テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

ゴジラ   ~Stage Series~

一覧ページ

「ゴジラ   ~Stage Series~」のメインビジュアル

ゴジラ ~Stage Series~

1 - 第1話 「ゴジラ Start Stage ~受け継がれた者たち~」

2022年03月09日

シェアするシェアする
報告する

白い壁に囲まれた、とある研究所。ネズミや鳥が入った檻の中に、扉の空いた檻があった。その近くには開いた窓があり、1匹のイグアナが窓の外へ出た。




2074年━━ 四国、高知市内にあるアパートの朝、目覚まし時計の音が鳴りベットから起き上がった女性、三里 明音は、朝食を済まし、私服に着替える。

「・・・よし、今日もバッチし!頑張るぞー!」

三里は、動物の保護活動の仕事をしている。動物を引き取る時はその分のお金を貰い、預かる。三里が働く動物保護団体の会社は、ここ四国では結構、有名な会社だ。三里は自分の車に乗り仕事場へ向かった。「動物 大事」と書かれた掲示板の横にある駐車場に車を止め、外に出るとリュックを背負った黒人の男性、マイク・エバーソンがやって来た。

「あれ? 今日はいつもより早いね。おはよう」

「おっはー。 ホンマやな、何でやろ?w」

「自分の事やで、三里さん…」

などと他愛もない話をしながら会社に入って行く。廊下を歩いていると、社長の神奈川美津子が声をかけてきた。

「ああ、二人ともおはよう。」

「『おはようございます。』」

そして、二人が自分の仕事場につくと、三里の隣でパソコンをつついていた後輩の秋本涼が声をかけて来る。

「先輩、おざます!聞いてくださいよ~」

「おっは。話の切り替えが早いね。」

「この前、テレビでペットをエアガンで殺したって、言うニュースがあって、、」

「そういう奴はさっさとくたばればいいのに。」

向かい越しで、乙津広が飲んでいたコーヒーを吹いて咳き込む。

「どした?広君」

「みーさん、言葉に容赦がねーww」

「だって、本当の事やし、、」

パソコンをつつきつつ、話をしていると手を叩く音がする。

「みんなー。ちょっと、話したいことがあるから集まってー。」

「『はーい』」

そうして社員を会議室に集めた美津子は、パソコンをつつきスクリーンにあるものを映した。

「これは、1972年に撮られたものよ。」

すると、スクリーンに何かに噛み砕かれた漁船が映し出された。そして、画面が変わりヘリに乗った男性が映る。男性はカメラを地上に向ける。その光景に社員全員が目を疑った。画面には、大きく恐竜のような足跡が道なりに残っていた。足跡に集まっている人が米粒のように見えるほどに、でかい。三里たちは呆気にとられていた。そこで映像が終わる。

「これは人工的なものではなく、何か巨大な生物のものだと考えられているわ。」

「でも、これ100年ぐらいも前の話ですよね?もし仮に巨大生物がいたとしても、もう死んでるんじゃない?、、」

「それはないわ。これを見て。」

美津子はパソコンをつつき、スクリーンにまた、映像がながれた。それは5年前の地震の映像だった。

「、、南海トラフ?最高震度8強だったやつ?あれとこれが何か関係あるの?」

「ええ、大ありよ。5年前の地震から数ヶ月後に、1972年の出来事と同じことが起きてるのよ。」

「で?その生物を調べろと?」

「そう言うこと」

美津子は「頑張って」と三里の肩にポンっと手を当てて会議室を後にした。

「じゃあ、さっそく調べていくかー。」

三里はのびをしてパソコンを開く。

「なんで、社長は私たちにこんな大事なこと任せてんですかね?」

「ああ、涼ちゃん教えてなかったか。うちの社長、元特殊部隊なんよ。しかも、その隊長って言うね。」

「えっ、マジですか?!」

「まじよ。」

そして、この動物保護団体には情報力が高い人材が多くいる。(特に三里)

