テラーノベル
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しばらく歩いて、ようやく事務所が見えてきた頃
事務所の前に人が立ってるのが見えた
「あれ?瑠花ちゃんやん」
そこに立っているのは異灯汝のメンバーの一人、天城瑠花だった
「目、いいな…瞑ってるのに」
「まあね〜」
近くに寄ってはっきり顔がわかってきた時
「!?えっ…」
俺は驚きを隠せなかった
瑠花の左目が、謎のノイズが掛かっていた
左目だけ子供の落書きの様にぐるぐると描かれた黒い何か、少しだけ動きがある様にも見れる
「あ?どしたのアンタ」
「あっ、いや…その目…」
「?これ?……アタシの異形」
「異形…?」
「瑠花ちゃんは、“片目ノイズ”って言うちょっと特殊な異形持ちなんよ」
「片目ノイズ…」
「てかさっき会ったんだからわかるでしょ、まあちょっと暗かったし見えづらかったのか…」
「次から一々驚かないでよね、嫌だから……」
「あっうん、わかった…」
「後、あんたら遅すぎ、初めてがこんなんじゃうちでやっていけない」
「は、はい……」
「瑠花ちゃんちゃうねん!今回は僕のミスなんよ💦油断してもうて…」
「そうなの?まあどっちにしろミスはミス、次から許さないからね」
「はい!すみませんでした!」
「てかえーっと、遼だっけ?アンタめっちゃ怪我してるじゃん、手当するからこっち来な」
「わかった」
「光沙は玲央にぃが呼んでたから、さっさと行って」
「はーい!」
別の部屋にて
「リーダー、戻ったで〜」
「光沙、おかえりなさい。随分と遅かったですが、今回の敵は中々でしたか?」
「それとも、東雲君が死んだショックで遅れてしまったとか?」
「ちゃいますよ、遼くん生きてますから」
僕は少し笑い気味に言う
「そうですか、それは良いことですね」
「それで、どうでしたか?東雲君は」
「聞いとった話と全然違くてびっくりしたわ」
「何者なん?遼くんって」
「流石光沙、感が鋭いですね。」
「彼の異形はもう聞きましたか?」
「まだです」
「そうですか、彼の異形は“獣”、要するに犬化です」
「ワンちゃん?」
リーダーの声はいつもよりも真剣な声色になっていた
「そんな可愛いものではないですよ。」
「獣は速度、攻撃力、嗅覚、これら全てが通常の人間の何倍もの威力になると言う優れた異形です。欠点としては、犬の耳や尻尾が生えたまま過ごさなければいけないということですね」
「犬耳…あー!だから帽子!」
「はい、彼は自分の異形に大きなコンプレックスを抱いています。彼は今まで普通、まあ孤児院育ちではありますが、こう言った争いごとに関わった事がないため自分の実力に気づいていません。」
「……つまり?」
「私達の手で、この才能を開花させなければ成らないのです。」
「“必ず”」
リーダーの目は、焦りと怒りが交わった様な、複雑な目をしていた
「…なあリーダー、なんで?なんでそんな遼くんについて知っとるん?」
「いくら個人情報を電話で聞いたとはいえ、戦闘を見てないのに能力全般を知っとるんは不自然すぎや」
「……それは、彼が」
その時、部屋のドアが開く音がした
「玲央にぃ、遼の手当終わったよ」
「瑠花、ありがとう。今そっちに行くよ、東雲君にも聞きたいことがたくさんありますから」
「わかった」
リーダーが席を立ち、部屋を出て行こうとした
「あっ、リーダー!」
「すみません光沙、先程の続きは当分聞かせてあげることはできません。」
「お疲れでしょう、しばらくここで休んでいてください」
そう言い、リーダーは部屋から出て行った
「……気になりますやん!!」
「一体あれはなんなんだったんだ……」
瑠花が真柴さんを呼びに行った後、俺は一人で悩んでいた
今日初めてモンスターと戦ったのに、俺の反応はなんだか手慣れた様子だった
普通は力の入れ方、攻撃の仕方、それらが全くわからず死んでいるところだろう
なのに俺は、光沙の攻撃で弱っていたとはいえ、あんな化け物を一撃で倒してしまった
正直怖かったしできないと思った、なのに、どうして…
「東雲君、体の調子はどうだい?」
「あっ真柴さん…」
そんなことを考えているうちに、二人が戻ってきた
「あれ、光沙は?」
「しばらく彼方の部屋で休んでますよ」
「そう…ですか」
「まずは、良く生きて帰って来れましたね。通常の方はこれで亡くなってしまう方が多いんですがね」
「そうなんですか…」
「それで、どうでしたか?初めてモンスターと戦った気分は」
「あっはい、それが…」
俺はさっきまで考えていたことを真柴さんに話した
「なるほど…それは不思議ですね」
「はい、異形って、こんな人間離れした人が多いんですか?」
「まあそうですね、異形は通常の人間よりも少し身体能力が高い種族ですから」
「ですが、初手でモンスターを瞬殺するとは、これは貴方自身の才能の問題かもしれませんね」
「才能…」
「どーせまぐれまぐれ、ちょっと当たりどころが良かっただけでしょ?」
「コラ、瑠花?」
「…だって事実だんもん……」
「…」
確かに瑠花の言う通りだ、最初のはまぐれかもしれない。才能があったからって、そんなすぐに実力が出るわけではないんだから
「まあ、一度そのことは置いておいて、どうです?この仕事、続けていけそうですか?」
「まあはい、一応大丈夫だとは思います」
「そうですか、なら心配はいらないみたいですね」
「では東雲くん、これからよろしくお願いしますね」
「…はい、よろしくお願いします…」
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