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処女なのに妊娠しました

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処女なのに妊娠しました

1 - 処女なのに妊娠しました 第1話 -あり得ない妊娠-

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2022年01月01日

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「お腹が痛い…」




私はベッドの上で、体を丸める。




平坦なお腹を押さえながら──。




ここ最近、じくじくと鈍い痛みを覚えていた。




ちょうど、この新しい家に越してきてからだ。




お母さんに相談すると「環境の変化」に慣れていないからだという。




確かにまだ越してきてから、2ヶ月。




でも、大丈夫。




だって私には──。




*****




「優香、今度のデートどこ行く?」




彼氏の健人はクラスメイトだ。




転校して不安だった私に1番に声をかけてくれた。




カッコよくて正義感が強く、頼りになる理想の彼氏だ。




まだ付き合って日が浅いけど、健人といると腹痛のことも忘れられる。




「遊園地に行きたいな」



「おっ、いいじゃん!」



「私、絶叫系は得意なんだよね!」




2人で何に乗るか盛り上がっていると…。




「ゔっ…!」




突然、吐き気が込み上げてきた。




「優香、大丈夫か?」



「ちょっとごめん!」




口を押さえながら、教室を飛び出す。




トイレに飛び込み、便器に顔を突っ込んで吐いた。




朝ごはんだけじゃなく、胃液まで吐き切るとようやく落ち着く。




「大丈夫?」




そんな優しい声で背中をさすってくれるのは、知らない女子生徒だった。




「あのっ…ありがとう」



「いいのよ。私は桐子、2年生よ」




そう言うと、前髪をきっちり揃えている桐子は薄っすら微笑んだ。




「私は…優香。2年1組よ」



「それより大丈夫?」



「うん、急に吐き気がして」



「お腹は?」



「えっ?」



「ずっとお腹をおさえてたから」



「あぁ…ちょっと痛みがあって」



「ちゃんと検査したほうがいいよ。気をつけてね」




優しい笑みを浮かべて、桐子が励ましてくれた。




お礼を言って手を洗いトイレを出ると、そこに健人が待っていて──。




「大丈夫か!?」



「うん、吐いたらマシになったから」




健人を安心させるために、笑顔でかえす。




けれど、お腹がとても重かった…。




*****




「優香、キスしていい?」




それは、観覧車がてっぺんに達した時だった。




絶叫マシーンを乗り終えてからも、ずっと手を繋いでいて。




くるんじゃないか?という予感はあったんだ。




「…うん」と目を閉じると、健人の唇が優しく触れる。




「優香、好きだよ」



「うん、私も」




地上に着くまで、何度もキスを繰り返す。




「じゃ、また明日ね」




公園で見えなくなるまで健人に手を振り、家に帰ろうと──。




「いっ!?」




思わず、その場にうずくまる。




お腹に、突き刺すような鋭い痛みが襲う。




まるで…なにかがお腹の中にいるかのように。




熱い。




お腹が熱い。




「大丈夫?」と、どこかで聞いた声がした。




「…桐子?」



「やっぱり優香だ、どうしたの?またお腹が?」



「うん、また痛くて…」



「吐き気は?」



「少しだけするかも」



「ねぇ、それってもしかして…つわりじゃ?」



「つわり?それはないよ」



「でも、ちゃんと確かめたほうがいいよ」




桐子が、とても心配そうに私の顔を覗き込む。




だから私はつい「分かった」と答えて、家に帰ったんだ。




そして、机の上には『妊娠検査薬』がある。




帰りに薬局で買った。




吐き気に腹痛、倦怠感、どれもつわりの症状に当てはまってるけど…。




やっぱり『妊娠』なんてあり得ない。




それでもお腹の痛みはおさまらず…私は検査薬を試した──。




「うそでしょ!?」




何度も確認したけど…結果は陽性。




つまり、妊娠していることになる。




いや、こんな馬鹿なことって…。




その日はどうしても眠れず、次の日は学校を病欠して隣町に向かった。




『産婦人科』




きっと、妊娠検査薬はなにかの間違いだ。




そのことを証明するために、ちゃんとした検査を受けないといけない。




ただの生理痛に違いない。




妊娠なんて、あってはならないんだ。




だって。




だって私は──。




「妊娠2ヶ月です」と、医師が告げた。




私は、処女なのに…。





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