テラーノベル
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学校からの帰り道。その日は、妙に静かだった。
風もないのに、音だけが消えている。
自分の足音だけが、やけに響く。
——もう一つ、足音が重なった気がした。
振り向いた瞬間、刃物で何回も刺される。
でも俺を殺すためにやっている訳じゃない気がする。
「っ……!」
視界の端に、知らない男。
次の瞬間、耳を刺される。
耳鳴りがする。
男は何も言わないまま、俺の首元に何かを貼りつけてきた。
冷たい感触。
反射的に引き剥がす。
簡単に取れた。
——でも、ほんの少しだけ、遅れた気がした。
男はもういなかった。
残ったのは、妙な違和感だけ。
そのまま全力で家まで走る。
ドアを閉めた瞬間、やっと息ができた。
「お母さん……!」
震える声で全部を話す。
でも、自分でもどこか現実感がなかった。
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