「にしても、ホンマ恐竜みたいな足跡やん。絶対、100mは超えてる。」

「そやね。」

「でもさー、なんでニュースにならないんですかね?」

「まー、南海トラフの後にあったことだからあんまり、問題視されなかったんでしょ。」

「ああ。」

「見てこれ。」

「何これ、ネットニュース?」

パソコンには、1962年 4月9日に実験用のイグアナが逃げたと言うニュースがのっていた。

「そそ。ここでは、遺伝子改良の研究が進められてたんよ。どの実験も失敗が続いてた。そんな中、成功した数少ない動物の一匹がこの、イグアナってこと。」

社員たちはそれぞれパソコンに目を向けている中三里があるものを見つける。

「見て見て。『マグロ漁 困難』だってさ。」

「なぜに、今マグロ?!」

「マグロ、美味しいよね。」

「うん、美味しいね。関係ないけど。」

「ふっ、まあね。」

「まあ、マグロが減ってるのは気になるけんど、、」




海の沖では一隻の漁船が漁をしていた。そんな中、漁船の真下に何かが迫っていた。

「中々、釣れないっすねー。」

「釣りなんてなー、そんなもんだ。」

「俺は、さっき、イシダイつったけんど。」

「まぐれ、まぐれ。」

他愛もない話をしている三人に舟の下から、巨大な影が迫っている。

「まぐれやない、、」

一人がもう一人に反論しようとした瞬間、真下に迫っていた影が舟に、勢い良くかぶりついた。そのまま、浅瀬へと向かって行く。

大浜の堤防で釣りをしていた男性は、沖合に何かを見えサングラスを外す。沖合には、前のめりに尖った大きな黒い背びれが向かってくる。すると、背びれは海の中に消えていった。男性が恐る恐る近づき海を覗こうとした瞬間、巨大生物が飛び出す。姿を現した巨大生物は石の壁を軽々と破壊し、地面を踏みしめた。そして、巨大生物は大浜の住宅を踏み潰して行く。


7月10日 午後5時32分 日本四国地方

未確認生物 上陸


瞬く間にニュースとなり、四国市内には、軍が集められた。軍の司令官である、古世谷 亮子はヘリから撮られた巨大生物を見て、

「ゴジラ、、。」

ゴジラと呼ばれる生命体のニュースを見ていた三里や他職員。

「世界の終わりが来たのかな。」

「ゴジラねー、、。ん?まって、この名前見たことあるわ。」

ニュースを見ていた涼が呟く。

「うちも。神話のやつやろ?」

「そうそう!! 確か海を制する神様で『生きる災害』って、呼ばれてたよね?」

確かめるようにスマホに目をやる涼。周りがざわついていると、社長の美津子が手を叩く。全員が美津子へ目を向ける。

「皆さん、今すぐに避難の準備をしてください。、、みんな、手分けして動物たちの誘導を。三里ちゃんとマイク君は、私一緒に来てちょうだい。」

「社長っ、どうしたんですか?」

「巨大生物はここ、高知にむかっているの。だから、みんな急いで。」

「えぇぇっ?!」

「まじかよ?!」

「どうしよう?!早く、動物たちを移動しないと。」

「外にトラックがあるから、そこまで連れて行って!」

そう言うと、美津子は屋上へ向かった。三里はカメラを持ち、マイクと共に後を追う。屋上へでるとそこには、ヘリが止まっており、美津子は二人を手招きする。

「今から、巨大生物を見に行くわよ。二人は、その生物を観察してほしいの。」

「よしっっ!!」

「マジか、」

喜ぶ三里と絶望するマイクを見比べ苦笑する美津子は高知を見下ろした。午後7時45分 未確認生物 高知に到達。高知市民は、山の上にある施設に避難していた。軍のヘリが、ゴジラの頭上を通過する。ゆっくりと、歩みを進めていたゴジラはヘリの存在に気がつくと、体勢を低くし、今までにない速さでヘリから遠ざかっていく。

