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いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました

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いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました

197 - 第197話*坪井side③特別な夜に俺を想っていてほしい*25

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2025年06月04日

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「はいはい、何?」


自販機横のスペースにしゃがみ込み電話に出る。『何だよ、機嫌悪そうだな』と、友人は――隼人は、開口一番そう言った。


この男は、高校の頃からの”友人”といえば聞こえはいいが、悪友と言ったほうがしっくりくるかもしれない。若気の至りと言い訳できてしまうことは、全て一緒にやって来た間柄だと豪語できる。

……別に自慢できることなど、ひとつもないけれど。


『なんだよなんだよー、その調子じゃ、お前あれだな。彼女と別れたままだな?』

「は? どこ情報だよ」


(別れたどころか、立花のこと話してないし)


数ヶ月は予定が合わず会っていない友人、もとい悪友に、現状を言い当てられては気味が悪い。ツンケン返すと、そんなもの微塵にも気にしない、あっけらかんとした声が返ってくる。


『この間夏美ちゃんに会ったから、Rabbitで。 お前に振られたって騒いでたからさ。次の女どんなのって聞いたら、涼太も振られてんの!って。いいこと聞けたけどさぁ、やぁ〜相手大変だったわ、泣いて酔って騒いで』


ガハハと陽気な笑い声を交えて話し終えた隼人に「あー、なるほどな、悪かったな」と短く答える。



隼人は咲山と面識がある。もしかしたら咲山と最後に二人で会ったあの日、彼女が家を出た後、隼人と会ったのかもしれない。

ずん、と心臓のあたりが重い気がするのは間違いなく罪悪感だろう。


ふるふると首を降り、切り替えた。


「で? 何だよ、急用?」


隼人も今は真面目にサラリーマンをしている。平日の夜に電話があるのは珍しかった為、聞いてみると。あーそうそう忘れてた本題な!と。


どうやら今からが本題らしかった。


『俺も安定して彼女いねぇし、他も女いない奴ら集めて飲むけど。お前も仕事の後来いよ、たまには男とつるめって。この女タラシのイケメンクソヤローが!」


嫌味ったらしい隼人に「うるせーよ」と返すが、今の口ぶりからして女は呼ばないらしい。

……だったら。


(……男だけで飲むんなら、これ以上あいつにに見せたくない自分が増えるわけでもなし……)


顎に手をやり、うーん、と悩みながら天を仰ぐ。


晴れない心の、文字どおり、気晴らしになるんじゃないだろうか。


何より、ひとりで悶々と八木と真衣香のクリスマスを妄想し、メンタル削られ死んでいくよりかは……男まみれのクリスマスの方が幾分マシな気もする。


『どーすんの? 来る?』


再度確認された坪井は「そーだな、もうすぐ会社出るから行くわ」と気怠い声で答えていた。


2階の様子はもちろん気になるけれど、見に行く勇気などある訳もないし、2人を邪魔する権利もないだろう。

許されているのは、何も求めず想うことだけで――。


いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました

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