『小包み』
自宅のマンションでゆっくりしていると、玄関のチャイムがなった。
妻は仕事で居ないので私が対応しに出ると、小包みを一つだけ持った男がそこにいた。
「宅配便です。裕子さんのお宅でお間違いないでしょうか」
ああ、妻がまた何か買ったらしい。
「ええ、間違いないですよ」
私が小包みを受け取りサインすると、その男はエレベーターで上に(のぼ)昇って行った。
小包みの中からはカチカチと、何かの機械音のような音が聞こえる。
たぶん美容のための家電か、時計か何かなのだろう。
万が一壊すと妻の雷が怖いと思い、あまり触らずにテーブルの上に置いておいた。
リビングで座りなおすと、唐突(とうとつ)に思い出す。
そうだ、そういえば今日は冷蔵庫の中が空っぽだったんだ。
買い出しに行かねばならない。
私は部屋を出て、エレベーターで一階に降り、オートロックのエントランスを抜け、近所のスーパーに買い物に行った。
...買い物に行って、本当に良かった。
解説はこのまま下へ
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《解説》
小包みの中身は爆発物。機械音が聞こえるということは、おそらく時限式だね。
それをたまたまスーパーに行ったことで回避出来たから、良かったと言っているんだよ。
問題なのはこの宅配のお兄さんが何者かという所だけど、
・オートロックのエントランスを抜けてきている
・エレベーターで上に(のぼ)昇っている(普通荷物もないなら下に降りるはず)
この2つから、このマンションの住人という線も出てくるね。
妻の裕子さんに恨みを持った人物なのか、それとも妻と結託(けったく)して私を殺そうとしたのか、どっちなんだろう……
コメント
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るりのお姉さーん? 宜しくです!
(◦ˉ ˘ ˉ◦)