テラーノベル
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俺があの子に助けてもらって数日、いじめの標的が変わった。
あの子がいじめられるようになった。
すぐに謝りにいった。
『俺のせいでごめん』って
でも、あの子は俺を責めなかった。
「別に、君のせいじゃないでしょ。
そもそも、あいつらを煽ったの僕だし、
君に対して怒ったりとかしてないよ。
それに、僕も同じだから」
『同じ??』
何が同じなんだ?
「僕も、同性が好きなんだ」
空いた口が塞がらないとはこのことを言うのか。
俺と同じ人がこの学校にいると思わなかった。
ましてや、こんなに身近に。
仲良くなれる気がした。
いや、なりたかった。
それから毎日話しかけた。
いつからか、前まで感じてた見えない壁がなくなっていく気がした。
笑顔を見せてくれるようになったから。
あの子のことが大好きになった。
でも、いじめられるのは精神的にキツくて、学校では話しかけられなかった。
帰り道、誰もいない公園で二人で話すのが毎日の楽しみだった。
弱虫な俺は、あの子を助けることができなかった。
都合いいよな。
だって、自分はいじめを助けないのに、助けてもらうだけ助けてもらって。
くだらない。
あの子をいじめてる奴等に、俺を助けてくれたあの子みたいに言えればよかったのに。
いざ、あいつらを前にすると不安で。
言えなかった。
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