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1話 君との出会い
ピピピ_目覚まし時計が部屋に鳴り響く。
「ハッ…!」
危うく遅刻するところだった。
慌ててカーテンを開けると、朝日が差し込んできた。
思っていたより早く目が覚めたらしい。
時計を見ると、登校時間まではまだ30分以上ある。
「……余裕、か」
そう呟きながら制服に袖を通す。
いつもより時間があるとソワソワしてしまう。
「散歩と思って早めに家出てもいいかもしれないな。」
玄関を開けると清々しいほどの快晴。昨日はすごく降ってたのに雨
(今日はいいのが撮れそう。)
肩にカメラを掛けて足どり軽く家を出た。
通学路よの途中雨に濡れた花が目に入る。しゃがみこんでシャッターを1枚切った。
今日はそれだけでいい日になりそうだった。
━━━━━━━━
俺は気ずけば学校の門をくぐっていた。
朝の昇降口は登校した人達でザワザワと賑わっていた。
下駄箱の前で友人の圭介が片手を上げている。
「拓真珍しく早いじゃん。」
「……たまにはな。」
「へぇーすげぇな」
-気づけば午前中の授業は終わり昼休みだった。
数学と国語はかろうじて頭に入ったが、地理と家庭科はよく分からなかった。
人で溢れる教室を抜け出し、俺はカメラを手に渡り廊下へ向かった。
吹き抜ける風が少しだけ涼しく、廊下の端から校庭の芝生が見える。
(光の入り方、今が一番いいな)
ファインダーを覗いた瞬間_背後から足音。
振り向くより早く、
「わっーー!」
高めの声と同時に、誰かの体が俺の横を通り抜け…いや、通り抜けきれずにバランスを崩した。
バシャッ。
制服の胸元に、冷たい液体が広がる。
視線を落とすと、そこには潰れたオレンジジュースの紙パックと、床にしゃがみ込む女子。
「あ、あぁぁっ!ご、ごめんなさい!ほんとごめんっ!」
慌てて立ち上がり、俺の胸元をハンカチでポンポン叩く。
「ちょ、ちょっと!自分で拭くんで!」
「だって私のせいだし……あぁ~最悪だ~!」
息を切らしながらも、彼女はどこか笑っていた。
初対面のはずなのに、不思議とその笑顔が引っかかった。
「本当ごめんね。」
「大丈夫です。 」
「お詫びしたいから連絡先教えて」
「あっ、えっと…はいどうぞ」
「ありがとう!」
その日から俺の物語が始まった。