テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
緑星ふうま
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
後日談3 鳥籠のドレスコード
大きな姿見の前に立たされ、fuはされるがままに腕を持ち上げた。
かつて魔界で着ていた、露出の多い黒いシフォンシャツやレザーパンツは、もうどこにもない。rmの白い指先が、今、fuの身体に滑り込ませているのは――彼自身が纏うものとよく似た、上質な純白の聖職者服(カソック)だった。
「……ふふ、本当に よく似合っているよ、fu」
後ろから抱きすくめるようにして、rmがfuの首元のボタンを一つずつ留めていく。
金糸の刺繍が施されたその白い生地には、rmの神聖な魔力がたっぷりと編み込まれていた。衣服が肌に触れるたび、微かな「浄化」の熱がピリピリとfuの髄を突き、それだけでfuの背中の白い翼が、期待にバサリと甘く震える。
「あ……っ、rm、さま……。この服、くすぐったい、です……」
「そうかい? 君が俺の光に敏感に反応してくれるのを見るのは、とても愛おしいよ」
rmは満足げに目を細め、fuの耳たぶを優しく食んだ。
鏡の中に映る自分たちの姿を見る。
水色の髪の美しい大天使と、その腕の中で、すっかり同じ「白」に染め上げられてトロンと瞳を濁らせている、元悪魔の少年。
(あんなに嫌だったはずなのに……今は、この白《いろ》が、すごく落ち着く……)
かつて魔界の酒場で「天使の羽をむしり取ってやる」と豪語していた記憶は、今のfuにとっては、まるで他人の昔話のようだった。
今のfuの幸せは、rmに髪を梳かされ、彼好みの「綺麗なお人形」に仕立て上げられること。
rmは最後に、fuの細い首元へ、衣服と同じ白いリボンタイを結びつけた。それはお洒落の体裁を取っているが、実質はfuをこの神殿から一生出さないための、エレガントな「首輪」だ。
「さあ、お着替えは終わりだ。今日のご褒美は何がいい? 俺の膝の上で、俺の光をたくさん注いでほしいかい?」
「……はいっ。rm様……っ、もっと、真っ白にしてください……」
fuは自らrmの首に腕を回し、甘えた声を出す。
rmは嬉しそうにfuを抱き上げ、光の満ちる寝台へと運んでいく。
自由を奪われ、自分の色を失った、終わりのない監禁。
けれど、rmの腕の中に閉じ込められたfuの顔には、かつて魔界のどこを探しても見つからなかった、心からの甘い幸福の笑みが浮かんでいた。