「なっ?! なんだ、あの速さはっ?!」

ゴジラの変化に司令塔が困惑する。

「あれが、ゴジラ、、」

「すっげぇ、、」

三里とマイクはゴジラに釘付けだった。

「…、思ったんとちゃう、、。もっとこう、テレビで見るような感じを想像してた、。」

そう言った、三里は小さく「こっちの方が好みかも、、」と、漏らす。

「よし、名前は『マグロ』でおk。」

「うん、なんで?! なぜ、そうなった?!」

「え? そりゃあ、私の一番好きな食べ物がマグロだからに決まってんじゃん。」

「いや、食うな食うな。」

「でも、マグロがここまで、来たのは食べ物が関係してんじゃないかなって思って。ほら、ネットニュースで見たマグロ激減のやつ。」

「あっ、もうその名前でいくのね、、。」

「多分、マグロの主食が魚何じゃないかな、、」

「どっちの、マグロか分からんなってくるわ、、」

「慣れろ。」

「半強制。」

司令塔は、ゴジラ撃退に向け古世谷が頭を悩ませていた。

「司令塔!! 攻撃命令をっ!!」

「…分かった。攻撃を許可する。ただちにゴジラを撃退しろ!!」

司令塔の命令と共に巨大生物『ゴジラ』への攻撃が始まった。しかし、ヘリから放たれるミサイルは楽々とゴジラにかわされる。

「くそっ! 速すぎるっ!!」

ゴジラは道を左に、右にとかけて行く。

「…いいぞ。そのまま行け。」

「…。」

ヘリが放つミサイルを交わし、橋の上を器用に渡る。しかし、次の瞬間、ゴジラの踏んだ橋の部分が爆発し、バランスを崩す。

「今だっ、撃てっ!!」

バランスを崩すゴジラを囲んだヘリが一斉射撃を行った。ゴジラは、四方八方から攻撃を受け前のめりに倒れていった。軍人が恐る恐る近づく。ゴジラは軍人を見つめ、静かに瞼を閉じた。

「…、ゴジラの撃退に、成功しましたっ!!」

生放送で、高知市民はゴジラを撃退した事を喜び、歓喜の声が上がった。

「なんか、、なんとも言えない感じ、。喜ぶべきなんだけど、、。」

「うちら保護団体からしたら、生かしてあげたいんやけどね、、。」

上空からゴジラを観察していたヘリがある違和感に気づく。

「司令塔へ、川が凍っていきます。」

「なんだと? おい、ゴジラの体温を調べろ。」

「了解。」

隊員の一人がゴジラの体温を調べる。

「えー、ゴジラの体温は低下して、、ん!なっ?! ゴジラの体温が急激に低下していっています!!」

「なんか、寒くないか?」

「ああ、確かに、、。」

「ごめんなさい。一旦、何処かに止まりましょう。」

「分かりました。」

嫌な予感を感じた美津子はヘリをゴジラから少し離れた広場に止まらせた。

「ゴジラの近くにいる者は、ただちに離れてください!!…ゴジラは、生きています!!」

ゴジラの指がピクリと、動いた。次の瞬間、ゴジラが勢い良く起き上がり、軍の戦車に噛み付いた。その時、ゴジラの背びれが白く光る。

「っ?! なんだ、あれはっ?!」

ゴジラが口を開いたかと思うと、勢い良く白いブレスを地面に向け吐いた。周りの人間や戦車はたちまちに、氷漬けとなった。そのまま、ゴジラは空を飛ぶヘリにブレスを向ける。ヘリは動く暇も無い速さでブレスが直撃し、一瞬で氷漬けとなった。次々とヘリは凍った川に墜落していく。

