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み ん と
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Episode 5.5某日のランク戦終了後。
待機室。
「いや絶対撃てただろ今の!」
三上の声が部屋に響いた。
ソファに座る水瀬は、 のんびりジュースを飲んでいる。
「えー……でも危なかったので」
「どこがだよ!」
「位置バレしそうでしたし」
「いや分かるけど! 今のは撃ち得だったろ!」
水瀬は少し考える。
「……でも、外した時のリスクもありましたし」
「お前リスク計算が重ぇんだよ!」
奈央が小さく苦笑した。
「結、今日はかなり慎重でしたね」
「だって中位の人達すぐスナイパー探すんだもん」
「それはそうだけど!」
三上は机に突っ伏した。
「絶対取れただろあの場面!」
水瀬は悪びれない。
「あれは必要な牽制です」
「牽制以外も撃て!」
黒瀬が静かに口を開く。
「でも結さん、今日最後まで位置割れてませんでしたよね」
「そうそう」
水瀬が頷く。
「いやまあ、それは強いけど……」
三上も否定はできない。
今日の試合。
結果だけ見れば悪くない。
黒瀬隊は二位。
ただ問題は。
「結さん今日一発しか撃ってないですよね」
黒瀬が静かに言う。
「はい」
「しかもわざと外しただけだしな!」
三上が即座に突っ込む。
水瀬はのんびり答えた。
「あれは誘導用です」
中盤。
水瀬のライトニングを避けた相手を、 黒瀬が建物裏で仕留めていた。
完全に連携だった。
黒瀬が続ける。
「実際、結さんが生きてると相手かなり動き制限されます」
「……まあ、それはそう」
中位相手だと特にそうだ。
“どこかにスナイパーがいる”。
それだけで移動ルートが縛られる。
しかも水瀬は、 いつ撃つか分からない。
だから余計に怖い。
「点を取られないようにするのも戦術です」
黒瀬が静かに言った。
三上が深くため息を吐く。
「……お前らほんと堅実だな」
「悪く言えば地味ですね〜」
水瀬がのんびり言う。
「自覚あんのか」
奈央が小さく笑った。
「でも、黒瀬隊らしいですよね」
「らしい?」
「無理に突っ込まない所とか」
確かに。
黒瀬隊は爆発力はない。
派手さもない。
だが。
気づけば崩れない。
気づけば生き残っている。
そして。
気づけば黒瀬が後ろにいる。
三上がソファへ沈み込む。
「……なんか堅実すぎて怖ぇんだよこの隊」
「褒め言葉ですか?」
「知らん」
その横で水瀬が小さく首を傾げる。
「でも今日、一回も落ちてないよ?」
「そこは偉い」
奈央が即答した。
「奈央ちゃん優しい〜」
「結が慎重すぎるだけです」
「否定はできないですね〜」
黒瀬が静かに呟く。
「でも、自分は結さんの判断かなり好きですよ」
「黒瀬くん分かってるね〜」
「お前ら相性良すぎるんだよなぁ……」
三上はもう諦めたように天井を見上げた。