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琥珀
51
682
#からぴちBL
りと。@就寝中
2,226
第12話「俺がいるから」
――数日後。
撮影終わり。
荷物をまとめていると。
no「ゆあんくん」
ya「ん?」
隣から声をかけられる。
振り向くと。
なおきりさんが、いつものように笑っていた。
no「今週末、予定ありますか?」
ya「週末?」
no「はい」
ya「特にないけど」
no「じゃあ」
少しだけ間を置いて。
no「僕とデートしませんか?」
ya「……え?」
思わず固まる。
no「嫌ですか?」
ya「いや、そうじゃなくて」
no「じゃあ、いいですか?」
ya「……うん」
no「よかった」
ya「どこ行くの?」
no「それは当日まで秘密です」
ya「また秘密?」
no「ふふ」
ya「……なおきりさん、秘密好きすぎない?」
no「楽しみにしていてください」
――そして。
週末。
ya「……水族館?」
待ち合わせ場所に来て。
ようやく目的地を知る。
no「はい」
ya「意外」
no「嫌でした?」
ya「全然。むしろ好き」
no「それならよかったです」
二人で中へ入る。
薄暗い館内。
青い光。
水槽の中を泳ぐ魚たち。
ya「……綺麗」
no「でしょう?」
ya「なおきりさん、こういうところ好きなんだ」
no「はい。落ち着くので」
ya「へえ」
並んで歩く。
クラゲの水槽の前で立ち止まる。
no「……」
ya「なおきりさん?」
no「はい?」
ya「見入ってるじゃん」
no「綺麗だなと思って」
ya「……」
その横顔を見て。
なんとなく。
嬉しくなる。
ya「来てよかった?」
no「はい」
no「ゆあんくんと来られてよかったです」
ya「……そういうの」
no「はい?」
ya「急に言うの禁止」
no「ふふ」
――しばらくして。
人の多いエリアへ入る。
休日だからか。
さっきよりもかなり混んでいる。
ya「……大丈夫?」
no「はい」
そう答えたけど。
少しだけ。
なおきりさんの歩く速度が遅くなる。
ya「なおきりさん?」
no「……大丈夫ですッ」
ya「本当に?」
no「…ッッ…」
返事がない。
ya「なおきりさん」
もう一度呼ぶ。
すると。
no「…ッッ…少しだけッ」
小さな声。
no「人が多いの、ッ苦手かもしれません」
ya「……そっか」
Subだから。
環境や刺激に敏感になることがある。
普段はそんな素振りを見せないけど。
今日は。
人の多さと館内の音。
それに少しずつ疲れてしまったらしい。
ya「こっち」
no「……?」
ya「人少ないところ行こう」
なおきりさんの手を取る。
けれど。
その瞬間。
近くから大きな音が響いた。
no「……っ」
なおきりさんの肩が跳ねる。
ya「なおきりさん!」
no「……ッ大丈夫ッです」
明らかに。
大丈夫じゃない。
no「…ッ…はッ…はッ…ッッ」
呼吸が少し浅くなっている。
ya「俺の声、聞いて」
no「…ッ…はい」
ya「大丈夫」
ゆっくり。
落ち着いた声で。
ya「俺がいるから」
no「ッ……」
ya「こっち見て」
なおきりさんが。
ゆっくり顔を上げる。
ya「そう」
目が合う。
ya「ゆっくり息して」
no「……はい」
ya「吸って」
no「……」
ya「吐いて」
少しずつ。
呼吸が落ち着いていく。
それでも。
まだ不安そうな顔。
ya「…なおきりさん…コマンド使ってもいい?」
no「……ッ」
なおきりさんが。
少しだけ迷う。
そして。
小さく頷いた。
no「お願いします」
ya「分かった」
声を落として。
ya「なおきりさん」
no「はい」
ya「『 Relax 』」
その言葉に。
なおきりさんが目を閉じる。
ya「『Breathe』」
no「……んッ」
ya「大丈夫」
ya「ここにいる」
ya「俺がそばにいるから」