「なんだ、あの攻撃は、、?!」

司令塔はゴジラの脅威に為す術なく、静まり返っていた。しかし、ゴジラは元来た方向へ帰って行った。

「えっ、帰るの?」

ちょっと寂しそうにする三里。

「やばくないっ?! 何あれっ?! どうする事も出来んやん?!」

「こちら司令塔。ただちにゴジラを追跡してください。」

「了解。」

軍の基地から、何機ものヘリが出動する。だが、ゴジラの通ったはずの足跡はあるはずが、ゴジラが何処にも見当たらない。

「司令塔、ゴジラがいません。足跡も途中から途切れています。」

夜といいのもあり、周りはあまり見えない。ヘリから隊員が次々に降ろされる。ヘリからも暗闇を照らし、ゴジラの足跡の途切れた先を捜索する。すると、一人の隊員が何かに当たる。前をライトで照らすも、何もない。隊員はゆっくり手を伸ばす。すると、手は何かに触れた。触れた場所が次第に黒くなっていく。それは、ゴジラだった。ゴジラは目を瞑ったまま、後ろを通過するヘリを尻尾で叩きつける。ヘリがゴジラに向け、ミサイルを放とうとすると、ゴジラは顔を上げ口を開く。ヘリはゴジラに向けミサイルを放った。ミサイルはゴジラに当たる前に地面に落下していった。隊員の撮らえた映像を見ていた三里たちは、司令塔に到着していた。

「ちょっと、今のところ巻き戻して。そう、そこ。」

「どした?」

「ほらっ。今、マグロの口が赤く光った。それと同時にミサイルが落下してったし、吸収してんかね?」

「吸収とか、もうゲームの世界観じゃん、、。」

「身体に蓄積してるとか?」

「何を溜めている、、。一体、何がしたいんだ?」

司令塔が未知の攻撃に困惑する中、ゴジラの猛攻は止まらず、また新たな攻撃を繰り出す。ゴジラは残ったヘリに向け超音波をはなった。とてつもない音と共に透明の柱がゴジラの口から伸びる。ものすごい速さで放たれた音波は飛び回るヘリに次々と直撃していく。一瞬でヘリを全滅させたゴジラはまた、地面に寝そべり帰り、目を瞑った。すると、ゴジラの身体は次第に透け、周りと同化していった。隠れていて隊員の一人、加藤 つげるは、恐る恐るもう一度てを伸ばす。伸ばした手は見えないゴジラに触れた。また、姿を現したゴジラとつげるは目が合う。ゴジラは虚ろな目で見つめるだけで、何もして来ない。

