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里中くんからRyoがパッケージデザインに興味があるという返事があったと報告をうけた。会社員で趣味でイラストを描いていてイラストの仕事は初めてだということだった。
かえって面白いかもしれない。
昼休みにタマゴサンドを頬張っているとクリニックからのメールが届き、飲み込むのを忘れて口の中に入ったままメッセージを開く。
心臓の音が激しく、口の中も塞がっているため息が苦しい。
いくつか聞いたことのある性病の名前がならび全てに(ー)のマークがついていて、ホッとした瞬間に口の中のタマゴサンドを咀嚼した。
大きく息を吐くと一気に脱力した。
よかった。
レスでよかったって、つくづく思う。
これで明日の食事は心置きなく食べられそう。
里子に陰性だったとラインを送ると、よかったねと返信があった。
問題が解決したことで清々しい気持ちで午後からの仕事をこなし、元気に残業中だ。
流石に両親には正人に性病をうつされたのかも?というような話はしていない。
もうこれ以上心配をかけたく無かったから、検査を受けたことも言ってない。
そういえば正人はどうだったんだろう、症状が出ていたんだから限りなく黒よりのグレーである可能性が高い。
正人のことを考えている時にスマホに着信があり表示を見ると元お義母さんからだ。
何だろう?もしかして、正人が感染していて私のことも心配してくれているんだろうか。
「はい」
『瞳さん、その久しぶりね』
「久しぶりです、何かありましたか?」
『あの子がねやつれてきて見ていられなくて。もう一度考えてくれないかしら?たかが一度の浮気くらいで、このまま縁がなくなるなんてお互い寂しいと思うのよ。子供ができれば、案外うまくいくかもしれないでしょ』
何を言ってるんだろう、正人を信じることはもうできないし、感染について話をしていないのかもしれない。
本当に「都合の悪いことはいつも何も言わないんですね」
『え?』
自分勝手すぎる義母というか親子につい声を荒げてしまい慌てて声を落とす。
「浮気相手とは避妊もせずに性交渉をして、挙句に性病を貰った可能性まであるのに」
『性病?』
「息子さんに聞いてください。信頼できない人はもう無理です」
『え?瞳さん?』
「それでは」と言って通話を切る。
陰性だとわかって気分がよかったのに、すっかり嫌な気分になってしまった。
大きく深呼吸をして周りを見るとほとんどの人が退社していた。
元義母の電話に知らず知らずダメージを受けていたみたいだ。
帰ろうと思い作業中のソフトの保存をしてパソコンの電源を落とした時に宇座課長がフロアに入ってきた。
多分、タバコでも吸ってきたんだろう。
「まだいたのか」
「もう帰ります。お疲れ様でした」
咄嗟にボイスメモを起動させた。