもそうだ昨日
あれだけ泣けばこうなるだろう。
「檻が世界で一番安全だ。」
その言葉が
頭の奥にこびりついて離れない。
『そんなわけ……。』
でも心のどこかでその言葉に
救われたかった自分が居た。
それが一番気持ち悪かった。
自分はあの人達とは違う
同じなわけがないと思っていたかった。
そんなとき扉の向こうから
足音が聞こえ扉が開かれた。
🦍「……起きたんだね。
おはようおんりー。ちゃんと眠れたかな?」
『…ドズルさんだけは信じてました。』
🦍「そう?
期待させちゃったならごめんね。
けどこれでもう分かったでしょ?」
ドズルさんの声はいつもより柔らかくて
でもどこか冷たい光を帯びていた。
『分かりたくないです。
あんな言葉信じたくない。』
体がまだ思うように動かないのに
心だけは無意識に抵抗していた。
🦍「外はおんりーのことを愛さなかった。
愛されたいならここに居ればいい。
それでも外に出たい?」
ドズルさんの言葉は
とても重かった。
『…出来ることなら出たい。
ここから逃げたい…。』
🦍「やっぱりおんりーは
僕達とは少し違うね。
…まだ翼は摘まれてないよ。
僕には見える大きな白い翼がね。」
ドズルさんの言葉に胸の奥がざわついた。
大きな白い翼。
それが自分の中にまだあるというのなら
なぜ昨夜逃げられなかったんだろうか。
「大きな白い翼がね。」
その言葉の余韻だけが
部屋の中にゆっくりと滲んでいく。
扉はもう閉まって
部屋には自分しか居なかった。
鍵の音はしたはずなのに
耳に残っていない。
音がどこか遠い。
天井がふわふわと揺れて見えた。
立ち上がるはずの足は
まだ床に縫い付けられている。
『白い…翼。』
天井を見ながらポツリと呟く。
そんなもの本当にあるのだろうか。
ドズルさんには見えているようだが
実感はないし不思議な感じだ。
『…見えてるんじゃなくて
欲しがってるだけでしょ。』
その瞬間何かがはっきりした。
自分の中の違和感を
はっきりと形に変える。
『…閉じ込めたかったのは自分じゃなくて
ドズルさんが見たかった
誰かの自由なんだ。』
指先に力が戻る。
ふらつきながらも立ち上がる。
『飛ぶかどうかは自分で決める。』
たったそれだけの言葉がこの密室の空気を
切り裂くほど鮮烈に響いた。
昨日より少し強くなった
そんな気がした。
🦍視点
飛ぶかどうかは自分で決める。
おんりーならその考えに
たどり着くと思っていた。
僕はおんりーの口から
その言葉を聞きたかった。
だってその方が堕ちたときの
絶望感が大きいから。
🦍「僕はずっと帰ってくる者を
優しく迎え入れる役なんだ。」
落ちた後も安心して
僕に堕ちていけばいい。
1000❤︎↑
だいずは同音異義語が大好物です🤤
コメント
2件
確かに希望を持った後の絶望はとてつもなく大きい…私も多く経験してきたし見てきた…でも私は興奮してしまう…両方ともありえないほどに…