「司令塔、何故か、こちらを攻撃して来ません。」

「どういう事だ? そちらの状況は?」

「ヘリは全滅。隊員は自分を含め六人生き残っています。」

「分かった。では今すぐ、ゴジラから離れろ。そちらにヘリを送る。」

「…了解。」

つげるは通信を切り、もう一度ゴジラを見上げる。ゴジラもまた、つげるを見下ろしている。つげるは、一息吐くと人撫でし、ゴジラから遠ざかっていった。

しばらくすると、つげるが基地に戻ってきた。三里が素早くつげるに問いかける。

「ねぇねぇ。なんで、攻撃して来なかったん?」

「さあ、なんででしょう?普通に眠たかったという感じじゃないですかね、、?」

「確かに、、。」

二人が?マークを浮かべ考え込んでいると、

「あのー、、」

「ん、あっ! 涼ちゃんっ!!」

少し前に到着していた涼が声をかける。

「マグロ君は、本当は私たちに敵意は無いのでは?、、」

「敵意がなければ、こんな事にはなっていない。(…『マグロ』って、なんだ?)」

「だから、なんなんだ?」

「えっと、その、、このまま、攻撃しない方がいいんじゃないかなって、、。」

「あの生物がこのまま、何もなしに海に帰るとは思えん。それに、あいつを生かしておいたら市民も安心出来ん。」

「…『生物』じゃなくて、『マグロ』。」

「…マグロ?」

「マグロ、、」

「えぇぇ~~?」

「なんぞや?」

「いえ、何も。」

「…しかし、本当にゴジラを生かして良いんですか?」

司令塔の意見に保護団体の四人は手を挙げる。

「規模が違いますが、一つの生命です。敵意が無いのなら、友好関係がきづけるかも知れませんし。」

「私はマグロに触れたい。」

「切実やな、、。」

すると、後ろから声が聞こえる。

「『私たちもあなた方の意見に同意です。』」

「うん?」

一同が振り返る。そこにいたのは、不思議な衣装を身にまとった二人の女性。

「あなたたちは?」

二人は一度、顔を見合わせ

「私は過去。こちらは双子の妹、未来と申します。私たちはモスラの使いとして、此方に参りました。」

「モスラ?って、何?」

「モスラはこの地球の守り神です。あなた方、人間を守る者。そして、私たちはそのモスラの使者なのです。」

「では、味方という訳か?」

古世谷の問いに、双子は強く頷いた。

「じゃあ、本題に戻るけど、あなた達はなぜ私たちに賛成なの?」

「『ゴジラに敵意はありません。むしろ、あなた方人間に、怯えています。確かに彼は許されぬ事をしましたが、あなた方人間もまた、彼に許されぬ事をしました。』」

「それは我々がゴジラに攻撃したからですか?」

「それだけではありません。」

「『えっ?』」

一同が困惑する。

「ゴジラという怪獣は、人間のエゴによって生み出された者です。だからこそ、人間もゴジラに耳を傾けるべきなのです。」

「…そうか、。」

「そして、あなた方人間に、一番お伝えしたかった事は、他の怪獣についてです。」

「ん、ん、ん?? ちょっと、待って。怪獣ってのもよく分かってないのに、まだ他にも、沢山いるの?!何処に?!」

「はい、沢山います。多くの怪獣はモスラの力によって今は眠っています。モスラもまた、最近までは眠りについていました。」

「最近とは、?」

「はい。今から5年前の地震によってモスラは再び、目覚めました。それは、他の怪獣にも、影響がで出しています。そして、、」

「なるほど、今回のゴジラの件も影響が出てると、?」

「『はい。』」

「モスラじゃ、なんとか出来ないの?もう一度、封印するとかさ、。」

「『いえ。今、モスラは、何種もいる怪獣たちを封印した事によって力を失っています。』」

「マジか。」

「司令塔!! ゴジラが動き出しました!」

「何っ?! 」

ヘリから撮られた映像には、ゴジラが眠りから目覚め元上陸した方向へ、戻って行く。

「『お願いします。ゴジラと共に他の怪獣と戦って下さい。』」

「戦う?! ゴジラと一緒にっ?!最高か、、。」

「おい、心の声が漏れてるぞ。」

「美津子さん。連れて来た、この三人大丈夫でしょうか?」

「安心して、大丈夫よ。」




大浜の山に異変が起き始める。亀裂がはしる地面から鋭い瞳が覗く。そして、ゴジラも大浜に戻って来た。ゴジラは、山の亀裂を睨みつけ唸る。亀裂からは大きな翼、怪獣が姿を現した。その姿は黄金に輝く三首の怪獣。

こおおぉぉおあぁぁああぁぁっ!!

咆哮を上げる黄金の怪獣に、ゴジラも咆哮を上げる。やっと、大浜に到着した三里たちは、黄金の怪獣とゴジラの対峙に唖然としていた。

「あの怪獣は『ギドラ』です。天候、雷を操りし者。とても、凶暴な怪獣です。」

「あんなんが沢山眠っているって考えたら、ぞっとする。」

「…うん、。」

「ねぇ、マグロ君は私たちの味方なんですよね?」

涼が振り返り双子に、話しかける。しかし、双子は向かい合い、何かを唱えていた。そして、涼たちに振り返る。

「『皆さん、モスラが参ります。』」

「えっ、?」

ゴジラとギドラがお互い飛びかかりそうになった次の瞬間、雲が裂け光り輝く生物が舞い降りて来る。それは美くしき模様の羽根を持つ蛾のような怪獣だった。

「…。凄く綺麗。」

次第に姿を現すモスラに威嚇するギドラ。ゴジラはモスラを確認した後また、ギドラと向き合う。モスラはゴジラの近くにあった建物に乗り、ゴジラと向かい合う。ゴジラが喉を鳴らし、モスラを威嚇する。モスラは「きゅうぅ」とゴジラに語りかけている。

