💙「みっ、見るな!!!こっち来んな!!!」
布団を奪い、身体に巻き付ける。お陰で、照だけが生まれたままの姿になってしまい、目のやり場に困った。
照は、きょとんとした顔をして、寝ぼけてんの?と相手にしない。そのまま、横を通り過ぎて、俺の頭をぽん、と叩くとほっぺにキスをして、洗面所方面へ消えた。
💙「阿部ちゃん……。阿部ちゃんに連絡…っ!」
俺は枕元のスマホを掴むと、阿部ちゃんに電話を掛けた。
………出ない。
諦めて見たスマホの画面の日付を見る。
💙「金曜日か」
阿部ちゃんは朝の情報番組に生出演中だ。そうだ、昨日もそれで一緒に早寝したんだった。
とりあえず、なんとなくスマホをいじり、LINE画面を開く。
そこには、身に覚えのない照とのやりとりが延々と行われていた。
💙「なんだよこれ。まるで俺と照が付き合ってるみたいじゃん」
何時に終わる?から始まり、会いたい、だの、照からの好きだよ、への俺のバカという返事。(たぶん本気じゃない)
LINEを遡ると、俺たち(俺たちじゃないけど)は、10日ぶりに会ったようだ。昨夜。
日付も仕事の予定もまったく自分と同じことから、隣りにいるのが阿部ちゃんじゃなくて照ってだけで、俺自身の生活はあまり変わっていないようだった。
💙「とりあえず、服着よう…」
散乱した服を集めて着ようとするが、パンツしか見当たらない。仕方なく、人のクローゼットを開けるのは気が引けたが、着れそうなものを拝借した。
(家に帰りたい)
💙「照、あの」
リビングに入ると、照が、キッチンでコーヒーを淹れている。飲む?と聞かれて首を振った。
💙「俺の服…」
💛「あ、今洗濯してる。ちょっと汚れちゃったから」
え……何したんだろ。
聞くのも恐ろしい。
💙「あの、俺、帰ろうと思うんだけど」
💛「えっなんで」
えっ、なんでってなんで。
状況を整理したいからだよ、今の俺の状況を。
そう言いたいが、今寝起きだし、何から何まで心当たりがないことが続いてるし、何も話せない。俺が黙っていると、照が眉毛を情けないほどに下げて、抱きしめてきた。
💛「ごめん、怒ってるの?」
💙「いや…ちょっと」
俺の知ってる照とキャラが違いすぎてパニックだ。普段はもっとツンとした感じなのに、なんだかデレデレしている気がする。
💛「激しくしちゃったから?」
💙「は?激しく???」
そう言って腰のあたりをさするので、くすぐったくて、気持ち悪くて慌てて離れた。
💛「だってあまりにも翔太が可愛いから」
なおも寄ってこようとするので、俺は
💙「いやまじでちょっと何言ってるかわかんねえ。俺帰るから」
とだけ言うと、慌てて玄関を飛び出した。
コメント
1件