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朝。昨日のあれは何だったのだろう。結局、また会えると言われて別れてしまったが…

「そういえば妙なこと言ってたよね。時間がどうこうって…」

こっそりと呟きながら階段を下りる。

「陶瑚、おはy」

「幸呼奈…大変…」

おいおいどうした、と机を見てみる。

「これは…大変、だね…」

「でしょう?」

同じような反応をしてしまった。昨日、捨てたはずの食パンにぬって焼くとメロンパンになるそれが残っていたのだ。残っている量が昨日と全く同じことが買い替えたわけではないことを物語っている。まさか他のものも?

「お前ら、大丈夫か?」

「渚兄ちゃん」

陶瑚に続いて振り返ると渚冬兄もさっきまでの私たちと同じような顔をしている。

「テレビ見てみろ」

言われたとおりにつけてみる。予感はしていたが、ニュースが昨日と全く同じ話をしている。

「これ録画…なわけないよね?」

「そうだな」

「…見逃し配信?」

「違うわよね」

録画じゃない…見逃し配信でもない…。恐らく彼女が言っていたとおりだ。この世界は今、今日を繰り返している。 こういう時は直接聞くに限る。私は陶瑚と渚冬兄に他の3人を呼んできてほしいことを伝えて、家を出た。ひとまず彼女…美六華さんを待たなければ。おそらく彼女も私たちを探している。

「皆さん!」

そこまで待たずにやってきてくれた美六華さん。他の皆も呼んでひとまず事情を聞くために彼女の拠点へ向かうことになった。雑木林の青葉が暗く覆い被さっている。 じっとり汗ばんでくる。見渡す限り青葉、青葉、青葉。家を出て しばらく。人気という人気が全くない。奥山へ入ってしまったような静けさがあたりを包んでいた。 メッチャ綺麗。床もピカピカに磨かれている。 蔵書量は本物。本の数が半端ではない。幸か不幸か知られていた。一体この世界で何が起きているというのか。繰り返す日がよりによって今日だったのだ。用意してくれたお茶とケーキをもらう。

「それで…今日を繰り返してるっていうのは分かったけど?」

「そうですよね……いきなり言われると……びっくりしますよね……」

お姉が話を振ってくれた。美六華さんは友達と少し前からこの現象に気づき、真相を追っていた。しかし自分たちだけの力に限界を感じ、私たち異能力者の一家を調べて押しかけてきたらしい。

「え?じゃあ何回、今日を繰り返してるんですか?」

「今回で99回目です…多分、私たちが調べはじめる前のことを考えるともっと繰り返してるんじゃないでしょうか」

すなわちこの世界は1ヶ月以上進んでいないということだ。進んでいないのに1ヶ月というのもおかしな話だが。割とシャレにならない状態らしい。もうすぐ大騒ぎになるのだろう。

「お前の仕業ではないと」

「違いますよ!」

茉津李兄は信じ切ってもいなかったらしい。それにしても酷いことをする奴もいたものだ。薄汚い連中が背伸びしやがって。まあいい。どこぞの主任も言っていたが、悪意に理由を問いかけても誰も幸せにならないのだから。

「皆さんは明日にいきたいですか?」

何を聞いているのか。事件の真実を受け止める覚悟を聞いているのだろうか。

「どうする?」

「いや、このまま逃す方がヤバいでしょ」

「早く真実を特定するべきだな」

一応聞いてみたが。お姉…茉津李兄…皆、戦う気…犯人探しをする気だ。

「力を貸して!」

「うん。いいわよ」

「軽っ」

お姉に渚冬兄のツッコミがボソリと入る。文月家のいつものパターンだ。

「勝ったわね。私たちには幸呼奈先生がいる」

え?何、勝手に言ってるの、陶瑚…。オーラだけ送っておく。 話を要約するに、私たちは顔もちゃんと覚えていないあの今日を繰り返そうとしている奴と戦わなければならないと言うことになる。そういえばずっとおとなしくしていたのでたった今、居ないことに気づいた磨輝はずっと頭のてっぺんから引っ張られているようにうろうろとしていた。

「大丈夫かな…誰かが足引っ張りだすぞ。僕みたいに」

「開き直るな、 もうウロウロするな!」

ビシィッとじっと座ってくれた。ちなみに言霊によって対象に状態異常を与えるのが…私の異能力。こういう使い方もあるのだ。

「こいつはとんだミステリーだよ」

「それじゃ、謎解きに行きますか」

「何か事情があるんじゃないの?」

美六華さんはすっごいやる気だ。磨輝は優しい…。

「分かったわ。きっとこの日に何か思い詰めたことがあるのね。それならそれで1発、殴ってから聞けばいいわ。後で謝りましょ」

「姉貴が1番こえーよ」

渚冬兄の言うとおりだ。お姉がパワー系の異能力だから。自分の力量を好きなようにコントロールできる。姉弟全員、もれなく異能力者だ。力を合わせれば可能性は裏切らない。何はともあれ役者は揃った。無事に真実を探せるといいのだが。皆で明日へ行くためにも。

「まとめてぶっ潰す!」

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