「あれって、何言ってるの?」

「ゴジラに、共に戦おうと、。」

「ああ、なるほど。」

「あのさー、モスラをさ『わたがし』って、呼んでいい?」

「『わたがし?』」

「だって、もっこもっこしてんじゃん?美味しそう。」

「『おっ、おいしそっ、、?!』」

「だから、食うな食うな。」

「三里さん、肝が据わってるわよ。」

その時、ギドラがモスラに向かって三つの首から光線を吐いた。ゴジラは瞬時に飛び退きモスラも建物から飛び退いた。ギドラの光線が建物に当たった瞬間、その建物は粉々に砕け散った。これだけでも、怪獣の恐ろしさが伝わって来る。粉々になった建物を見た後、ゴジラは大きく吠え、ギドラに突っ込んで行った。真中の首に噛み付いて後ろに押し返す。ギドラも負けじと左右の首でゴジラの首に噛み付いた。その時、ゴジラの背びれが赤く光った。ゴジラは腕で左右の首を拘束し、真中の付け根に向かって熱線を吐こうとする。しかし、ギドラが尻尾を使い抵抗した事により、熱線は付け根ではなく胸部に当たった。甲高い悲鳴を上げ、飛び退いたギドラの胸部は溶け骨が見えている。

「何あれっ?! 初めてのなんだけど!!」

「なんだとっ?!」

司令塔でもざわつきが見られた。今、この戦いは全国に配信されているのだ。世界全体がこの戦いを見守っている。相当痛いのか、ギドラは三つの首を険しくしている。

「わたがし、呼んでくれないかな。二人」

「『分かりました。』」

双子がめを閉じた瞬間、モスラが反応し、三里たちの前に、ゆっくり降り立って来る。地面に足を着かせたモスラが三里を見つめる。三里は微笑みモスラに近付いた。そして、モスラの口の部分を撫でた。

「…死んじゃ、駄目よ?」

それだけを残し、三里はモスラから離れていった。三里たちには分からないものの、モスラと双子は三里の発言に内心、驚いていた。モスラは飛び上がり、ゴジラとギドラの元へ向かった。モスラは勢い良くギドラの左首にしがみついて、ギドラの後ろに引っ張る。ギドラは引き摺られ、真中の首がモスラに噛み付こうとしたが、ゴジラによって真中、そして右の首を捕らえられた。ゴジラがモスラと反対の方向に引っ張る。が、ギドラもやられてばかりでは無い。ギドラの身体が発光する。何かを察したモスラが「きゅうぅっ!」っと鳴き、ギドラから離れた。ゴジラも離れようとした時、ギドラの身体から、雷の柱が何本にも分かれ、伸びて来た。無数の雷がモスラやゴジラに容赦なく飛びかかる。そんな中ギドラが三つの首を使い無差別に光線を吐いていく。

「あれ、まずくないっ?!」

「っ?! 三里さんっ?! 行っちゃ駄目よっ!!」

「三里さんっ!!」

他の制止を無視し、ギドラの元へ走って行く。涼が三里を止めようと追いかける。

「先輩っ! 危ないですって!!」

涼が三里を引っ張ろうとしたが、三里は動かない。そして、大きく息を吸い込むと、

イカズチィィィっ!! あんたなんかぁっ、マグロの、『餌』だあぁぁぁぁっっ!!!!

「ちょっ!! 先輩っ?! バレますよっ?! ってゆうか、いつ付けたんですかぁっ、その名前っ?!」

三里の言葉に反応したギドラがモスラとゴジラに対する攻撃を止め、三里と涼を鋭く睨む。

「よしっ。涼ちゃん、逃げるぞっ!!」

「えっ、ちょっ!! 先輩ぃぃっ?!」

勢い良く涼を引っ張りギドラから逃げる三里。ギドラが口内を光らせ、三里たちを追う。完全に意識がとんでいるギドラを見て三里が、

「マグロっ!! 今、今っ!!!!」

三里の声に反応したのかは分からないが、ゴジラはギドラの背中に向かって飛び乗った。モスラもギドラの尻尾に捕まり引っ張る。ゴジラはギドラを三里と反応の方向に投げ飛ばした。

