テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
あれから、どれ位の月日が流れただろうか。此処、夜摩一族の集落では毎年恒例の、巫女による奉納演舞が行われていた。
歴代きっての巫女と謂われるーーアミ。
アミは本当に美しく成長していた。それでも生涯未婚ーー純潔を貫いたとされたその訳は、誰もが知る処だ。
唯一人のーー決して歴史にも、表にも名を記されない彼の想いを胸に。
ーーそんな彼女を遠くの山頂から見詰める者。
「…………」
本当に美しい青年だった。余りに儚くも幻想的な彼は、アミを慈しむかのように見届けている。
「本当に……会わなくていいのかい?」
彼の背後から問い掛ける者。女性とも男性ともとれる、美しくも中性的な人物。
「……分かってて聞いてますよね?」
そんな問いに、彼は溜め息まじりに応えた。
「私達は既に、この世の摂理には存在しない者」
「それはそうだけど、彼女ならきっと分かってくれるんじゃないかな?」
二人は何を言っているのか。その答を知っているのは、唯一無二で在るこの両者のみ。
「私は摂理の外から彼女を見守るだけですよ。これから先も、ずっと……ね」
「……羨ましいよ。君にそこまで想われる彼女が」
皮肉ではないだろうが、彼は少しだけ微笑した。
“アミ……貴女とは存在する次元が異なってしまったけど、それでも私は見守り続けます。そして、貴女がその生を全うし生まれ変わっても、貴女が幸せな生を全うし続ける為、私は存在し続けます”
「じゃあ、そろそろ行こうかーーユキ」
“その為には、滅びの運命等、あってはならないーー”
「ええーーノクティス」
二人は手を取り合い、歩み出す。
“異なる未来の為にーー”
「見届けよう、我等ーー“狂座”の名の下に」
~To Be ContinuedーーEliminator~エリミネ-タ-