「俺に…優しくすんなよ!!!」
「れーんっ!」
「…ぉわ、…どした」
「…俺さ、一目惚れ…しちゃった、」
「……え、?」
一目惚れ。
その言葉を聞いた時、息が詰まった。
「……へ、へぇ…珍しいな、」
「だろ、?それがさめっちゃいい子なんだ」
「……優奈ちゃん?」
「え?せーかい!凄いなお前!」
「さすが幼なじみだわ!」
祐介の一目惚れした相手は
1つ年下の里崎優奈だった
少し前から祐介は気にかけていた。
「なぁ、連…相談、乗ってくんね?」
「……なんで俺が…」
「幼なじみだから、な?」
「……頼りにならなくても文句言うなよ」
「よしゃ!よろしくな!」
俺は、祐介が好きだ。
友達としてじゃなくて、恋愛的に。
そんな祐介に好きな人が出来た。
正直手伝いたくなんかない
でも、幼なじみだから…
数週間がたって、祐介に呼び出された
「…連、」
「……何、急に」
「俺、優奈ちゃんと付き合えた…!」
ちょっと期待した。
でも、案の定意味はなかった。
「……そっか…おめでと…」
目から溢れそうになる涙をこらえて
祐介に向かって笑う。
「お前のおかげだわ!さんきゅーな!」
ぎゅぅ……
「……っ、…」
祐介からのハグ
自分の首を絞められる感覚がした、
「…幸せに、な……」
「おう!いつまでも親友だ!」
クソ…
下校中、
2人が手を繋いで帰るところを見た。
楽しげな声が微かに聞こえる
涙が零れる目を擦って
駆け足で家に向かう
「……俺の方が……っ、」
優奈ちゃんは知ってるのかな。
祐介のこと。
弁当を食べる時、卵焼きを最後に食べること
恥ずかしくなると左耳を触ること。
元気そうに見えて意外と人一倍我慢強いだけなところ。
多分、知らないだろうな。
「…っぅ”、……」
次の日
「…っ、ぃた……」
プリントで指を切った。
すると、祐介が俺の手を掴む
「…ちょ、っ……」
「ひぇ、痛そ〜…」
祐介はポケットから絆創膏を取りだして
親指に絆創膏を貼った。
「……は、……」
「痛いの痛いの飛んでけー!」
「…っはは笑 ガキん頃思い出すな」
「…っ……」
なんで、俺に…
その日
昼から土砂降りになった。
「……傘…」
玄関にたって弱まるのを待っていた。
「お、連」
「んなとこでどうした?」
「……祐介、」
「あ、さてはお前。傘忘れたな?」
「……まぁ、…うん」
「なら、ほら」
「貸すよ!」
「……ぇ、……」
「俺、家近ぇから!」
「……でも、……」
「風邪ひくなよ!」
そう言うと、雨の中飛び出して行った。
「ちょ、っ祐介…!」
なんで、俺に。
優奈ちゃんと付き合ってるくせに…
なんで、俺に…
優しくするんだよ…
せめて、祐介を家に送って…
「…っは、……」
雨の中に飛び出そうとした時
祐介の隣には、傘をさした優奈ちゃんが居た
「……っ、…ぐ…。」
祐介の絆創膏が貼ってある親指を
自分の拳に収める。
「…っ俺の、方が……。」