「なんちゅう、力だよ。」

「三里さんっ! 無理しないでよっ!! マジでビビったからね?! 僕っ!!」

「すんません、。」

山付近に投げ飛ばされたギドラはゴジラに向き直る。

「あっ?! また、光ってるっ!! まずいっ!!」

身体に溜め込んだエネルギーをゴジラに向かって放った。しかし、ゴジラはその場を動かす、真正面からキドラの光線を食らった。ジリジリと後ろに戻されるゴジラ。

「マグロ、、?」

ギドラの放つ光線の威力が上がった。押し戻されていくゴジラを世界が見ている。

「何をしているんだっ、ゴジラ!!」

「彼は、どうしたのっ?!」

「分かりませんっ!!」

司令塔は、ギドラとゴジラの戦いに息を呑む。しかし、次第にギドラの光線の威力が落ちていく。ゴジラの背びれが黄色く光出した。

「あっ、、もしかして溜めてるの?力を」

その時、ゴジラの背びれは黄色から青白い光に変わった。上空を飛んでいたモスラも、ゴジラの頭に止まり、同じように青白く発光した。

「な、何っ?! あれっ!! 」

「『モスラが、ゴジラに力を分け与えているのです。』」

「Wow、すごい、、」

ゴジラが右脚を上げる。

「…まだ、何かするみたいね。」

そして、ゴジラは地面に脚を勢い良く叩きつけた。すると、地面が波打ち、周りに衝撃波が伝わる。その衝撃波は高知にまで伝わっていた。たちまちに、あらゆる電気が消えていく。司令塔のモニターも全て映らなくなった。

「なっ?! 一体、どうしたんだっ?!」

「分かりませんっ!!」

驚いているのもつかの間、周りに広がった衝撃波はゴジラの元へ、波打ち戻って来る。再び来る強い衝撃波に三里たちは、地面に手を着く。ゴジラの元へ衝撃波が戻って来た瞬間、ゴジラはギドラに向けて、勢い良く熱線を吐いた。熱線はギドラの放った光線を意図も簡単に弾き飛ばし、ギドラに直撃する。ギドラは熱線の圧に為す術なく山に叩き付けられた。しかし、ゴジラの放った熱線は一層勢いを増し、ギドラの胸部に風穴を空ける。勢い余った熱線がそのまま、山を削り雲を裂く。その、壮大な力に全国が呆気に取られた。

「何あれ、、すごい、。」

「ううわ、、」

涼は急いでカメラをゴジラとモスラに向けた。カメラに抑えたのは、夜明けの光が当たるゴジラとモスラの姿。しかし、ゴジラは頭を振ってモスラを退かし、「あらら、」と声を漏らす。

「あれ、マグロ?」

ゴジラは絶命したギドラの死骸に近付くと真中の首に噛み付いて、海の方向に歩み出した。

「あっ、そうかー。マグロ君は餌を探してたんだったね。」

ふと、海に入りかけたところでゴジラは三里の方を見る。三里は微笑み、ゴジラに手を振った。

「マグローっ、またねーっ!!」

ゴジラはゆっくりと進み出し、海の中へギドラと共に消えっていった。ニュースでは、『ゴジラ モスラ 日本に救世主現る 保護団体が大活躍』と出された。

「悪い気しないなあ。」

「でも、あれは、もう一生やらないでね?!」

「へいへい。」

表情が和み笑い合う三人。司令塔も苦笑していた。

「ああ。今回は、やられたな。」

「これで、ゴジラがこちら側の味方というのは分かりましたね。」

三里の前に双子がやって来た。

「『皆さん、ありがとうございました。我々は我々の住む島に戻ります。皆さん、また、いつかお会いしましょう。』」

「うん。色々、ありがとうね。過去さん、未来さん!!」

「お元気でっ!!」

「さようならっ!!」

次第に、双子の姿は消え、モスラが大空を羽ばたく。海に向かって、飛んでいく。涼やマイクは手を振る。

「わたがしぃぃぃっ、ありがとうねぇぇぇっ!!!!」


きゅあぁぁぁああっ!!


モスラは空の彼方に消えって行った。三里はゴジラの帰った大浜の海を見渡し、

「…ありがとう、、。」

と、微笑んだ。




























END

ゴジラ ~Stage Series~

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

0

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