no「……ゆあん、くん」
ya「『Good boy』」
no「…もう大丈夫です」
ya「うん」
no「……ありがとうございます」
ya「全然大丈夫だよ」
no「……」
ya「無理しなくていい」
no「……はい」
その言葉に。
なおきりさんの肩から。
少しずつ力が抜けていく。
ya「落ち着いてきた?」
no「……はい」
ya「よかった」
no「……ごめんなさい」
ya「なんで謝るの?」
no「せっかくのデートなのに」
ya「そんなのどうでもいい」
no「……」
ya「なおきりさんが大丈夫なら、それでいい」
no「……ゆあんくん」
ya「ん?」
no「好きです」
ya「……またそれ?」
no「本当にそう思ったので」
ya「……俺も」
少しだけ笑う。
ya「俺も好き」
――その後。
人の少ない場所へ移動する。
ベンチに並んで座る。
しばらく。
二人とも黙っていた。
やがて。
no「……もう少しだけ」
ya「ん?」
no「このままでいてもいいですか?」
ya「もちろん」
なおきりさんが。
そっと俺の肩に寄りかかる。
ya「……疲れた?」
no「少し」
ya「じゃあ休もう」
no「はい」
静かな水槽の前。
青い光が二人を照らす。
no「……今日」
ya「ん?」
no「誘ってよかったです」
ya「俺も」
no「……途中、迷惑かけましたけど」
ya「迷惑じゃないって」
no「でも」
ya「俺、Domだから」
no「……」
ya「こういう時に頼ってくれたほうが嬉しい」
なおきりさんが。
少し驚いたようにこちらを見る。
ya「一人で我慢しなくていいよ」
no「……はい」
ya「俺がいる時くらい」
no「……」
ya「頼って」
no「……分かりました」
そして。
小さく笑って。
no「じゃあ、今日は甘えてもいいですか?」
ya「うん」
no「……ありがとうございます」
ya「どういたしまして」
――帰り道。
no「今日は楽しかったです」
ya「途中大変だったけどね」
no「それでも」
なおきりさんが笑う。
no「ゆあんくんがいてくれてよかったです」
ya「……」
no「また一緒に行きたいです」
ya「もちろん」
no「次はどこにします?」
ya「次?」
no「はい」
ya「……なおきりさん、もう次のデート考えてるの?」
no「駄目ですか?」
ya「いや」
少し笑って。
ya「嬉しい」
no「ふふ」
ya「……でも次は」
no「はい?」
ya「ちゃんと俺に頼ってよ」
なおきりさんが。
一瞬だけ目を丸くする。
そして。
優しく笑った。
no「……はい」
no「約束します」
――Subだから。
弱くなる日がある。
苦しくなる日もある。
でも。
そんな時に。
そばにいてくれる人がいる。
それだけで。
少しだけ強くなれる。
そして。
ya「……俺が守るから」
その言葉を。
なおきりさんは。
何も言わずに。
ぎゅっと握り返した。
――第12話 END
もうさ、みなさんサイコーすぎません??
マジで感謝感激です!😭
あとちょっとで完結予定です!
フォローしてください(?)🥺
♡と、コメントとフォローよろしくお願いします🥺(欲張りすぎて滅)
こらからもよろしくです!!
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コメント
1件
みぅです🤍 もう、この話、めちゃくちゃ好きです……水中の青い光がなおきりさんの不安を包み込んで、ゆあんくんの声がそっと届く感じ。Domとしての強さと優しさが混ざってて、胸がぎゅってなりました。特に「Relax」「Breathe」のコマンド、あれ普段のゆあんくんでは出せない重みがある。弱さを認めて頼るなおきりさんと「俺が守るから」と言うゆあんくん、二人の関係が本当に美しい。読み終わったあと、なんだか温かい気持ちになりました。完結まであと少し、楽しみにしてます。素敵な話をありがとう。