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2,努力と線香の香り
目:…ん、
AM 6:21
時計を見ると、もうそんな時間だった
その時
ピコンッ
目:ん、?めーる…?
目:なん、だろ(目擦)
メールの相手は翔太くんだった
渡メ:おはよ。蓮くん
目メ:おはよう。
渡メ:あのさ、蓮くんが嫌じゃなかったら、
今日一緒に花火しない?
目メ:え、花火?打ち上げるの?
渡メ:ちがう笑 手持ち花火な
目メ:あ〜。いいよ
渡メ:ほんと?じゃあ、7時に迎えに行くけどいい?
目メ:もちろん。待ってるね
渡メ:うん!
目:花火…
花火と聞くと、やっぱり9年前のことが頭をよぎる
絶対に忘れられない
目:…起きよ
俺は少しだけ軽くなった体を起こした
渡:まって、蓮くんと花火とかいつぶりだろ…
渡:嬉しい…
俺は勢い余って送ってしまったことに後悔はしてない
むしろ感謝かも
辰:ねぇ笑 ニヤニヤしてて気持ち悪いよ…?笑
渡:は…っ!?
忘れてた。今朝飯中だったわ
しかも親もいる
父:彼女でもできたのか?笑
渡:はぁっ!?ふざけんな!できてねぇし!
辰:でも、正直お兄今いい感じだよ(小声)
父:そうか笑 応援してあげろよ(小声)
渡:聞こえてんぞ
なんだよ、朝から
せっかくいい気分だったのに
渡:…今日俺花火してくる
父:おう。ま、俺は今日はいないけどな
父子家庭の俺たちは、父さんが朝から晩まで働いているため、帰ってこない日がある
もう慣れてっけど
てか俺らもう成人してるし
PM 6:48
蓮くんの家は
そんな離れているわけでもなく、10分程度でつく
渡:いってきまーす
辰:行ってらっしゃい!!楽しんできてね
渡:ん
冷たい風が気持ちいい
熱くなった体を、冷ましてくれている感じがする
渡:…
手に持っている花火を見つめていると
ふと、目に止まった線香花火
線香花火をしていると、
何故かなんでも話してしまいそうになってしまう魔法にかけられる
どんなことも、本音で話せる
これで、蓮くんの本心も聞けたらいいな
ピンポーン
玄関のインターホンがなる
目:はぁい
ガチャ
外には翔太くんがいた
目:翔太くん、お迎えありがと
渡:んーん。俺が誘ったんだから当然だろ
渡:じゃあ、行くか
目:いいけど、どこに行くの?
花火をする。とだけで、どこに行くのかは言われていない
渡:ん〜、俺にとっての“思い出の場所”で花火しよ
目:翔太くんの、思い出の場所…
渡:もしかしたら、 蓮くんにとってもかもな笑
目:俺にとって…?
俺にとっての思い出は
翔太くんと過ごした日々
翔太くんと行った場所なら全部が思い出になる
翔太くんが、思い出をくれたんだよ
目:ここ…
渡:そう。俺の思い出だよ
海 だった
ここで、俺は翔太くんと出会った
大事な場所
渡:よし、やるか!
目:うん笑
それから、色々花火をしていき、
最後の花火を持った
目:線香花火…
渡:俺、これが一番楽しみだった
目:そうなの?笑
線香花火に火をつける
パチパチパチッ
目:綺麗、
渡:だな
渡:な、蓮くん。最近、仕事どう?
目:え?
ボトッ
火玉が落ちる
なんで、そういうこと聞くのかなぁ
俺はもうッ
目:どうって…それよりッ
渡:知ってる?線香花火をしているとなんでも話してしまう魔法にかけられる
目:……なんでも?
渡:うん。だから、はい
線香花火を持たされる
渡:蓮くんの 本心 聞かせて?
目:っ、
ほんとだ。ほんとに話してしまいそう
温かくて、優しくて。
気がつけば俺は、なにもかも打ち明けていた
仕事で上手くいかないこと。
悪口が絶えないこと。
そして
自殺しようとしたこと。
渡:うん。分かった、ありがとう
目:っ、泣
渡:そんなこと、させないから
渡:俺が、今ここにいるのは
“蓮くんの努力と線香があったからだよ”
目:え、なんでッ
渡:蓮くんが、俳優になろうと、してくれたから、俺は君と出会ったし
渡:線香花火のおかげで、蓮くんの本心が聞けた
渡:ありがとう
お礼をするのはこっちの方だよ
目:こっちこそ、ありがとう
渡:ふはっ笑 よーし、片すか!
目:だね
翔太くん。俺はやっぱり、
君のことが好きだよ
もう、戻るつもりは無いよ。東京
それに、仕事は諦めたんだ
したいことが、他に見つかったから____
約束の花火まであと24日
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