テラーノベル
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鎖が床に叩きつけられ、サリエルの腕が痛みで震れる。
地下牢の鉄扉が乱暴に開かれ、冷たい空気と光が押し寄せる。
「さあ、行くぞ!」
天使の腕に強引に引かれ、彼はほとんど自分の足で立っていることすら許されなかった。
湿った石壁の匂いから、乾いた石畳と焼ける香の匂いに変わる。
処刑場――重々しい石の空間に、鎖の金属音と、鉄の匂いが混じる。
手首の鎖を引きずりながら、サリエルは荒く息をつく。
恐怖と、絶望の先に、わずかな怒りの火花が心の奥で灯る。
少年は先に立っていた。剣はーー天使たちに向けられたまま、寸止めの静けさを保つ。
しかしその瞳には、鉄のように固い決意と、淡い躊躇が混ざる。
天使たちの息遣いが彼の背後で緊張に震え、空気を重く圧し潰す。
突然、ミカリスの声が響いた。
「アゼリア――まだ間に合う!私の言うことを聞け!」
口元の笑みは歪み、瞳に計画が崩れた悔しさが滲む。
少年は微かに首を傾げ、言葉にはしない。
その沈黙こそ、説得を拒む最も鋭い刃だった。
ミカリスは歯噛みし、声を震わせる。
「君がここで間違えれば、全てが崩れる!サリエルも、他の天使たちも――!」
少年は剣を握る手を少しだけ強める。
一歩も退かず、目線は冷たく、確固たるものだ。
「…私の意志は変わらない。」
鎖に繋がれたままのサリエルは、心臓が飛び出るほどに早鐘を打ち、震えが止まらない。
しかし、震えの中でわずかに舌打ちし、皮肉交じりに言葉を返す。
「ふん…やはり、天使の“駒裁き”は残酷だな」
ミカリスは苛立ちを隠せず、悔しさに声が震える。
「計画は…失敗だ…!」
その声は低く、怒りと絶望を帯び、空間を引き裂く。
処刑場の門が開かれ、衛兵たちがサリエルを乱暴に押し出す。
鎖を引きずられ、蹴られ、石の床に膝を打ちつける。
「くっ…!」
サリエルの痛みと恐怖は、生々しく体中に走った。
少年はその様子を見下ろし、剣を天使たちに向けたまま微動だにせず、冷静を装う。
しかし、空気の色が変わる瞬間――羽が微かに揺れ、光を反射した白が、ゆっくりと濃い黒へと染まり始める。
その黒は、ただの影ではない。
決意と背徳、そして何者にも屈しない意志の象徴。
少年の体から漂う圧倒的な力が、処刑場全体を震わせる。
サリエルは鎖の中で、恐怖と戦慄に震えながらも、次に何が起こるかを覚悟する。
空気は張り詰め、死の匂いと、黒く染まった羽が放つ威圧感だけが残る。
そして――その瞬間、すべてが静止する。
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