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私はこんなに緊張しているのに、宗親むねちかさんは全然そんな風に見えないんですもの。

ずるいよ!



よしよし、と私の頭を撫でてくる仕草なんて、会社で見る鬼上司とは思えないぐらい穏やかで優しくて……、それが余計に私の自尊心を逆撫でしてざわつかせる。



「さっきので通じていなかったみたいなので改めて言わせていただきますね、春凪はな。――僕とキミが一緒に眠っても平気かどうかを見極める云々うんぬんでしたか。それについては率直に申し上げて無理だと言う結論に達しました。僕は今、春凪はなの彼シャツ姿に物凄く興奮していますので」


言われて頭を撫でていた手を後頭部に移動させるや否や、髪の毛をギュッと鷲掴みにされて顔を上向かせられる。


「えっ? ――や、ぁんっ……」


えっ? ヤダ!、という言葉は半ばで宗親むねちかさんの唇に吸い込まれて曖昧に溶けて消えた。


代わりにチュクッと唾液が混ざり合う水音がして――。


こんなの困るって思うのに、何でだろう。


宗親むねちかさんに口付けられると、下腹部がキュンとうずいて、もっともっと触って欲しくなってしまうの。


こんな反応、私、知らない。絶対おかしいよ。

何これ、ホント、どうしちゃったの?



キスだけでトロンとしてしまった私の耳元、宗親むねちかさんがまるでそうするべきだとそそのかすみたいに追い討ちを掛けてくる。



春凪はな、キミの希望通り上は脱がさないでおいてあげる。だけど、そうだな。これとトランクスは脱いでもらえますか?」


言われて裾から差し入れられた手に、さっきコンビニでブラ代わりに丁度いいと思って買ったカップ付きキャミソールと、短パン代わりに履いた男性用下着のウエスト部をグイッと引っ張られる。


「――要はキミの胸をいいんでしょう? 本音を言うと服の中に手を差し入れて、じかにその柔らかそうな胸を撫で回したいところなんですけど、まあ、シャツ越しで勘弁してさしあげます。――ですので、キミも少しだけ僕に譲歩してコレとコレ、取ってくださいね?」


何でそんなに上から目線なんですか、宗親むねちかさんっ!


しかも澄ましたお顔で、いつも通り丁寧な言葉遣いで話していらっしゃますけど、紡いでおられる内容自体は物凄く卑猥ひわいで……堪らなくですからね!?


でもどうしよう。


私、彼のそう言うところが実は嫌いじゃない気がしてきました。


というより、正直めちゃくちゃマズイです。


どうしようもなくキュンキュンしてしまっています!とか申し上げたら、変態街道へんたいかいどう真っしぐらになりそうで。


腹黒ドSな宗親むねちかさんにだけはバレたくないです。



「さあ、早く」


このまま黙っていたら、「ご自分で脱げないのでしたら僕が脱がして差し上げましょう」とか言い出しかねない気がして、私は覚悟を決めた。



「だ、脱衣所で脱い、で来て……いいですか?」


脱ぐことは決定事項だと思って諦めます。

でも、目の前で脱ぐのは勘弁していただきたいのです。


涙目で宗親むねちかさんをうかがい見たら、「致し方ありませんね」と溜め息を落とされた。


「――ですが、1分以内です」


寝室の扉に手を掛けた私に、宗親むねちかさんの低い声がかかる。


「それ以上は待ちませんので、そのつもりで」



おかしいです。


いつの間にか物凄くガッツリと、イニシアチブを握られている気がします!


私が握られているのは、どうやら〝弱み〟だけではないようです!




***



「1分以内って……即席カップ麺も出来ないじゃないですか〜!」


そんなどうでもいいことを引き合いに出して振り返りざま、宗親むねちかさんをキッと睨んで抗議したら、彼が一瞬だけ瞳を見開いてから楽しそうにククッと笑った。


その笑顔はいつもの嘘くさい腹黒スマイルではなくて、本心からの笑顔に見えてドキッとする。


何なんですか、今の可愛い笑顔。

反則過ぎますっ。


と思ったのも束の間。



「下着をひとつふたつ脱ぐぐらいで3分も待たされたら堪りません。1分過ぎたらお迎えにあがりますので、そのつもりで」


にこやかにそう返されて、私は絶句する。


「では、カウントダウンスタートです」


言われて「60、59、58……」とわざとらしく数字を数えられ始めた私は、慌てて脱衣所にダッシュした。



いずれにしても、宗親むねちかさんは私を食べることを諦めるつもりはないみたいで。


私みたいな小娘相手に「待てない」とか信じられませんし、何だか揶揄からかわれているだけな気がしてきましたが如何でしょう?


案外覚悟を決めて戻ってきたら、スヤスヤとお休みになられているとか……そんなこともある気がしてきました。


っていうかそれを期待してしまってから、1分で寝てたらあの国民的アニメの、猫型ロボットと同居している眼鏡の彼と一緒だよ、と思って、「さすがにそれはないな」と溜め息をつく。



脱衣所でカップ付きのタンクトップを脱いでから、宗親むねちかさんにお借りした彼シャツを羽織り直すと、胸のあたりがすごく心許こころもとなくてソワソワして。


生地が胸の先端に触れることなんて、家にいれば入浴後には日常茶飯事のはずなのに、着ているのが自分の服じゃないからかな。

すごく意識してしまう。


しかも私の胸は先端が陥没しているから……きっと一般的な女性たちより受ける刺激は少ないはずで。


――普通のお胸だったら、ここで先端がチョンと服を突き上げたりする……のかな。


自分には有り得ないことだけど、想像すると何だかエッチで、ビジュアル的にそそられるの、うらやましいなって思ってしまった。


結果、とんがりがないというのが逆に恥ずかしく感じられて、ギュッと胸元を掴むようにして浮かせたら、それはそれで不自然で。


「う〜」


洗面所の鏡の前で、ひとりうなり声を上げていたら、1分経っちゃう!?ってハッとして。


急いでトランクスも脱いで、脱ぎたてのタンクトップと一緒に半ば丸めるみたいに手にすると、急いで寝室へと戻った。

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